住宅36,246棟・地震保険受付4万件超 令和8年熊本地震による保険受付状況

八木 敏弘
トータル・ライフ・コンサルタント、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP) >プロフィールを見る
2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震(M7.1・最大震度7)により、熊本県を中心に広域で住宅への被害が生じました。内閣府の発表(8月31日時点)では住宅被害は36,246棟にのぼり、日本損害保険協会への地震保険の事故受付件数は7月31日時点で40,291件に達しています。
ニュースのポイント
- 住宅被害36,246棟(全壊1,796棟・半壊3,457棟・一部破損30,993棟)、死者38名(うち関連死34名)・負傷者368名(令和8年8月31日時点)
- 地震保険の事故受付件数は7月31日時点で40,291件(うち熊本県37,620件、福岡県922件など)
- 地震による住宅・家財の損害は、火災保険の標準条項では原則補償されず、地震保険の付帯が必要
令和8年熊本地震の住宅被害の状況
内閣府の発表(2026年8月31日17時00分現在)によると、住宅被害は全国で36,246棟(全壊1,796棟・半壊3,457棟・一部破損30,993棟)にのぼります。
住宅被害の状況(消防庁情報:8月 31 日 17:00 時点)
| 都道府県 | 住宅被害 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全壊 | 半壊 | 床上浸水 | 床下浸水 | 一部破損 | 合計 | |
| 福岡県 | ー | ー | ー | ー | 8棟 | 8棟 |
| 熊本県 | 1,796棟 | 3,457棟 | ー | ー | 30,985棟 | 36,238棟 |
| 大分県 | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
| 鹿児島県 | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
| 合計 | 1,796棟 | 3,457棟 | ー | ー | 30,993棟 | 36,246棟 |
出典:内閣府(防災)「令和8年熊本地震に係る被害状況等について(8月31日17:00現在)」
人的被害は死者38名(うち避難生活中の疾患悪化などによる関連死が34名)・負傷者368名(重傷34名・軽傷334名)となっています。
地震保険の事故受付状況
地震保険の事故受付件数と都道府県別内訳
日本損害保険協会の公表データ(2026年7月31日時点)によると、発生から3日時点における地震保険(住宅・家財対象)の事故受付件数は全国で合計40,291件となっています。都道府県別の具体的な受付件数内訳は以下のとおりです。
都道府県別 地震保険の事故受付件数
| 都道府県 | 事故受付件数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 熊本県 | 37,620件 | 約93.4% |
| 福岡県 | 922件 | 約2.3% |
| 鹿児島県 | 396件 | 約1.0% |
| 宮崎県 | 244件 | 約0.6% |
| 佐賀県 | 222件 | 約0.6% |
| 長崎県 | 191件 | 約0.5% |
| 大分県 | 124件 | 約0.3% |
| その他地域 | 572件 | 約1.4% |
| 全国合計 | 40,291件 | 100.0% |
※受付件数には、損害状況の調査依頼のほか、補償内容に関する相談や契約照会なども含まれます。
出典:日本損害保険協会「令和8年熊本地震に係る地震保険の事故受付件数について(2026年7月31日現在)」
保険金支払い額の集計状況と特別措置
損害保険各社による支払保険金総額の集計および公表は、現地の損害調査が進み次第、日本損害保険協会より発表される予定です。過去に発生した大きな地震での保険金総額から、今回の地震による保険金総額も数百億円以上になる可能性があります。
| 地震名等 | 発生年月日 | 支払件数(件) | 支払保険金(億円) | |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 平成23年東北地方太平洋沖地震 | 2011/3/11 | 826,557 | 12,897 |
| 2 | 平成28年熊本地震 | 2016/4/14 | 215,930 | 3,914 |
| 3 | 令和4年福島県沖を震源とする地震 | 2022/3/16 | 341,294 | 2,803 |
| 4 | 令和3年福島県沖を震源とする地震 | 2021/2/13 | 246,883 | 2,516 |
| 5 | 大阪府北部を震源とする地震 | 2018/6/18 | 160,049 | 1,252 |
| 6 | 令和6年能登半島地震 | 2024/1/1 | 119,913 | 1,080 |
| 7 | 平成7年兵庫県南部地震 | 1995/1/17 | 65,427 | 783 |
| 8 | 平成30年北海道胆振東部地震 | 2018/9/6 | 74,431 | 539 |
| 9 | 宮城県沖を震源とする地震 | 2011/4/7 | 31,019 | 324 |
| 10 | 宮城県沖を震源とする地震 | 2021/3/20 | 23,608 | 190 |
出典:日本損害保険協会「令和8年熊本地震に係る地震保険の事故受付件数について(2026年7月31日現在)」
なお、被災者保護の観点から、災害救助法適用地域を対象に自賠責保険の有効期間を2026年10月1日まで伸長するほか、事業の再建を図る中小企業者等に対し中小企業信用保険の保険限度額の別枠化・てん補率の引上げ・保険料率の引下げなど、各種特別措置が実施されています。
地震と火災保険・地震保険の関係
地震保険の概要と補償対象
火災保険の標準条項では、地震・噴火またはこれらに伴う津波を原因とする火災・損壊・流失などの損害は免責事項と定められています。個人向けの火災保険には「地震火災費用特約」が自動付帯されていることがあります。しかし、補償されるのは地震が原因で火災が起きてしまった場合であり、補償額は火災保険金額の5%まで(300万円が上限)となるため、住居の再建や修繕には不十分な可能性があります。住宅や家財の地震損害に十分に備えるには、火災保険に付帯して「地震保険」を契約する必要があります。
地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間損害保険会社が共同で運営する公的な保険制度です。地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする建物・家財の損害が補償の対象となります。
補償の対象は居住用の建物(マンション共用部分を含む)と家財(生活用動産)です。事務所専用の建物・工場・1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・通貨・有価証券・自動車などは対象外となります。
地震保険の保険金額は、付帯する火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。上限は建物5,000万円・家財1,000万円です。すでに火災保険を契約している場合は、契約期間の中途からでも地震保険に加入することができます。
損害区分と保険金割合
地震保険では、損害の程度に応じて全損・大半損・小半損・一部損の4段階に区分し、それぞれの割合で保険金が支払われます。
地震保険 区分別の損害基準・保険金割合
| 損害区分 | 建物(主要構造部)の損害基準 | 保険金割合 |
|---|---|---|
| 全損 | 時価の50%以上(または延床面積の70%以上が焼失・流失) | 100%(時価額が限度) |
| 大半損 | 時価の40%以上50%未満(または延床面積の50%以上70%未満) | 60%(時価額の60%が限度) |
| 小半損 | 時価の20%以上40%未満(または延床面積の20%以上50%未満) | 30%(時価額の30%が限度) |
| 一部損 | 時価の3%以上20%未満(または床上浸水・地盤面より45cm超の浸水) | 5%(時価額の5%が限度) |
※家財の損害認定基準は建物と異なります(家財の全損基準は時価額の80%以上など)。
出典:財務省「地震保険制度の概要」保険金の支払セクション
地震保険の付帯状況
日本損害保険協会の公表データによると、全国における火災保険加入者の地震保険付帯率は近年上昇傾向にあり、最新データ(2024年度集計)では全国平均で69.6%となっています。熊本県における付帯率についても高水準を維持しています。
2016年の熊本地震(平成28年熊本地震)を機に熊本県を含む九州地方での付帯率は大きく上昇した経緯があり、今回の令和8年熊本地震においても地震保険受付件数の約93.4%が熊本県からとなっています。
法人の場合
事業用の建物・工場・倉庫・設備や什器・備品などは、家計用の地震保険の対象外となります。法人事業者が地震による資産損失に対応する場合、以下の補償体系が用いられます。
企業財産包括保険(地震特約)
事業用建物や設備資産に対し、火災保険に地震リスクを補償する特約を追加して契約します。
事業中断リスク(BCP観点)
地震被害によって事業活動が停止した場合の固定費(人件費や賃料)や利益損失に備える「店舗休業保険(地震特約など)」の活用が考えられます。
罹災証明書とは
地震などの自然災害により被災した家屋の被害程度(全壊・半壊など)を、市町村などの自治体が調査・証明する公的文書。地震保険の保険金請求や支援金の申請・各種手続きの基礎資料となります。被害認定の結果が「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」などの区分で記載され、地震保険の損害区分の判定にも参照されます。
出典:内閣府(防災)「令和8年熊本地震に係る被害状況等について」
出典:日本損害保険協会「令和8年熊本地震に係る地震保険の事故受付件数について(2026年7月31日現在)」
出典:日本損害保険協会「令和8年熊本地震による被害に伴う特別措置(自賠責保険)の実施について」
出典:財務省「地震保険制度の概要」
出典:気象庁「令和8年熊本地震ポータルサイト」
この保険ニュースの解説者
八木 敏弘(やぎ としひろ)
Sasuke Financial Lab 株式会社
トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)






















