マイナンバーカードの保険証利用の普及に向け加算額を見直し 2023年4月からは原則義務化へ
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
マイナンバーカードを健康保険証として利用する際にかかる医療費の加算額が、10月から引き下げられます。
現況は3割負担の人で初診時に21円加算されていますが、10月以降は6円となる見込みです。
マイナンバーカードの健康保険証利用と医療費への影響について解説します。
ニュースのポイント
- マイナンバーカードを健康保険証として利用する際の加算額が引き下げ
- 初診時の加算額は3割負担で6円に、再診時はゼロに
- 2023年4月以降は原則としてマイナンバーカード利用が義務化
マイナンバーカードを健康保険証利用での加算額が引き下げ
医療機関や薬局での本人確認には、昨年から従来の健康保険証に代えてマイナンバーカードを利用できるようになりました。
また、今年4月からはマイナンバーカードでの本人確認に対応する医療機関に対して診療報酬が加算され、受診する人に自己負担が生じていました。
しかし、負担への配慮やマイナンバーカード普及の観点から、診療報酬が見直されることになりました。
初診時の加算は減額、再診時は加算なしに
見直されたのは、受診時の本人確認を行う病院や薬局などに月1回に限り支払われる診療報酬です。
現在、マイナンバーカードを保険証として利用すると、医療機関への診療報酬として初診時には3割負担で21円、再診時には12円が医療費に加算されることになっています。
これが、10月からは初診時の加算が6円へ引き下げられる見込みです。また、再診時には加算されなくなります。
医療機関での本人確認にはこれまで健康保険証が用いられてきました。
健康保険証での本人確認でも医療費の診療報酬の対象になりますが、加算額はマイナンバーカードでの本人確認の方が高くなっていました。
従来型の健康保険証には医療費加算が上乗せ
一方で、従来型の健康保険証を使って受診するときの医療費は今後、上乗せされます。
現在、初診時には月1回に限り3割負担で9円の医療費が加算されていますが、10月以降はマイナンバーカードに対応する医療機関で従来型の保険証を使うと、加算額が12円になります。
将来は従来型の健康保険証は廃止へ
マイナンバーカードの利用が広がるにつれて、将来的には従来型の健康保険証は原則として廃止される見通しです。
厚生労働省によると、2023年4月からはすべての病院や薬局でマイナンバーカードでの本人確認に対応したシステム導入が義務化されます。
また2024年度中を目途に、加入している健康保険で保険証を発行してもらうのは選択制となる予定です。
さらに、マイナンバーカードでの本人確認導入の状況等を踏まえて、保険証の発行は原則として廃止を目指す見通しです。
ただし、本人の希望で申請をすれば、保険証を発行してもらうこともできるようです。
マイナンバーカードの健康保険証利用の普及とは?
マイナンバーカードに対応する病院や薬局などの医療機関では、健康保険証の提示に代えて、顔認証付のカードリーダーにマイナンバーカードをかざして受付ができます。2022年5月現在、機器の導入が完了し運用を開始している施設は19%にとどまっていますが、約6割の施設はすでにカードリーダーの申込が完了し、導入予定です。
政府は2022年度中におおむねすべての医療機関・薬局での導入を目指していて、カードリーダーの申込や改修工事の働きかけを行っています。また、受診する人に向けてはマイナポイントの付与も行っています。
マイナンバーカードを健康保険証として利用するために事前登録をした人には、1人あたり7,500円相当のポイントがもらえます。
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会「医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け」
出典:厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会「オンライン資格確認等システムについて」
参考:マイナポータル「マイナンバーカードの健康保険証利用」
参考:マイナポイント事業ホームページ
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー