自賠責保険 2024年4月から電動キックボードの区分新設 保険料は一般の原付より低く
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
モーターとバッテリーで走行する電動キックボードの自賠責保険について、2024年4月から保険料区分が新設されました。
一般的な原動機付自転車(原付)の自賠責保険料に比べ保険料が低く、3月以前から契約していた場合には保険料の一部が返還される可能性があります。
電動キックボードの自賠責保険について解説します。
ニュースのポイント
- 4月から電動キックボード向けの自賠責保険の保険料区分が新設
- 3月までに自賠責保険に加入していた場合、保険料の一部が返還される可能性
- 電動キックボードは原則として自賠責保険の加入が義務
2024年4月から、電動キックボードの自賠責保険料の区分が新設
電動キックボードの自賠責保険は、基本的に原付として保険料率が定められています。
2024年4月から、原付の自賠責保険料率に新たな区分が設けられ、対象となる電動キックボードには新料率が適用されるようになりました。
電動キックボードなど「特定小型原動機付自転車」の自賠責保険料
新設されたのは一定の基準を満たす電動キックボードを含む、「特定小型原動機付自転車」に対する保険料率です。
一般の原付に比べて、保険料率が低くなっています。
原付・電動キックボードの自賠責保険料(2024年4月1日以降)
一般原付 | 特定小型原動機付自転車 (電動キックボード) |
|
---|---|---|
12ヶ月 | 6,910円 | 6,650円 |
24ヶ月 | 8,560円 | 8,040円 |
36ヶ月 | 10,170円 | 9,400円 |
48ヶ月 | 11,760円 | 10,730円 |
60ヶ月 | 13,310円 | 12,040円 |
出典:損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」2024年1月17日届出
「特定小型原動機付自転車」に分類される電動キックボード
電動キックボードにはさまざまな種類がありますが、このうち以下の基準を満たすものは2023年7月の改正道路交通法により「特定小型原動機付自転車」に区分されました。
特定小型原動機付自転車の基準
警察庁によると、以下の基準を満たす車両が「特定小型原動機付自転車」に該当します。
また、基準を満たす車両にはその旨を証明する「性能等確認済シール」が付けられています。
車体の大きさ
- 長さ:190センチメートル以下
- 幅:60センチメートル以下
車体の構造
出典:警察庁「特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について」
- 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること
- 20キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと
- 走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
- AT機構がとられていること
- 道路運送車両の保安基準第66条の17に規定する最高速度表示灯が備えられていること
3月以前から原付として自賠責保険に契約していた場合には保険料が戻る場合も
電動キックボードには、原則として自動車や原付と同じように自賠責保険に加入する義務があります。
2024年3月以前には、多くの電動キックボードは原付として自賠責保険に加入していました。
4月になり保険料率に「特定小型原動機付自転車」の区分が新設されたことにより、対象となる電動キックボードの保険料は従来よりも低くなりました。
このため、保険期間や保険契約の始期によっては保険料の一部が返還される可能性があります。
自賠責保険料の返還対象になる契約
保険料が返還される対象になるのは、以下を満たす自賠責保険の契約です。
対象契約
出典:日本損害保険協会「【自賠責】特定小型原付の保険料(共済掛金)返還について」
- 保険(共済)始期が2024年3月以前かつ保険(共済)終期が2024年4月以降の契約
- 車種区分が原動機付自転車の契約
- 標識交付証明書、型式認定番号標または性能等確認済シール等により、「特定小型原動機付自転車」であることが確認できる契約
契約期間や地域により異なりますが、一例として、2023年7月1日始期、2年契約の場合には保険料のうち320円が返還されるようです。
保険料の返還は、日本損害保険協会の特設サイトで申し込み手続きのうえ、契約先の保険会社から届く手続き書類を提出して受け取ります。
自賠責保険の保険料とは
自賠責保険は交通事故による被害者を救済するための保険で、原付や電動キックボードを含むすべての自動車に加入が義務付けられています。保険料は車種や地域、保険期間に応じて定められる基準料率によって決まります。
法律で加入が義務付けられた強制保険のため、どこの保険会社で加入しても、車種や保険期間などの条件が同じであれば保険料は同額です(レンタルの電動キックボードなどでは、自賠責保険料は利用料に含まれることがあります)。
保険料の基準料率は、交通事故の発生状況などに応じて定期的に見直されています。
2024年4月の見直しでは、電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車の車両区分が新設されたのみで、他の車種の基準料率は据え置かれました。
出典:損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」2024年1月17日届出
出典:警察庁「特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について」
出典:日本損害保険協会「【自賠責】特定小型原付の保険料(共済掛金)返還について」
参考:国土交通省「電動キックボードの自賠責保険・共済」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー