山口県、岡山県で自転車保険が義務化へ 2024年10月から
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
自転車事故を起こして相手にケガをさせるなどで賠償責任を負ったときに備えられる保険について、山口県と岡山県で条例が制定されました。
条例が施行される10月から、両県では自転車保険の加入が義務化されます。自転車保険の加入義務化はすでに全国の都道府県で条例制定が進んでおり、さらに広がる見込みです。
自転車に乗るときに加入すべき自転車保険の内容と合わせて、FPが解説します。
ニュースのポイント
- 10月から山口県、岡山県で自転車保険が義務化
- 加入が義務だが、罰則はない
- 自転車保険の加入率は全国で約6割
山口、岡山で自転車保険が義務化
山口県と岡山県で自転車の利用に関する条例が制定され、2024年10月1日から、自転車の損害を賠償する保険(以下、自転車保険)への加入が義務化されることになりました。
岡山県内では、岡山市ではすでに市の条例によって自転車保険への加入義務が定められています。
今回の県の条例は、岡山市以外の全域に適用されます。
自転車保険に加入義務がある対象者
条例により自転車保険への加入義務対象となるのは、県内で自転車に乗る人や自転車を運転する子どもの保護者、自転車を利用する事業者などです。
また、自転車販売店や従業員が自転車通勤をする事業者などには、運転する人に自転車保険の加入有無を確認したり、情報提供をしたりする義務があります。
義務化を満たす自転車保険
条例で加入義務の対象とされた保険は、「自転車損害賠償責任保険等」で、自転車による事故で人にケガをさせた、死亡させてしまったときに損害を補償する保険や共済です。
自転車保険義務化に対応できる自転車保険の種類
自転車を利用する個人向けの保険については、自転車専用の保険に限らず、両県では以下が対象になるとしています。
出典:岡山県「岡山県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」より
- 自転車向けの保険(共済)
- 自動車・火災・傷害保険(共済)等に付帯する個人賠償責任補償特約等
- クレジットカードに付帯する個人賠償責任補償
- 会社等の団体構成員向けの保険や、PTA・学校が窓口となる保険
- 自転車の車両に付帯したTSマーク保険(点検基準日から1年間) 等
※山口県でも上記と同様の保険が対象になります。
上記の保険に加入していれば、今回の義務化に伴って新たに自転車保険に加入する義務はありません。
自転車保険の加入率は全国で約6割
自転車事故の賠償に備える保険加入を義務とする条例は、全国の自治体で全国的に拡大傾向にあります。
条例制定に伴い自転車保険の加入率も増加しており、国土交通省によると2022年3月時点では62.7%です。
国の計画では2025年度までに加入率を75%とする目標を掲げており、将来的には100%を目指すとしています。
自転車保険の義務化とは
自転車に乗る人や自転車のレンタル・販売業者などに対して、自転車保険への加入や有無確認、情報提供などを義務付けるものです。各都道府県や政令市が条例によって定めており、地域内を自転車で通行する人や地域内の事業者に義務付けています。
ただし、もし保険に加入していなかった場合などに対する罰則はありません。
義務化に対応できる保険は、自転車専用の自転車保険だけでなく、自動車保険や傷害保険の特約で付帯する個人賠償責任保険や、こくみん共済・県民共済、会社や学校の団体保険、自転車の点検整備時に付帯するTSマークなどもあります。
出典:岡山県「岡山県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」
出典:山口県「山口県自転車の安全で適正な利用促進条例」
出典:国土交通省「自転車の活用の推進に関する指標について」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー