更新:公開:2020年4月2日

新型コロナの濃厚接触者で仕事を休んでも、給料・休業補償はもらえる?FPが解説

執筆者:
加藤 梨里|ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、健康経営エキスパートアドバイザー

新型コロナの濃厚接触者で仕事を休んでも、給料・休業補償はもらえる?FPが解説

新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、身近な人が感染するケースも増えてきているようです。家族や職場で感染者が出た場合には自分が「濃厚接触者」にあたり、仕事を休んだり外出を自粛することがあります。

もしも濃厚接触者になって仕事を休んだら、給料はどうなるのでしょうか?また、休業補償は受け取れるのでしょうか? 新型コロナの濃厚接触者に関する制度を解説します。

※この記事は2021年6月30日現在の情報を元に制作しています。

濃厚接触者で自宅待機になると仕事ができないことも

家族や職場の同僚などが新型コロナウイルス感染症に感染したとき、周りにいた人が「濃厚接触者」と判断されることがあります。

濃厚接触者とは?

新型コロナの濃厚接触者は、感染した人と近距離・長時間接触して、感染のリスクが高くなっている人が該当します。以下が判断の基本ですが、接触時にマスクを付けていたかどうか、会話や飲食をしていたかどうかなど、個別の状況も含めて判断されるようです。

  • 感染者と1m程度以内で
  • 15分以上の接触があった

出典:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

濃厚接触者の判断は保健所が行います。該当すると保健所の指示に従ってPCR検査を受け、検査結果にかかわらず自宅待機するのが基本のようです。

待機期間は14日間で、不要不急の外出は控えることになっています。そのため、職場へ出社することができず、仕事内容によっては休業しなければならないケースもあるでしょう。

濃厚接触者で仕事を休んだときの給料(休業)補償は?

濃厚接触者になると、PCR検査の結果が陰性であっても、感染した人と接触した14日間は外出を控えなければなりません。14日間もの間仕事ができなくなると収入への影響も心配です。

では、そのようなときに給料はどうなるのでしょうか?仕事内容や休むことになった際の状況によって個別の違いがあるようですが、休業の判断方法によっておおまかな対応が分かれます。

休業手当として平均賃金の60%以上を受け取れる

勤務先から、濃厚接触者になったことを理由に休むよう指示された場合には、給料または休業手当を受け取れるのが、基本的な考え方です。

濃厚接触者に該当した、または発熱や咳などの症状がある場合には、各地域にある新型コロナの「受診・相談センター」に相談することになっています。そこで相談した結果、仕事をしても差し支えない健康状態と判断された場合には、在宅勤務を可能とするなど、会社側は従業員が仕事を続けられるように最善の努力を尽くす義務があります。

会社が通常行うべき対処なしに従業員を休ませると、従業員は労働基準法で定められた「使用者の責」によってやむを得ず休んだことになります。この場合、会社側は休業手当を払わなければなりません。休業手当は、平均賃金の60%以上とされています。

会社からの指示で休むと休業手当の対象

たとえばコロナの症状がなく仕事ができる状態で、パソコンや通信環境などを整えてもらえば自宅でも仕事ができるものの、会社側の都合で在宅勤務が認められないケースや、会社側の判断で休業を指示されたケースが該当します。このような場合、年次で付与される有給休暇を消化するように、会社側が一方的に指示することはできないのが原則です(会社に、年次有給休暇とは別に病気休暇の制度がある場合には、そちらを利用することがあります)。

また「37.5度以上の発熱があったら休業すること」「咳が出ているときは休業すること」など、一定の症状を理由に会社側が定めたルールで休業を命ぜられた場合も、原則として「使用者の責」による休業にあたります。この場合も、休業手当の対象になります。

<会社の指示で休み、休業手当の対象になるおもな例>
  • 在宅勤務が可能にもかかわらず、休業を命ぜられた
  • 「発熱したら休むこと」など、会社側のルールにより一律で休業を命ぜられた

自己判断で休むと休業手当は対象外

一方で、自分の判断で仕事を休む場合には、休業手当の対象にはなりません。風邪で休むのと同じように、自己都合での病欠と扱われます。

発熱がある、咳がでている、頭痛がするなどの症状があれば会社の指示がなくても自己判断で休むことがあるでしょう。PCR検査の結果がまだ判明していない段階では、それは体調不良での病欠とされるわけです。当然、年次有給休暇は使えます。

また、休業が4日以上連続した場合には4日目から傷病手当金の対象になります。これは新型コロナに限らず病気やケガで仕事を休んだときに、おおよその給料(標準報酬月額)の3分の2相当の金額を、日割りで受け取れる制度です。

会社によっては、独自の病気休暇・特別休暇制度を活用できることがあります。年次有給休暇とは別に有給扱いになるところもあります。現状で法的な決まりはありませんが、こうした制度を整備するよう、国は企業に呼びかけているところでもあります。

実際に給料が支払われるか、休業手当の対象になるかどうかは個別事例に応じて総合的に判断されます。具体的な対応は勤務先に確認してみましょう。

検査して新型コロナ陽性になると手当が変わる

では、濃厚接触者が結果的に新型コロナの陽性と判明したらどうなるのでしょうか?

濃厚接触者に該当するとPCR検査を受けることになります。結果が出るまでの間は上記のように会社の指示の有無によって給料や休業補償の取扱いが決まりますが、検査の結果が陽性だった場合には、また取扱いが変わります。

検査結果が陽性で、新型コロナの感染者になったときには休業手当の対象にはなりません。その代わりに、病気により休業したときに受けられる傷病手当金の対象になります。PCR検査の結果が判明する前からコロナの症状があって仕事を休んでいれば、その期間を含めて4日以上連続して休業したときに支給されます。

業務上や通勤上での感染であれば労災保険の対象になります。指定の医療機関で治療を受けると医療費は無料になります。また、療養のために仕事を休み、給料が出なかった場合には労災保険の「休業補償」が給付されます。

コロナの濃厚接触者になったら、休業補償について職場に相談

濃厚接触者になり新型コロナの感染が疑われる状態になった場合は、急に仕事を休むことになり、給料が減ってしまう心配が大きいかもしれません。休業手当が支給されるか、または会社に独自の病気休暇や特別休暇の対象になるかどうかは、個別の状況や会社の制度により判断がわかれることがあります。万が一濃厚接触者に該当したときには、勤務先に連絡するとともに、利用できる制度を確認してみるとよいですね。

※この記事は2021年6月30日現在の情報をもとに制作しています。最新の情報や個別具体的な取り扱いについて詳しくは、各機関にご確認ください。

※1 出典 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※2 出典 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
※3 出典 「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」
※4 出典 厚生労働省「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」  

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。

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カテゴリー:働き方別・生命保険の選び方
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