生命保険料控除の子育て世帯拡充 金融庁が恒常化を要望へ

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

生命保険に払い込んだ保険料に応じて所得税で受けられる「生命保険料控除」について、金融庁が2026年度税制改正で子育て世帯への拡充延長を要望しました。
現在の税制では、この拡充措置は1年間の時限措置とされていますが、恒久化が求められています。
子育て世帯向けの生命保険料控除の概要と合わせて解説します。
ニュースのポイント
- 「生命保険料控除」は、生命保険に契約していると税が軽減される措置
- 2026年分所得税では、23歳未満の子どもがいる場合、所得税の控除額が2万円上乗せされる
- 子育て世帯への拡充は1年限定の措置だが、恒久化が要望されている
子育て世帯では、一般の生命保険料の上限が4万円→6万円
生命保険料控除は、1年間に払い込んだ生命保険の保険料に応じて、所得税と住民税の控除を受けられる制度です。
対象となる生命保険には、①一般の生命保険、②介護医療保険、③個人年金保険の3種類があり、それぞれの保険料の額に応じて控除が適用されます。
このうち、①一般の生命保険料について、23歳未満の子どもを扶養する世帯(以下、「子育て世帯」)では、控除の限度額が通常は4万円のところ、2026年分所得税では6万円に引き上げられることになっています。
生命保険料控除で控除できる上限額
| 控除の 分類 |
控除できる 上限額 |
|
|---|---|---|
| 所得税 | 住民税 | |
| 一般生命 保険料 |
4万円 → 6万円 | 2.8万円 |
| 介護医療 保険料 |
4万円 | 2.8万円 |
| 個人年金 保険料 |
4万円 | 2.8万円 |
| 合計での 控除の上限額 |
12万円 | 7万円 |
※住民税の所得控除の上限額は、保険種別ごとの上限は2.8万円ですが、全体での合計額は7万円です。
所得税の控除される額
| 年間支払 保険料 |
控除される 金額 |
|---|---|
| 20,000円以下 →30,000円以下 |
支払保険料全額 |
| 20,000円超 40,000円以下 →30,000円超 60,000円以下 |
(支払保険料×1/2)+ 10,000円 →(支払保険料×1/2)+ 15,000円 |
| 40,000円超 80,000円以下 →60,000円超 120,000円以下 |
(支払保険料×1/4)+ 20,000円 →(支払保険料×1/4)+ 30,000円 |
| 80,000円超 →120,000円超 |
40,000円 →60,000円 |
※新生命保険料の場合。旧生命保険料及び新生命保険料を支払った場合には、一般生命保険料控除の適用限度額は現行4万円→6万円になります。
現在は1年限定だが、恒久化へ
子育て世帯の控除額の拡充は、現在は2026年分所得税に限定した時限措置とされています。
しかし、金融庁は「こどもを扶養する者に万が一のことがあった際のリスクへの備えなど、子育て世帯にはさまざまな保障ニーズがある。
子育て支援の観点から、子育て世帯が将来に向けた保障を安定的に継続して確保できる環境を整備することが求められる」として、この措置の恒久化を要望しました。
要望は、政府与党の税制調査会、年末の税制改正大綱を経て、来年度の通常国会で審議される予定です。
生命保険料控除とは
生命保険料控除は、生命保険に加入している人が、その年に支払った保険料に応じて所得税と住民税の一部が軽減される制度です。(1)一般生命保険(定期保険や終身保険など)、(2)介護医療保険(医療保険や介護保険)、(3)個人年金保険のそれぞれについて、現行では年間最大4万円ずつ、合計12万円まで所得から控除できます(住民税ではそれぞれ2.8万円ずつ、合計で7万円まで)。
2026年分所得税では、子育て世帯を対象にこのうち(1)一般生命保険料控除の所得税の限度額が4万円から6万円に引き上げられます。
住民税の控除額については、現在のところ変更は予定されていません。
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー


















