2022年受付の確定申告から 地震保険料や医療費がスマホとマイナンバーカードで自動入力が可能に
加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る
2022年2月に受付開始する確定申告で、電子申告に必要なデータの入力が簡便になります。マイナンバーにひも付いたデータを自動入力できる範囲が広がるためです。
保険や医療費、住宅ローンなど、税控除に関わるデータを確定申告用システムに反映して自動で計算することができ、会社員など通常は年末調整のみを行う人も活用できそうです。
ニュースのポイント
- 2021年(令和3年)分の確定申告から、地震保険料や医療費データの自動入力が可能に
- ふるさと納税、住宅ローン減税なども自動入力できる
- マイナンバーのサイト「マイナポータル」で事前準備が必要
2022年、マイナンバーを活用した確定申告の自動入力が拡大
生命保険や地震保険に加入しているとき、住宅ローンを返済しているときなどには、所得税や住民税の控除を受けられることがあります。会社員などは一部について年末調整で控除が精算されますが、基本的には支払った保険料、医療費、ローン返済額などから控除額を計算し、自分で確定申告します。
確定申告をするには控除に必要な証明書を集める必要がありますが、マイナンバーにひも付いた一部の情報は、事前設定をすることで各証明書のデータをまとめて取得し、申告書に自動的に入力できます。
2022年2月に申告受付を開始する「令和3年分確定申告」からは、自動入力できるデータが拡大します。
自動入力可能になるのは地震保険やふるさと納税、医療費のデータ
今回から新たに自動入力できるようになるのは、ふるさと納税や地震保険料、医療費控除のデータです。すでに自動入力可能だったものと合わせて、税の申告に関する下記のデータが対象になります※1。
※2022年1月上旬から、令和3年分の確定申告書を作成するためのデータの取り込みや申告データへの反映、自動計算などのサービス開始予定(うち医療費については、マイナンバーカードを健康保険証として利用する場合に、2021年9月~12月の情報のみ、2022年2月上旬に取得可能になる予定)。
これらのデータは、マイナンバーによる行政手続きシステム「マイナポータル」を通して一括で取得し、確定申告を電子的に手続きできる国税庁のサイト「e-Tax」に自動入力できます。画面上では、控除額も自動計算されます。
自動入力にはマイナンバーカードとスマホなどが必要
自動入力で確定申告をするには、マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダライタ)で事前準備が必要です。マイナポータルの利用登録をしたうえで、マイナポータルと国税庁の「e-Tax」の連携手続きをします。
別途、マイナポータルには保険会社やふるさと納税のポータルサイト等のインターネットアカウントと連携しておきます。すると、e-Taxで確定申告書を作成する際に、連携した保険やふるさと納税などの情報が、申告書の控除欄に自動で入力されるようになります。
各種アカウントの連携を一度設定すれば、来年以降には再度手続きをしなくても新しい情報を取り込むことができます。毎年各社から郵送される控除用の証明書から紙の申告書に転記したり、申告書サイトに手動で入力する手間を省くことができます。
マイナポータルに控除証明書情報を連携できる保険会社等は、下記から確認できます。
スマホ・PCから申告まで可能
また、e-Taxでは申告書の作成だけでなく、スマホやパソコンから税務署への申告手続きまで完了することもできます。
国税庁によると、マイナンバーカードを確定申告に活用できる範囲は今後も拡大予定とのことです。確定申告になじみがない人にも、税の控除のために気軽に利用できるようになりそうです。
確定申告の控除とは?
所得税には、生命保険や地震保険の保険料、医療費を支払ったとき、住宅ローンを返済したとき、ふるさと納税をしたときなどに、1年間に支払った金額に応じて税の軽減を受けられる「控除」のしくみがあります。うち、保険や住宅ローン(借入初年度を除く)は、金融機関から送られてくる「控除証明書」を勤務先に提出することで、会社員等の場合は確定申告をしなくても年末調整で控除が反映されますが、勤務先の期限に間に合わなかったときなどは、自分で確定申告が必要です。
※1 出典:国税庁「国税庁ホームページでの所得税等の申告書作成・e-Taxがますます便利に!
※2 出典:国税庁「令和3年分確定申告特集」
※3 出典:国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー