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保険で税が軽減される「生命保険料控除」が拡大へ?業界団体が税制改正へ要望

保険で税が軽減される「生命保険料控除」が拡大へ?業界団体が税制改正へ要望|ライフィ保険ニュース解説

国内の主要保険会社が加盟する生命保険協会が、個人が保険に契約していると税が軽減される「生命保険料控除」について、来年度の税制改正に向けて要望を公表しました。これまでよりも減税を拡大するよう求めた内容です。

そこで、生命保険に入っていると税が軽減される「生命保険料控除」とその改正案について、FPが解説します。

ニュースのポイント

  • 2021年度の税制改正に向け、業界団体が「生命保険料控除」の拡大を要望
  • 「生命保険料控除」とは、生命保険に契約していると税が軽減される措置
  • 現行は所得税で最大12万円、住民税で最大7万円の控除を受けられる

生命保険で受けられる税の控除を15万円に拡大へ?

国内の主要生命保険会社が加盟する生命保険協会は、個人が生命保険に契約して支払う保険料の金額に応じて、その年の税が軽減される「生命保険料控除」について、上限額を引き上げるように要望書を公表しました。

「生命保険料控除」は、所得税と住民税の制度で、生命保険の保険料を払った年の所得税と住民税について、課税額の計算上で最大12万円(住民税は7万円)の軽減を受けられるものです。

今回、同協会はこの上限額を12万円から15万円に引き上げることを要望しました。要望は同様の内容が昨年度にも公表されており、今後の動向に注目したいところです。

税の優遇拡大の理由は物価上昇

同協会によると、生命保険料控除の上限額拡大への要望は物価上昇に対応するためといいます。

現在、生命保険料控除の上限額は1.一般生命保険料控除(死亡保険などが対象)、2.介護医療保険料控除(医療保険と介護保険が対象)、3.個人年金保険料控除(個人年金保険が対象)で各4万円(住民税は各2.8万円)、全体で12万円(住民税は合計7万円)となっています。

これまで上限額はたびたび改正されてきましたが、現在の12万円となる前の上限額は10万円で、昭和49年と平成2年に設定されたものです。しかし、物価の水準を示す消費者物価指数(平成27年を100としたとき)は、昭和49年には48.4、平成2年は91.2であるのに対し、令和元年は101.8へと上昇しています。

さらに日本銀行は現在、インフレ率2%という物価安定の目標を掲げています。長期的に物価が上がっていくと、家計への保険料の負担が重くなるおそれがあると考えられます。

そこで、こうした物価上昇にあわせて、生命保険で受けられる税控除を拡大し、家計の負担を軽減することが求められています。

要望では、生命保険料控除の合計額を少なくとも最大15万円へ、またその内訳として生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の額を少なくとも5万円(住民税では3.5万円)へ、税制を改正するよう求めています。

人生100年時代を見据えて、保険での自助努力が重要に

生命保険には、万が一の死亡時に遺族の生活を支える死亡保険、病気で入院したり介護が必要になったときの費用に備える医療保険や介護保険、老後の生活資金を準備する個人年金保険など、長い人生でかかるお金に備える役割があります。

同協会によると、生命保険料控除はこれらの準備を「税制面から支援・促進する制度」です。
高齢化によって「人生100年時代」ともいわれ、長い人生の生活を維持するための環境整備はますます重要とも指摘しています。


用語解説

生命保険料控除とは?

生命保険料控除は、生命保険に契約している人が保険料を支払った年の所得税と住民税を軽減する制度です。

1.一般生命保険(定期保険や終身保険など)、2.介護医療保険(医療保険と介護保険)、3.個人年金保険のそれぞれに払い込んだ保険料に応じて、年間最大4万円ずつ、合計12万円までを、税の計算上で所得から控除できます(住民税ではそれぞれ2.8万円ずつ、合計で7万円まで)。

この税の軽減は「所得控除」といって、税額を計算するときのもとになる所得額から最大12万円を控除する(差し引く)ことによって、課税される所得額を軽減し、税額が低くなるしくみになっています。

出典:生命保険協会「令和3年度税制改正に関する要望について」

この保険ニュースの解説者

  • ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー