

入院時の食事の自己負担額 2025年4月から1食あたり20円引き上げ

入院時に病院で提供される食事の自己負担額が、2025年4月から引き上げられました。
食材費の高騰によるもので、昨年度に引き続き2年連続の引き上げです。
入院時の食費のしくみやこれまでの入院時の食費の推移を解説します。
ニュースのポイント
- 入院時の食費が4月から1食あたり20円引き上げ
- 食材費の高騰により、昨年度に続く引き上げに
- 入院時の食費の自己負担は所得に応じて定められている
4月から入院時の食費が1食あたり490円→510円に
2025年4月から、入院時の食費が引き上げられました。
引き上げ後の食費は1食あたり690円で、このうち自己負担額は一般的な所得の人で510円になりました。
食事の自己負担額は所得などによって異なり、住民税非課税世帯での引き上げ幅は0~10円となっています。
入院時の食費の基準の見直し

出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定 Ⅲ-1 食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応-①」
食材費の高騰により2年連続で引き上げ
入院時の食費は昨年度にも30円引き上げられており、2年連続で引き上げられます。
物価高騰により食材費や水道光熱費などの調理費用が上昇していることが、大きな要因です。
食料の消費者物価指数(CPI)は2023年に15%、2024年1~10月平均では19.5%上昇しており、2人以上の世帯の1ヶ月あたり食料支出は過去5年間で8,000円近く増加しています。
病院などの給食管理に携わる管理栄養士・栄養士を対象に行った調査では、物価高騰の対策として「業者から安価な食材を紹介してもらう」、「価格変動が少ない食材の使用頻度を増やす」、「冷凍食材や加工食品を増やす」などを行う割合が高いことが明らかになっています。
長期化すると食事の質の低下が懸念されることから、自己負担額の引き上げが決定されました。
入院中の食費の一部は保険給付される
病院の入院中に提供される食事の費用は、1食あたりの総額と自己負担が国によって定められています。
総額と自己負担額の差額は、公的医療保険制度の「入院時食事療養費」によって給付されます。
平成18年4月以降、調理費を保険給付から自己負担へと移行したことにより、物価上昇を受けた自己負担額の引き上げが続いています。
「入院時食事療養費制度」発足以来の食事療養費等の変遷

入院時食事療養費とは
入院中の食事は、1食あたりの費用(食事療養基準額(総額))が国によって定められています。このうち一部は、公的医療保険制度の「入院時食事療養費」として保険給付されています。
給付額は、医療の一環として食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して定められ、加入している健康保険から医療機関へ直接支払われています。
総額から保険給付(入院時食事療養費)額を差し引いた金額が、自己負担額になります。
出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定 Ⅲ-1 食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応-①」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー