2024年自動車保険の参考純率改定 平均5.7%引き上げ
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
自動車保険などの料率を算出している損害保険料率算出機構が、2024年6月に自動車保険の参考純率の見直しを発表しました。
改定率は車種や契約する補償内容などによって異なりますが、平均で5.7%の引き上げになります。
ニュースのポイント
- 自動車保険の参考純率が平均5.7%引き上げ
- 車両の修理費の高額化が影響
- 電動キックボードを対象とした区分が新設
修理費の上昇で自動車保険料率が引き上げ
見直されるのは、自動車保険料のうち、事故が発生したときに保険会社から支払われる保険金に充てられる「純保険料」の料率です。
料率は、直近の事故の発生状況など統計データや、自動車事故に関わる社会環境の変化に応じて、随時見直されています。
今回の改定ではおもに、対物賠償責任保険と車両保険の保険金支払における修理費が上昇したことや、事故の発生状況を踏まえた見直しが行われます。
自動車保険の参考純率は平均で5.7%※引き上げされます。
※使用地域は沖縄県以外、対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、人身傷害保険および車両保険を付保した場合におけるすべての契約条件(用途・車種・補償内容等)の改定率の平均
新車割引は割引率が拡大
料率区分ごとの較差(割増引率)も見直されます。これまで新車割引がなかった自家用軽四輪車の車両保険に、割引が新設されます。
また、初年度登録後経過期間(自家用軽四輪乗用車は初年度経過期間)に応じた割引について較差が見直しされます。
対人・対物・人身傷害保険の新車割引は、自家用普通・小型乗用車については較差約1.10~1.43倍、自家用軽四輪乗用車については較差約1.05~1.35倍となります。いずれも改定前よりも拡大します。
そのほか、60歳以上の年齢条件の較差や運転者限定の較差も見直されます。
電動キックボード向けに「特定小型原動機付自転車」の区分が新設
電動キックボードについては、これまで原動機付自転車(原付)と同様の扱いでしたが、改定により「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」として料率区分が新設されます。
特定小型原付は一般の原付と比べて大きさ、速度の制限が低く設定されていることから、事故のリスクが異なるためです。
ただし、現在は特定小型原付に関する統計データが十分でないため、対人賠償責任保険と対物賠償責任保険については、一般原付の参考純率をもとに料率が算出されます。
人身傷害保険と車両保険については、保険統計が蓄積されるまでは一般原付と同じ料率が設定されます。
なお、自賠責保険においては、すでに特定小型原付向けの料率区分が設定されています。
参考純率の見直しとは
自動車保険の保険料は、保険金の支払いに充てるための純保険料率と、保険会社の事業経費に充てられる付加保険料率から構成されています。このうち純保険料率は、統計などに基づいて損害保険料率算出機構が算出した「参考純率」をもとに決定されています。
各保険会社では、参考純率をそのまま使用するか、自社商品に応じて修正するか、独自に純保険料率を算出することができます。
実際に契約する自動車保険の保険料は、今回の改定を参考に各保険会社が定めた保険料率によって決まります。
保険料を改定する場合、損害保険各社は2026年以降に今回の改定を受けた見直しを行うとみられます。
出典:損害保険料率算出機構「自動車保険参考純率 改定のご案内」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー