11月から自転車運転のルールが変更 2023年4月にはヘルメット着用が義務化へ
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
安全に自転車に乗るためのルールが、11月1日から新しくなりました。
自転車が関与する交通事故が増加していることなどを受けて、警察庁が15年ぶりに「自転車安全利用五則」を改定しました。また、来年4月頃には道路交通法の改正により、自転車に乗るときのヘルメット着用が努力義務になる予定です。
自転車に乗るときのルールやリスクについて、FPが解説します。
ニュースのポイント
- 11月から自転車に乗るときのルールがリニューアル
- 自転車に乗るときはすべての人がヘルメット着用
- 来春にはヘルメット着用が努力義務化へ
自転車に乗る人の「自転車安全利用五則」が改正
自転車の事故を防ぐために国が定めるルール「自転車安全利用五則」が、2022年11月1日から新しくなりました。
新しいルールは下記の通りです。
※1 出典:警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」
ヘルメット着用は子どものみから全員へ 23年春には義務化
特に変わったのは、ヘルメット着用です。これまでは子どものみが対象になっていましたが、年齢にかかわらずすべての人がヘルメットを着けることになりました。
警察庁のまとめによると、自転車事故による死者のうち58%が頭部の損傷によって命を落としており、非着用時の致死率は着用時の2倍以上に上るそうです。
なお、自転車乗車時のヘルメット着用は、2023年4月頃には道路交通法の改正により「努力義務化」される予定です。
改正後は、自転車を利用するすべての人が、乗車用ヘルメットを着けるよう努めなければなりません。
子どものヘルメット着用は、これまでと変わりません。幼児が自転車の幼児用座席に乗るときや、子どもが自転車を運転するときには、保護者がヘルメットをかぶせるように努めることになっています。
夜間はライトを点灯、 飲酒運転禁止など、安全ルールが具体的に
また今回の改定で、これまでは「安全ルールを守る」とまとめられていたルールが具体的になりました。たとえば、「夜間はライトを点灯」しなければなりません。違反した場合には5万円以下の罰金に科されます。
また、「飲酒運転は禁止」です。酒気を帯びて自転車を運転することはできません。酔った状態で運転すると、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に科されます。
また、酒気を帯びている人に自転車を提供したり、飲酒運転を行うおそれがある人に酒類を提供することも違反になるようです
自転車でも重症のリスクが
内閣府のまとめによると、令和3年に自転車の交通事故で死亡した人は361人で、交通事故死者数の1割ほどです※2。
しかし重傷者でみると24.2%が自転車乗用中のケガで、自動車や歩行中の事故とほぼ変わりません※2。
交通事故で重症をおった人のおよそ4人に1人は、自転車での事故だったことがわかります。
自転車事故の割合は増加傾向
また、交通事故に占める自転車の割合は増加傾向にあります。
昨年1年間の自転車事故件数は約7万件で減少傾向にありますが、このうち自転車事故の占める割合は22.8%と増加しています※1。特に都内では43.6%※3と、自転車事故のリスクが高いようです。
全国の警察では定期的に自転車ルールの遵守を呼びかけたり取り締まりを行ったりして、事故防止を目指しています。
自転車安全利用五則とは?
安全に自転車を利用するための交通ルールです。自転車は車道を走ることや、左側通行、夜間の点灯など、5つのルールが定められています。自転車は道路交通法上の軽車両にあたるため、車として交通ルールやマナーを守ることが求められています。
また、正しい自転車の乗り方を守ることで、事故を防ぎ、自分や他の人の身を守ることにもつながります。
「自転車安全利用五則」の一部のルールには、違反すると罰金や懲役が科される罰則もあります。また、自転車事故で人にケガをさせたりものを壊したりしたときには、民事上の賠償責任を負うこともあります。
※1 出典:警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」
※2 出典:内閣府「令和4年版交通安全白書」
※3 出典:警視庁「都内自転車の交通事故発生状況」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー