
公的年金への加入状況を確認する「ねんきん定期便」。
誕生日の月になると、はがきなどで郵送されます。ご自身が将来受け取る老齢年金に関わる重要な情報ですが、いったいどのように読み取ればよいのでしょうか?
「ねんきん定期便」は、送付月(誕生月)の2ヶ月前に作成されていますので、その時点での情報が掲載されています。
では、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
記事の目次
1.番号
こちらが、ねんきん定期便のサンプルです。(平成27年12月以降送付分。50歳未満の方(35歳、45歳の方を除く))
照会番号は、ねんきん定期便を発行している日本年金機構が管理する番号で、年金の内容について問い合わせをする際に、必要な番号です。

公務員共済の加入者番号、私学共済の加入者番号は、公務員や学校にお勤めの方などで、共済組合に加入している方についている番号です。
平成27年10月から、「被用者年金一元化法」によって、それまで厚生年金と3つの共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されました。これにともなって、共済年金に加入していた人も、厚生年金と同じ「ねんきん定期便」が届きます。
ただし、年金額の計算には、共済年金の加入期間についてはその加入実績に応じた年金額が計算されます。
2.これまでの年金加入期間
「ねんきん定期便」が作成された時点までの、年金の加入期間です。

国民年金(a)
第1号被保険者
20歳以上の学生、自営業など「第1号被保険者」として、国民年金の保険料を支払っていた月数。
もし、国民年金の保険料を前納している場合には、既に支払った前納期間の月数も含まれます。
保険料の一部が免除をされた期間がある場合は、免除後の残りの保険料を納めていれば、納付月数に含まれます。
第3号被保険者
専業主婦などで、会社員・公務員など第2号被保険者の被扶養者であった月数。
国民年金 計
第1号、第3号被保険者の月数の合計
船員保険(c)
厚生年金保険(b)
一般厚生年金
会社員として厚生年金に加入していた月数
公務員厚生年金
国家公務員、地方公務員として厚生年金に加入していた月数(平成27年10月以前で、公務員共済に加入していた月数を含む)
私学共済厚生年金
私立学校の教職員として厚生年金に加入していた月数(平成27年10月以前で、私立学校共済に加入していた月数を含む)
厚生年金保険 計
一般厚生年金、公務員厚生年金、私学共済厚生年金に加入していた月数の合計
年金加入期間 合計
a+b+c
つまり、国民年金、厚生年金保険、船員保険の加入期間の合計
合算対象期間等(d)
国民年金の任意加入期間のうち、保険料を納めていない期間、および、特定期間の合計月数。この月数は、将来受け取る年金額には反映されませんが、受給資格期間(年金を受け取るために必要な月数。最低300月)には含まれます。
受給資格期間
a+b+c+d
年金を受け取る資格があるかどうかを判定するための期間。300月に満たないと、老齢年金を受け取ることはできません。老齢年金を受給する時期が近づいている方は、この数字が300を超えているかどうかを必ず確認しましょう。
3.これまでの加入実績に応じた年金額
加入実績に応じた年金額(年額)
1.で記載されている、現時点までの加入期間に基づいて、将来受け取れる老齢年金額を試算した見込金額です。つまり、受給資格期間が300月を超えていれば、少なくともここに記載されている金額は、将来受け取れる見込み額、といえます。
ここで記載されている金額は、年額です。

保険料納付額(累計額)
これまでに納めた保険料の累計額です。
1.国民年金
下記の加入期間をもとに、国民年金部分からの「老齢基礎年金額」を計算した金額です。
- 国民年金の第1号被保険者期間(未納期間を除く)
- 国民年金の第3号被保険者期間
- 厚生年金保険・船員保険の被保険者期間
2.厚生年金保険
下記の加入実績にもとづいて、厚生年金部分からの「老齢厚生年金額」を計算した金額です。
一般厚生年金の加入期間
会社員などとして厚生年金に加入していた期間。厚生年金基金から支給される額も含む。
国家公務員共済組合、地方公務員共済組合の加入期間
国家公務員、地方公務員として厚生年金に加入していた月数。
共済年金の計算方法は、平成27年10月以降は厚生年金と統一されました。ただし、平成27年9月までの加入実績がある方は、その実績に基づいて、改正前の共済年金の制度に基づいて計算されます。)
私学共済厚生年金の加入期間
私立学校の教職員として厚生年金に加入していた月数。
共済年金の計算方法は、平成27年10月以降は厚生年金と統一されました。ただし、平成27年9月までの加入実績がある方は、その実績に基づいて、改正前の共済年金の制度に基づいて計算されます。
4.最近の月別状況
直近の年金の加入履歴が記載されています。厚生年金保険に加入の方は、保険料の算定基準となる「標準報酬月額」(月収をもとに決まる金額)が月ごとに記載されています。

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執筆者プロフィール
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザーマネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。