がんの治療方法は、医療技術の進歩によって高度化・多様化しています。
近年は、入院や手術を中心とした治療よりも、通院治療が増えてきました。そのため、がん保険も治療の実態に合わせて新しい商品が登場したり、保障内容が改定されたりしています。
すでにがん保険に加入している方も、現在のがん治療に対応した保障が受けられるかどうかを確認することが大切です。
そこで、通院治療に備えられるがん保険の保障について解説します。
がんの治療は通院治療が増えてきている
がんの治療は、以前は入院や手術が中心というイメージが一般的でした。しかし、近年は通院治療が増えており、通院患者数が入院患者数を上回る状況が続いています。
がんの入院患者・外来患者数
厚生労働省の「令和5年患者調査」によると、がん(悪性新生物)による通院(外来)患者数は2002年以降増加傾向にあります。
反対に、入院患者数は減少しており、2008年以降は通院患者数を大きく下回っています。
個別のケースによって異なりますが、全体的にはがん治療は入院よりも通院中心に行われていることがわかります。
がん(悪性新生物)の入院患者・外来患者数の推移
出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の 両立支援のためのガイドライン」/厚生労働省「令和5年患者調査」より作成
がん種類別の入院日数
また、同調査によると、がんによる入院の平均在院日数は約14日です(令和5年)。
がんの種類や年齢によって多少の違いはありますが、いずれも平均は20日以内となっています。
年齢階級別退院患者の平均在院日数
※はみ出ている場合、横にスクロールできます。
(単位:日)
出典:厚生労働省「令和5年患者調査」
入院ベースの保障から通院ベースの保障への見直しが必要
これらのデータから、がんの入院治療は平均で2週間ほどで終わり、その前後に必要に応じて通院治療を受けるケースが一般的だと考えられます。
がん保険には、基本保障として入院給付金が含まれているものや、入院給付金の給付日数が無制限のものなど、入院治療を重視したタイプもあります。
しかし、今後がんにかかった場合に備えるには、入院だけでなく通院にも対応できる保障が重要です。
通院治療に対応できるがん保険は?
がんの治療には、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン剤治療など、必ずしも入院を必要とせず通院で受けられるものもあります。
こうした通院治療にかかる医療費には、がん保険の次のような保障で備えることができます。
がん保険の商品によっては、これらの保障が基本保障に含まれている場合や、特約としてオプションで付加できる場合があります。
通院給付金
がん保険の通院給付金は、がん治療のために通院した日数に応じて給付金を受け取れる保障です。
がん治療のために入院した場合、その前後の通院が保障されるタイプや、手術・放射線治療・抗がん剤治療など所定のがん治療を外来で受けた場合に、入院していなくても給付を受けられるタイプなどがあります。
通院1日につき5,000円や1万円など、日額を選べるのが一般的です。
治療内容によっては日額給付だけでは治療費をカバーできない場合もありますが、通院時の交通費など通院にかかる様々な費用に活用することもできます。
治療給付金
抗がん剤治療、ホルモン剤治療、放射線治療など、所定のがん治療を受けた場合に、月ごとに5万円や10万円などの給付金を受け取れる保障です。
入院の有無に関係なく給付されるため、通院治療にも対応できます。
月に1回などの範囲内であれば、期間の制限なく給付を受けられる商品も多いため、短期間で退院して通院治療に切り替えた場合や、通院が長期間にわたるケースでも活用できます。
診断給付金(一時金)
がんと診断された際に、50万円や100万円などの一時金を受け取れる保障です。
入院や通院の有無に関係なく、診断された時点でまとまった給付金を受け取ることができます。
そのため、診断後の入院はもちろん、通院治療や生活費などさまざまな用途に活用できます。
実額補償
がん保険の中には、がん治療にかかった費用を実費で補償する「実額補償」タイプもあります。
入院費用だけでなく、通院治療にかかった費用も補償の対象です。
通院補償には通算1,000万円や2,000万円などの限度額がありますが、この範囲内であれば通院回数や日数に関係なく、かかった費用が保険金として支払われます。
また、公的医療保険が適用される治療だけでなく、先進医療や所定の自由診療にかかった費用も補償の対象となるため、がんの通院治療にかかるさまざまな費用に幅広く備えることができます。
先進医療や自由診療への備えで治療の選択肢を広げられる
がん治療では、希望により、先進医療、患者申出療養、自由診療など、公的医療保険が適用されない治療法を選択する場合もあります。
その場合には、医療費の全額が自己負担になります。
これらの費用には、上述の「実額補償型」のがん保険のほか、一般的ながん保険に先進医療特約や自由診療への保障を付加して備える方法もあります。
がん治療の状況を知って、自分に合った備えを検討
がんへの備えとして、万が一がんにかかって治療を受ける際に、必要な保障を受けられるようにしておくことが大切です。
医療の進歩により、がん治療の実態も変化しているため、定期的に保障内容を見直すことが重要です。
がん保険は、通院治療が主流となりつつある現状に合わせて、通院給付金などさまざまな保障で備えることができます。
現在加入しているがん保険の保障内容を確認し、必要に応じて見直しを検討しましょう。
出典:厚生労働省「令和5年患者調査」
出典:厚生労働省「事業場における治療と仕事の 両立支援のためのガイドライン」
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執筆者プロフィール
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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