日銀の利上げで生命保険料が安くなる?政策金利1%への引き上げによる生命保険の動向

八木 敏弘
トータル・ライフ・コンサルタント、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP) >プロフィールを見る
2026年6月19日、日本銀行は政策金利を0.75%から1.0%程度に引き上げました。1995年以来31年ぶりの高水準です。この利上げにより生命保険の保険料が安くなる可能性があります。
ニュースのポイント
- 日銀が2026年6月、政策金利を0.75%から1.0%程度に引き上げ。1995年以来約31年ぶりの高水準
- 政策金利の上昇は長期金利の上昇を通じて、生命保険の「予定利率」を引き上げる方向に働く可能性がある
- 影響を受けるのは終身保険や個人年金保険など貯蓄性のある保険が中心で、医療保険などの掛け捨て型保険への影響は限定的
31年ぶりに政策金利を0.75%から1.0%程度に引き上げ
2026年6月19日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.75%から1.0%程度に引き上げることを決定しました。1995年以来、約31年ぶりの高水準です。日銀は2024年3月のマイナス金利解除以降、段階的な利上げを続けており、今回はその一環となります。政策金利の上昇は長期金利(10年国債利回り)の上昇を後押しする要因となります。そのため生命保険の保険料計算に用いられる「予定利率」(生命保険会社が契約者から受け取った保険料を運用する際に見込む利回りのこと)が引き上げられる可能性があります。
政策金利が上がると生命保険料が安くなる可能性があるのか
生命保険の保険料は、契約時に保険会社が定める予定利率をもとに計算されます。運用益を見込める分だけ積み立てる責任準備金を少なくできるため、予定利率が高いほど契約者が支払う保険料は安くなるしくみです。
予定利率と保険料のしくみイメージ

この予定利率は、各保険会社が独自に設定するものですが、国(金融庁)が定める「標準利率」を参考に決定されます。標準利率は、毎年10月時点の10年国債の応募者利回りの過去3年間の平均値と過去10年間の平均値のうち低い方をもとに算出され、変更時期は翌年4月1日以降とされています。
つまり、政策金利の上昇が長期金利(10年国債利回り)の上昇を後押しし、それが標準利率の見直し材料となることで、結果として生命保険会社が予定利率を引き上げる環境が生まれる、という間接的な経路をたどります。
標準利率の見直しには過去複数年の平均値を用いるルールがあるため、今回の利上げの影響が直ちに反映されるわけではありません。今後の長期金利の動向を踏まえて、各保険会社が時間をかけて判断していくことになります。
影響を受けやすい・受けにくい保険の種類
予定利率の影響を受けやすいのは終身保険や養老保険、個人年金保険、学資保険などの貯蓄型の保険です。これらの保険は保険料の一部が運用されるため、予定利率が高いと保険料が安くなったり、解約返戻金が多くなったりします。
予定利率の影響を受けやすい・受けにくい生命保険
| 影響を受けやすい保険 | 影響を受けにくい保険 |
|---|---|
| 終身保険 | 定期保険 |
| 学資保険 | 定期医療保険 |
| 個人年金保険 | がん保険 |
| 養老保険 | 就業不能保険 |
一方、定期保険、定期医療保険、がん保険、就業不能保険などの掛け捨て型の保険の場合、予定利率が高くなると保険料は下がる傾向にありますが、その影響は限定的といえます。なぜなら、 掛け捨て型の商品は、保険料を決める際に運用から得られる収益をほとんど見込んでいないため、予定利率の影響を受けにくい保険といえます。これらの保険の保険料は、主に年齢や性別ごとの死亡リスク(予定死亡率)の影響を受けます。
今加入中の保険の保険料は変わらない
予定利率が上がると新たに加入する人の保険料は安くなる可能性がありますが、この影響を受けるのはあくまで予定利率改定後に加入する人に限られます。すでに加入している保険には契約時の予定利率が適用されるため、途中で予定利率が上がっても現在支払っている保険料が自動的に下がることはありません。
なお、一部の終身保険には、加入後に市場金利の変動に合わせて一定期間ごとに予定利率(積立利率)が見直されるタイプもあります(積立利率変動型終身保険・利率変動型積立終身保険など)。これらの商品では、予定利率が上昇すると保険料自体は変わらないものの、保険金額(保障額)が増えたり、解約返戻金が増加したりする可能性があります。
ご自身の契約がどちらのタイプに該当するかは、保険証券や契約のしおり、または保険会社への確認で把握できます。
応募者利回り
国債(国が発行する債券)を購入した際に得られる利回りのことです。購入価格・表面利率・残存期間をもとに計算されます。生命保険の標準利率は、この10年国債の応募者利回りを過去3年間・過去10年間でそれぞれ平均し、低い方の値をもとに算出されます。
この保険ニュースの解説者
八木 敏弘(やぎ としひろ)
Sasuke Financial Lab 株式会社
トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)






















