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【専門家が解説】ライフィ保険ニュース解説 【専門家が解説】ライフィ保険ニュース解説

介護保険料の滞納 65歳以上の差し押さえが過去最多に

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

介護保険料の滞納 65歳以上の差し押さえが過去最多に|ライフィ保険ニュース解説

公的介護保険の保険料を滞納して、財産の差押えを受けた人が2019年度に過去最多を記録したことが、厚生労働省の調査で明らかになりました。

65歳以上の人の介護保険料は、基本的には受給する年金から天引きで徴収されますが、一部の人は自分で納めることになっており、保険料の負担が難しい人が増えているとみられています。

公的介護保険制度の保険料のしくみとともに、FPが解説します。

ニュースのポイント

  • 介護保険の保険料の滞納による差し押さえが過去最多に
  • 保険料は年金からの天引きが基本だが、自分で納める場合も
  • 滞納が続くと預金や不動産が差し押さえられる

65歳以上の介護保険料の滞納による差し押さえが過去最多に

公的介護保険制度に加入している65歳以上の人のうち、保険料を滞納して財産の差し押さえ処分を受けた人が、2018年度には2万人に迫ったことが、厚生労働省※1の調査でわかりました。

差し押さえを受けた人数は19,221人で、過去最多を更新。2014年度に1万人を超えてから、約2倍に増加しています。

介護保険料の滞納は250億円前後

介護保険の保険料は、40歳から64歳までは健康保険料から、65歳以上では受け取る公的年金からの天引きで徴収されるのが基本です。この場合、保険料を滞納することはしくみ上ありませんが、受け取る年金が年18万円を下回る人などは自分で納めることになっています。

厚生労働省※2によると、自分で保険料を納める人が払い込んだ保険料の収納率は89.5%。2018年度現在、未収額は累計236億円にのぼるといいます。

未収額は近年減少傾向にありますが、滞納は公的年金が少ない人や無年金の人が多いとみられ、低所得の高齢者の負担が懸念されています。このため、地域によっては所得の低い人に保険料の軽減措置を設けています。

介護保険料を滞納するとどうなる?

介護保険料を自分で納める場合、所定の納期限までに払い込むのが原則です。期限を過ぎても長期にわたって納付しないと、介護保険のサービスを受けるときの自己負担が増えたり、預金や不動産などを差し押さえられたりすることがあります。

まず督促、延滞金が加算される

保険料の払い込みが遅れると、地域の窓口から払い込むよう呼びかけの通知や督促状が届くのが一般的です。遅れた日数に応じて延滞金がかかることもあります。

また、特別な事情がないのに滞納を続けていると、介護サービスを受けるときに、本来は1割~3割とされている自己負担割合がいったん全額になります。申請手続きをすることで、一度全額負担した介護サービスの費用の一部が戻ってきますが、滞納が続いていると、戻ってきた金額は滞納した保険料に充てられます。

2年以上滞納が続くと時効によって保険料の納付ができなくなりますが、自己負担の割合が3割などに据え置かれてしまう措置もあるようです。このような処分を受けている人は1万人以上いるようです。

それでも払わないと預金や不動産の差し押さえ

自治体からの納付の呼びかけや督促に応じずに納付しないままにしていると、自治体が金融機関などに財産調査をして、財産を差し押さえられることがあります。

差し押さえられる可能性があるのは、自宅などの不動産、預貯金のほか、生命保険契約や自動車、株式や債券などの有価証券、電化製品、宝石などの貴金属、骨董品、絵画などです。
これらで換金できる可能性のある財産は、差し押さえによって換価処分をして、滞納した保険料にあてられることがあります。

用語解説

介護保険料とは?

公的介護保険のサービスを受けるために、40歳以上の加入者が納める保険料。
市区町村が、各地域での介護サービスの利用状況の見込み、および個人の所得に応じて設定し、3年に1回改定されます。2020年度の保険料の基準額は全国平均で月額5,869円。

保険料の払い込みは、40歳から64歳は健康保険料と同時に徴収、65歳以上は年金から天引きされるのが基本です。
ただし65歳以上でも、受給する年金が年額18万円未満の場合は「普通徴収」といって、自分で納めます。
※1 出典:厚生労働省「介護保険最新情報vol.875(PDF:276KB)」
※2 出典:厚生労働省「平成30年度 介護保険事業状況報告(年報)」

参考:厚生労働省「第7期計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」
参考:日本年金機構「年金からの特別徴収」

この保険ニュースの解説者

加藤 梨里(かとう りり)

加藤 梨里(かとう りり) マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー

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