自営業者などの国民健康保険 2025年度から保険料上限が引き上げへ
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
自営業者などが加入する国民健康保険の保険料について、2025年度から上限額が引き上げられることになりました。
保険料は所得に応じて定められていますが、最も高い所得区分の世帯で、年間3万円引き上げられます。
国民健康保険料の仕組みと合わせて解説します。
ニュースのポイント
- 国民健康保険料の上限額が3万円引き上げへ
- 対象になるのは年収約1,170万円以上の世帯など
- 上限額の引き上げは4年連続
国民健康保険料の上限額が引き上げへ
国民健康保険料(国民健康保険税)の算定方法は、各市町村などによって世帯単位で定められています。
詳細な算定方法は各市町村により異なりますが、おもに、被保険者の所得や資産など、保険料の負担能力に応じてかかる部分と、世帯ごとや被保険者の人数に応じて等しくかかる部分から成り立ちます。
このうち、所得・資産に応じた保険料部分は高所得世帯ほど高額になりますが、所定の限度額「賦課限度額」が設けられています。
2024年度の限度額は106万円とされていましたが、2025年度には109万円に引き上げられます。限度額は、平成12年度以降引き上げが続いています。
引き上げの対象はおもに年収約1,170万円以上の世帯
引き上げの対象となるのは、全世帯のうち約1.5%の世帯です。給与や年金による収入が年間1,170万円以上の世帯などが該当します。
中間所得層の被保険者の保険料は、2025年度には年間31.9万円になると試算されています。
前年度に比べ1.0%増加しますが、高所得層に比べ伸び率は抑えられます。
高齢化等により医療給付費が増加している一方で、被保険者の所得が十分に伸びていない状況に鑑みて設定されました。
介護保険の保険料は据え置き
国民健康保険料には、公的医療保険の医療費分のほか、基礎賦課分、後期高齢者支援金賦課分、介護納付金賦課分が含まれています。
今回の引き上げはこのうち医療分などで、介護保険料にあたる部分の保険料は据え置かれました
国民健康保険料とは
国民健康保険は、自営業や年金生活者などで、被用者保険や後期高齢者医療制度に加入していない人を対象とした国の医療保険制度です。居住している自治体の窓口で加入します。
保険料は世帯の被保険者数に応じてかかる均等割、世帯ごとにかかる平等割、所得に応じてかかる所得割、固定資産税額に応じてかかる資産割の、最大4つから、市区町村が定めた方式で算定されます。
このうち所得割・資産割の保険料は所得などに応じて定められていますが、一定の上限額「賦課限度額」が設けられています。
保険料は全額が自己負担で、納付書などを使って自分で納めるか、年金からの天引きによって納付します。
ただし所得が一定以下の場合には、軽減措置があります。
出典:厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」
出典:厚生労働省「国民健康保険制度」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー