自動車を所有する人が必ず加入しなければならない自賠責保険。原付を含むバイクも自賠責保険の加入義務の対象になっています。
バイクの自賠責保険はどのようなものなのでしょうか?
自賠責保険の補償内容や保険料、加入しなかったときの罰則について解説します。
原付・バイクの自賠責の補償内容は?
自賠責保険は、交通事故による被害者の救済を目的とした保険です。法律で加入が義務付けられており、自動車だけでなくバイクや原付でも加入します。
基本的に保険の内容は同じですが、バイク向けの自賠責保険のことを「バイク自賠責保険」と呼ぶことがあります。
対象になる事故
自賠責保険は、自分が起こした事故で人にけがをさせた、死亡させたときに保険金が支払われる「対人賠償」の補償です。
人身事故が対象のため、ものにぶつかったときや、自分のバイクが壊れたときの物損事故は対象外です。
補償内容と限度額
自賠責保険の補償は、被害者にけがをさせたとき「傷害」、事故でのケガによる「後遺障害」、被害者の「死亡」への賠償費用の3つがあります。
※はみ出ている場合、横にスクロールできます。
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支払の対象 となる損害 |
限度額(被害者1人につき) |
傷害 による損害 |
治療関係費、文書料、 休業損害、慰謝料など |
120万円 |
後遺障害 による損害 |
逸失利益、慰謝料など |
- 神経系統の機能や精神・胸腹部臓器へ
の著しい障害で、介護を要する場合: 3,000万円~4,000万円
- 1以外の場合: 75万円~3,000万円
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死亡 による損害 |
葬儀費、逸失利益、 慰謝料など |
3,000万円
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自賠責保険はどこで加入できる?
バイクの自賠責保険は、保険会社や、自賠責保険を取り扱う保険代理店で加入できます。
250㏄以下のバイクの自賠責保険は、郵便局のほかインターネットやコンビニで手続きできます。
保険料の支払いは現金が基本ですが、インターネットで申し込む場合はクレジットカード払いです。
自賠責保険の保険料は?(1年~5年)
自賠責保険の保険料は、車種と保険期間に応じて決まっています。どこの保険会社で契約しても保険料は一律です。
また、自賠責保険は実際に起きた事故の損害率をもとに保険料が決められており、定期的に保険料が見直されています。
原付・50ccスクーターの自賠責保険料
125cc以下の原付は最長60ヶ月(5年)で契約することができます。長期で契約すると、1年あたりの保険料が割安になります。
125㏄以下のバイク自賠責保険料
保険期間 |
保険料 |
1年あたり の保険料 |
1年 |
6,910円 |
6,910円 |
2年 |
8,560円 |
4,280円 |
3年 |
10,170円 |
3,390円 |
4年 |
11,760円 |
2,940円 |
5年 |
13,310円 |
2,662円 |
※2023年4月1日以降保険始期契約、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用。1年あたりの保険料は、保険料を保険期間の年数で割り、小数点以下を四捨五入して算出
250㏄以下のバイク(軽2輪)の自賠責保険料
125cc超250cc以下のバイク(軽二輪自動車)も最長60ヶ月(5年)で契約することができ、長期で契約すると、1年あたりの保険料が割安になります。
125㏄超~250㏄以下のバイク自賠責保険料
保険期間 |
保険料 |
1年あたり の保険料 |
1年 |
7,100円 |
7,100円 |
2年 |
8,920円 |
4,460円 |
3年 |
10,710円 |
3,570円 |
4年 |
12,470円 |
3,118円 |
5年 |
14,200円 |
2,840円 |
※2023年4月1日以降保険始期契約、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用。1年あたりの保険料は、保険料を保険期間の年数で割り、小数点以下を四捨五入して算出
250㏄超のバイク(小型二輪)の自賠責保険料
排気量が250ccを超えるバイクは軽自動車と同じ扱いになり、車検が必要です。自賠責保険は車検を受ける際に加入します。
250㏄超のバイク自賠責保険料
保険期間 |
保険料 |
12ヶ月 |
7,010円 |
24ヶ月 |
8,760円 |
25ヶ月 |
8,910円 |
36ヶ月 |
10,490円 |
37ヶ月 |
10,630円 |
※2023年4月1日以降保険始期契約、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用
特定小型原付の自賠責保険料
2024年4月から、原付の自賠責保険料率に新たな区分が設けられました。一定の基準を満たす電動キックボードが対象です。
特定小型原付の自賠責保険料
保険期間 |
保険料 |
1年あたり の保険料 |
1年 |
6,650円 |
6,650円 |
2年 |
8,040円 |
4,020円 |
3年 |
9,400円 |
3,133円 |
4年 |
10,730円 |
2,683円 |
5年 |
12,040円 |
2,408円 |
※2024年4月1日以降保険始期契約、離島以外の地域(沖縄県を除く)に適用。1年あたりの保険料は、保険料を保険期間の年数で割り、小数点以下を四捨五入して算出
自賠責保険が切れていたらどうなる?
バイクを買ったときには必ず加入する自賠責保険。もしも有効期限が切れてしまったらどうなるのでしょうか。
未加入や期限切れだと罰則・罰金がある
バイクを運転するときには、必ず有効期限内の自賠責保険に加入していなければなりません。
未加入や期限切れ、更新をしないままのバイクを運転すると、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金(自動車損害賠償保障法)」が科されてしまいます。
また免許の停止処分にもなってしまいます。自賠責保険がない無保険で運転することは「違反点数6点」の交通違反です。6点は、即座に免許停止処分になります。
自賠責保険に未加入の場合の罰則
250cc超のバイクや自動車は車検を受ける義務があり、そのときに自賠責保険の加入や更新をします。
有効な自賠責保険に加入していないと車検を受けられないため、加入や更新を忘れることは少ないですが、250cc以下のバイクは車検が不要のため、自賠責保険の加入や更新漏れに注意が必要です。
満期の確認方法は?
自賠責保険の保険期間は、12か月、24か月などがあります。車検が不要な排気量250cc以下のバイクや原付の場合はステッカ(保険標章)に、有効期限年ごとの色がついており、有効期限の年月が記載されています。
250ccを超えるバイクは車検の対象のため、車検を受けたときに交付される車検シール(検査標章)に記載される有効期間が、自賠責保険の有効期間になります。
保険会社によっては、満期の案内がハガキなどで届く場合があります。更新手続きに間に合うよう、前もって届くことが多いですが、契約した後に引っ越しなどで住所が変わり、住所変更手続きをしていないと通知を受け取れないことがあります。
特に車検のない250cc以下のバイクは、車検の時に自賠責保険の有効期限を確認する機会がありませんから、自分で満期を確認しておくことが大切です。
バイク・原付に乗るなら必ず、自賠責保険に加入を
自賠責保険は、バイクも含め加入が法律で義務付けられた強制保険です。
未加入だと罰則や罰金があるだけではなく、万が一事故で相手をケガさせてしまったとき、被害者の治療費や慰謝料など自分で負担しなければなりません。それは高額に上る恐れがあります。
今乗っているバイクがきちんと自賠責保険に加入しているか、満期がいつまでかを確認しておきましょう。
※2025年4月現在の情報をもとに執筆しています。情報は更新されている場合がありますので、最新の情報や詳細は引受保険会社にご確認ください。
参考:自賠責保険・共済ポータルサイト「自賠責保険・共済に加入するには」
参考:自賠責保険・共済ポータルサイト「電動キックボードの自賠責保険・共済」
参考:国土交通省「特定小型原動機付自転車について」
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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