2022年度の国民医療費 過去最高の46兆円超
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
保険適用される診療費などの総額が、2022年度に過去最高となる約46.6兆円だったことが、厚生労働省のまとめによりわかりました。
高齢化などの要因により国民医療費は増加を続けています。
国民医療費の動向について解説します。
ニュースのポイント
- 2022年度の国民医療費は46兆円超で過去最高
- 国民一人あたりの医療費は約37万円
- 65歳以上の高齢者の国民医療費が全体の6割超
国民医療費は毎年増加傾向が続く
厚生労働省が発表した2022年度の国民医療費は46兆6,967億円で、前年度に比べて3.7%増加しました。
増加は2年連続で、過去最高を更新しました。
国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は8.24%で、こちらも2年連続で過去最高を更新しました。
国民医療費は、同省が集計を開始した昭和30年度以降上昇傾向が続いています。
1人あたりの医療費も増加
人口1人あたりでみた国民医療費は、37万3,700円でした。前年度の35万8,800円 に比べて1万4,900円、4.2%上昇しました。
一人あたりの国民医療費も長期間にわたり上昇傾向が続いています。
65歳以上の国民医療費が全体の6割超
年齢階級別の国民医療費をみると、65歳以上の国民医療費は全体の60.2%、65歳未満は39.8%でした。
75歳以上のみでみても構成割合は39%と、高齢者の医療費の割合が高いことがわかります。
人口一人あたりでみると、65歳以上の国民医療費は77万5,900円、65歳未満は20万9,500円でした。
全年代で前年より高くなっており、0~14歳を除くと、年齢が高いほど一人あたり国民医療費が高くなっています。
医療費の財源の半分は加入者の保険料
国民医療費の財源のうち、医療保険制度に加入する人が納める保険料は約23兆3506億円で、全体の50%でした。
37.9%は国や地方の税金、11.6%が患者が医療機関の窓口で支払う自己負担分でした。
国民医療費とは
国民医療費は、公的医療保険が適用される診療に要した費用です。公的医療保険制度、後期高齢者医療制度、公費負担医療制度によって給付された金額のほか、受診した患者が窓口で自己負担した金額などが合算されています。含まれるのは公的医療保険が適用される病気、けが、歯科の治療費、調剤薬局での薬剤費などです。
保険適用外である先進医療、健康診断、予防接種、正常分娩、介護サービス費用などは含まれません。
出典:厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況」
出典:厚生労働省「国民医療費の範囲と推計方法の概要」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー