個人の金融資産が過去最高を更新 保険の構成比は約18%
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
個人が保有する預金や株式などの金融資産額が、2023年末に過去最高を更新したことが日本銀行の調査でわかりました。
株価上昇により株式や投資信託の残高が増加したことが主な要因です。
一方で、保険の全体に占める構成比は約18%でした。
ニュースのポイント
- 個人の金融資産保有額は2,141兆円で過去最高
- 株式や投資信託が株価上昇により大幅増
- 最も多いのは現金・預金
個人の金融資産残高が過去最高を更新
日本銀行が金融資産・負債の推移などを、金融商品の種類ごとに記録した資金循環統計によると、個人の家計全体で保有する金融資産額は、2023年12月末時点で2,141兆円でした。
前年比約5%増加し、過去最高を更新しました。
株式・投資信託の残高が大幅増
資産増加の主因となったのが株式と投資信託です。
株式等は276兆円、投資信託は106兆円で、いずれも前年に比べ2割超増加しました。
昨年来の株価上昇の影響で、残高が大幅に増加した形です。
個人の金融資産の半分以上は現預金
一方で、現金・預金の保有残高も微増しています。
昨年末の残高は1,127兆円で、前年比1%増加しました。
資産全体に占める構成比は52.6%で、個人の金融資産の半分以上が現預金であることがわかります。
年金や保険など安定資産はおよそ4分の1
また、年金や保険などの残高は537兆円で、資産の25.1%を占めています。
このうち保険のみの残高は381兆円(17.8%)で、投資信託(5%)、株式等(12.9%)と比べて高い割合です。
年金や保険と現預金を合わせると、個人資産の大半が安定資産で占められていることがわかります。
国は個人の資産形成について貯蓄から投資への移行を促しています。
個人の任意で加入する年金制度「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や投資税制優遇制度である「NISA」の拡充など、資産運用の普及を進めています。
資金循環統計とは
資金循環統計は、日本国内の資産や負債の推移を記録した統計です。金融機関、法人、家計などの部門別に、現預金、証券、投資信託、株式などの金融資産別の残高や債務の状況がまとめられています。
日本銀行が1954年から作成しており、四半期ごとに公表されています。
出典:日本銀行調査統計局「2023年第4四半期の資金循環(速報)」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー