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更新:(公開:2019年10月23日)

がん保険は必要?治療費を軽減できる公的制度と合わせて解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

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がん保険を検討する際、「がん保険は本当に必要なのか」「加入すべきか」と迷う方もいるでしょう。

がんの医療費には公的な補助制度もあるため、「がん保険は必要ない」という考えもあります。

では、がん保険は必要なのでしょうか?

がん治療費を軽減できる公的制度を確認しながら、がん保険の必要性について考えてみましょう。

がん保険は必要?

がん保険は、がんと診断された場合や、がんによる入院・手術・治療を受けた際に保障される保険です。

一般的な医療保険はさまざまな病気やケガが対象ですが、がん保険はがんのみが対象となるため、がん以外の病気にかかったときには利用できません。

また、公的医療保険によって、がんを含む保険適用の治療を受けた場合の医療費負担は軽減されます。

そのため、「がん保険は必要ない」、「がん保険の保険料を払うのはもったいない」という考えもあるようです。

がんの治療費を軽減できる公的制度

がん治療にかかる費用負担は、公的な補助制度で軽減できる場合があります。

おもに、次のようなしくみがあります。

保険診療は3割負担

公的医療保険制度では、がんを含む保険適用の治療にかかる医療費の自己負担割合は、70歳未満の人や70歳以上で現役並みの所得がある人の場合、3割です。

このため、保険適用であれば、がん治療にかかる医療費の負担も大幅に軽減されます。

1ヶ月の自己負担額に上限がある(高額療養費)

また、公的医療保険制度には、「高額療養費」というしくみもあります。

これは、3割負担した医療費が、1ヶ月ごとに所定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

自己負担の上限額(自己負担限度額)は、年齢や所得によって異なります。

たとえば、年収が約370万~約770万円の場合、「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」という計算式が適用されます。

医療費の総額によっても変わりますが、1ヶ月あたりの負担額は目安として8~9万円程度に抑えられます。

長期治療の場合、負担がさらに軽減される(多数回該当)

医療費の自己負担が複数の月で高額になった場合、さらに負担を軽減できる制度もあります。

これは高額療養費の「多数回該当」と呼ばれるしくみで、12ヶ月以内に3回以上、自己負担額が上限に達した場合に、4回目以降は上限額が引き下げられます。

抗がん剤治療や放射線治療などを継続的に受けることで、高額な医療費が長期間にわたってかかる場合などにも利用できます。

先ほどと同様に、年収約370万~約770万円の場合には、1ヶ月の自己負担限度額が44,400円に抑えられます。

自治体の助成制度を利用できる場合も

さらに、住んでいる地域によっては、独自の制度として、特定のがんにかかる自己負担額を補助したり、医療用グローブやストッキングの購入費用、がん治療に伴う外見(アピアランス)ケアの費用を補助したりする制度が設けられている場合もあります。

がん保険のメリット

このように、公的制度を利用することで一定の治療費を軽減することができますが、さらにがん保険に加入する必要があるのでしょうか?

公的制度でカバーできないがん保険の特長やメリットを挙げてみましょう。

保険適用外の治療にも備えられる

がんの治療方法には、国が安全性や有効性を認めた標準治療のほか、研究段階の先進医療や患者申出療養、自由診療などがあります。

標準治療には公的医療保険が適用されますが、それ以外の治療は保険の対象外となり、医療費は全額自己負担です。

また、高額療養費制度などによる負担軽減も受けられません。

こうした治療を選択した場合の負担に備えて、がん保険には、先進医療給付金自由診療給付金などの保障を付加できるものがあります。

また、実額補償型のがん保険では、保険会社所定の自由診療を含め、実際にかかった治療費を補償します。

このように、公的な保険がきかないがん治療を選択した場合にかかる費用に備えたいときに、がん保険を活用できるでしょう。

治療費以外のお金や収入減にも活用できる

がん治療のために入院するときには、差額ベッド代、食事代、入院中の衣類、日用品費、家族のお見舞いのための交通費など、治療費以外にお金がかかる場合があります。

がん保険の診断給付金入院給付金などは、入院中にかかるこれらの費用に充てることができます。

また、入院後に通院を続ける場合には、外来の診療費以外に交通費もかかります。

がん保険の通院給付金治療給付金では、通院時にかかる費用に備えることができます。

がんの治療中には、副作用により脱毛が生じることがあり、医療用ウィッグなどの外見ケア用品が必要になる場合もあります。外見ケアにかかわる保障で、このような費用に備えられるがん保険もあります。

治療との両立や、副作用による体調不良のために仕事を休むなど、がん治療中には収入が減少する場合もあります。一部のがん保険ではこうした経済的負担を軽減するために、がんの診断後所定の期間にわたり、収入サポート給付金などを受け取れる商品もあります。

治療費の不安の軽減にもつながる

万が一、がんにかかった際には、病気への不安だけでなく治療などにかかるお金の心配が精神的なダメージになる場合もあります。

がん保険に加入していることで、治療費に対する漠然とした不安を軽減できることもあるでしょう。

また、がんの入院や治療をした後に給付金を受け取れることももちろん重要ですが、治療を受ける前の段階でお金の不安を軽減できると、心強い備えになるはずです。

がん保険の診断給付金は、がんと診断確定された時点で一時金を受け取れます。

診断確定されていることがわかる診断書などを用意すれば、入院や手術などのがん治療が始まる前に請求できるため、経済的な不安を早期に抑えることもできるでしょう。

治療費の備えに、がん保険が必要か検討を

がん治療にかかる医療費には、公的な医療保険制度による補助があります。

しかし、がんにかかった際には治療費以外にもさまざまな費用が発生し、経済的な不安が精神的な負担につながることもあります。

こうした多方面の負担を軽減する方法の一つとして、がん保険の活用が考えられます。

がんにかかったとき、どのような治療を受けたいか、どのような経済的負担に備えたいかは、人それぞれ異なります。

ご自身のニーズに合わせて、がん保険の必要性を検討してみましょう。

※2025年7月現在の情報をもとに執筆しています。情報は更新されている場合がありますので、最新の情報や詳細は加入先の保険制度窓口へご確認ください。

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  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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