旅行のキャンセル料を補償するキャンセル保険 コロナによる取りやめ対象も
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
例年、夏から秋にかけてはレジャーシーズンとして、旅行に出かける人が多い時期です。
しかし、急な病気や台風、イベントの中止などによって、旅行をキャンセルしたときのキャンセル料が心配ということもあるでしょう。
最近、そんなときに補償されるキャンセル保険が注目されています。
旅行のキャンセルに備えられる保険について、FPが解説します。
ニュースのポイント
- 旅行のキャンセル料が補償される「キャンセル保険」
- ツアーや航空券、宿泊のキャンセルでかかる取消料に備えられる
- 入通院や台風、コロナなどによるキャンセルが対象
旅行需要の回復とともに注目されるキャンセル保険
国内外への旅行は近年、新型コロナ感染拡大の影響で需要が大幅に減っていました。
観光庁のまとめによると、新型コロナ感染が拡大した2020年に急減し、2022年4~6月期もコロナ禍前と比べると約25%減という水準でした。
2022年夏には3年ぶりに行動制限のないレジャーシーズンを迎え、旅行への需要が高まってきているようですが、同時に、感染拡大やイベントの中止など、コロナに関連したキャンセルのリスクもあるようです。
取り消しの時期によってはキャンセル料がかからないこともありますが、直前のキャンセルや予約内容によってはキャンセル料がかかってしまうことがあります。そのような出費に備えるのが、キャンセル保険です。
パック旅行、航空券、ホテルなどのキャンセル料が保険で支払われる
旅行のキャンセル保険は、旅行の予約をキャンセルし、旅行会社や航空会社などから払い戻しを受けられず、キャンセル費用を自己負担したときに保険金が支払われる保険です。
パッケージツアーや航空券、ホテルなどの宿泊をキャンセルしたときにかかったキャンセル料が対象になるものが一般的です。
宿泊を伴う旅行だけでなく、日帰りツアーも対象になるもあります。
キャンセル専用の保険も
キャンセル保険はパッケージツアーや航空券を予約したときに、セットで旅行代理店や旅行サイト、航空会社を通して加入したり、国内旅行保険・海外旅行保険とセットで契約するものが多いようです。
補償内容の詳細は商品によって異なりますが、一部にはキャンセル保険のみを単独、任意で契約できる保険会社もあります。
病気やケガ、自然災害など補償されるキャンセル理由はさまざま
補償されるキャンセルは、航空機の欠航や運休、電車の遅延、本人や家族の入院や通院、子どもの発熱、台風や大雨、大雪による特別警報の発表など、やむを得ない理由による取消です。
対象になるキャンセル理由は保険会社によって一部異なり、ペットの犬猫の死亡によるキャンセルが対象になる保険もあります。
ただし支払われる保険金は、キャンセルの理由によって異なることがあります。
本人や家族の死亡や所定の入院、自然災害や航空機の遅延などの場合はキャンセル料の全額が実費で支払われるものが中心ですが、キャンセル理由の内容によっては保険金額が80%や50%などになるものがあります。
コロナによる自宅療養や外出制限もキャンセル保険の対象
キャンセル理由には、新型コロナに関連したものも一部で対象になります。
たとえば新型コロナに感染して入院、宿泊療養や自宅療養をして旅行をキャンセルしたときや、濃厚接触者となり健康状態の報告を求められた場合、PCR検査を受け結果待ちのために旅行に行けなかった場合、旅行先で参加予定だったイベントが新型コロナ感染拡大の影響で中止や延期などとなり、予約をキャンセルした場合などです。
新型コロナに関連したキャンセルへの補償も、保険会社により異なることがあります。
感染拡大のみや任意の外出自粛のみを理由としたキャンセルは、対象にならないところが多いようですので、詳細は契約先の保険会社に確認しておきましょう。
出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査2022年4-6月期」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー