個人年金保険は、老後資金を準備するための積立型の保険です。払い込んだ保険料の一部が運用され、その原資をもとに60歳や65歳以降に一定期間にわたって年金を受け取ることができます。
50歳頃までの現役時代に契約して、長期にわたって保険料の一部を積み立てるものが一般的ですが、保険料を一度に支払う一時払いの個人年金保険には、老後が近づいてきた時期に契約できるものもあります。
また、日本円で保険料を払い込み、将来に受け取る年金も日本円のもののほか、年金を米ドルや豪ドルなど外貨で受け取る個人年金保険もあります。
個人年金保険でどんな備えができる?
個人年金保険では、現役を引退した後の老後の生活でかかる費用に備えられます。
老後資金を貯められる
働いた収入で生活費をまかなっている人は、定年退職などで現役を引退し、収入が減ると家計が厳しくなる恐れがあります。老後の暮らしには退職金や公的年金をあてることができますが、それだけではゆとりのある生活には不足する恐れも。
そこで、個人年金保険で老後の生活資金を補てんすることができます。あらかじめ払い込んだ保険料を積み立てて、60歳や65歳などから一定期間にわたって、年金形式でお金を受け取るしくみです。なかには、生きている限り受け取れる「終身年金」のタイプもあります。
払い込んだ保険料の一部は保険会社で運用され、配当金がつくことがあります。その結果、将来に受け取る年金の総額が、払い込んだ保険料の総額よりも上回ることがあります。
ただし、近年は低金利の影響で、日本円の個人年金保険の積立利率はそれほど高くないため、大幅に増えることはあまり期待できません。そのため、個人年金保険を取り扱う保険会社は少数です。さらに、通販で契約できる個人年金保険はごく一部に限られています。
外貨、株式などで運用する個人年金保険も
老後まで時間がある、元本割れのリスクがあってもより高い運用結果を狙いたいという人に向けては、外貨建ての個人年金保険や、株式などで運用する変額個人年金保険もあります。
外貨建ての個人年金保険は、積み立てた保険料を米ドル、ユーロ、豪ドルなどに両替したうえで積み立てて、将来に外貨で年金を受け取る個人年金保険です。日本円に比べて金利の高い通貨で積み立てることでお金を増やす期待ができる反面、為替変動の影響を受けます。
受け取った年金を日本円に両替したときの為替レートによっては、払い込んだよりも受取りが少なくなるリスクもあります。
変額個人年金は、払い込んだ保険料の一部を使って国内外の株式や債券などで運用し、その成果次第で将来に受け取る年金が変動する個人年金保険です。どんな商品で運用するかは自分で決めるため、契約した時点では将来に受け取る年金額は決まっていません。運用実績が高ければ、年金額が増えることを期待できる反面、運用が芳しくないときには、元本割れをするリスクもあります。
なお、外貨建て個人年金保険や変額個人年金保険は、すべて対面で契約することになっています。ネットや通販では申し込みができず、保険会社や保険代理店などの担当者の説明を受けてから、申込みをします。
老後資金の準備に、個人年金保険を上手に活用
このように、公的年金の上乗せとして老後資金を準備できる個人年金保険。
以下の記事では、個人年金の活用法や老後資金の準備方法などについて解説しています。ご自身やご家族の貯蓄や家計収支、保険以外の資産の状況などをふまえて、ゆとりある老後の生活を計画的に準備したいですね。