

暑さに備える熱中症保険が普及拡大 2025年の動向

暑い季節になると、熱中症による健康被害が増加します。
例年、気温が高くなる5月から熱中症による救急搬送数が増えており、これに合わせて熱中症に備える「熱中症保険」の提供も広がっています。
熱中症保険の最新の動向を解説します。
ニュースのポイント
- 熱中症による医療費の自己負担額は平均4,744円
- スマホで加入できる熱中症保険が保険各社から提供
- 熱中症保険をプレゼントするキャンペーンも
熱中症による救急搬送数は2024年夏に過去最高
消防庁のまとめによると、2024年5月から9月に熱中症で救急搬送された人数は全国で97,578人で、調査を開始した2008年以降最多でした。
月別の搬送人員は6月と7月が過去2番目、9月が過去最多でした。
熱中症による医療費の自己負担額は平均4,744円
熱中症により医療機関で治療を受けた際には、医療費の負担がかかります。
ジェイアイ傷害火災保険が、熱中症危険補償特約をセットした国内旅行傷害保険で保険金支払いが発生した通院治療のケースを調査した結果、熱中症での自己負担通院治療費は平均4,744円でした。
熱中症での平均自己負担通院治療費(3割負担換算)は4,744円であることがわかりました。
引用:ジェイアイ傷害火災保険株式会社「「熱中症ゼロへ」プロジェクトに協力団体として参画」
(最低額:970円、最高額:24,710円。平均通院日数:1.36日)
同社は、熱中症による健康被害に見舞われたときには、治療費以外にも、薬代や入通院のための交通費、経口補給液などの費用がかかり、負担が高額になる可能性もあると指摘しています。
熱中症に備える「熱中症保険」が広がり
このような熱中症のリスクに備えて、熱中症専用の保険が各社から提供されています。
1日から、熱中症が心配な時期に加入できる
PayPay株式会社などがキャッシュレス決済サービス「PayPay」内で提供している「熱中症お見舞い金」(正式名称:ミニ医療保険(熱中症保障条項))は、4月から2025年の販売を開始しました。
2022年の提供開始から加入者数は年々増加しており、昨年度は約13万件を記録しました。
今年度は、昨年度の加入者が月額型のプランに加入する場合には保険料が割引される「リピート割」も提供されています。
NTTドコモと東京海上グループのTokio Marine X少額短期保険は、キャッシュレス決済サービス「d払い®」アプリから申込める「ドコモの熱中症お見舞金保険」(正式名称:熱中症補償特約が付帯された総合生活支援保険)を2024年6月から提供開始しています。今年は4月から販売を開始しました。
保険料に応じてポイントが付与されるしくみで、今年から「リピーター特典」が新設され、昨年度の加入者にはポイント還元率が最大3.0%まで上乗せされます。
第一生命保険子会社の第一スマート少額短期保険は、新たに「デジホの熱中症保険」(正式名称:熱中症保険) を今年5月から提供開始しました。
年間を通して熱中症に備えられるものも
日本生命の子会社であるニッセイプラス少額短期保険が提供している「熱中症・インフルエンザ保険」(正式名称:ミニ医療保険(熱中症保障条項))は2024年7月から提供が開始されています。
定期券購入者に熱中症保険をプレゼントするキャンペーンも
JR東日本と第一生命保険子会社の第一スマート少額短期保険は、4月~5月にかけて、一定の条件を満たすモバイルSuica定期券購入者に熱中症保険をプレゼントするキャンペーンを実施しました。
キャンペーンにエントリーした先着1万人を対象に、保険料の負担なしで保険期間3ヵ月間の熱中症保険が提供されました。
出典:総務省「令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」
引用:ジェイアイ傷害火災保険株式会社「「熱中症ゼロへ」プロジェクトに協力団体として参画」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー