日常生活を送る中で、転倒や交通事故といった突発的なけがのリスクは誰にでもあります。「自分は気をつけているから大丈夫」と思っていても、ふとした瞬間にけがをしてしまい、通院や入院が必要になるケースは珍しくありません。
傷害保険は、日常生活や仕事中、スポーツやレジャーなど、さまざまな場面で起きたけがに備えるための保険です。病気とけがの両方をカバーする医療保険とは異なり、けがへの補償に特化している点が特徴です。そのため保険料が医療保険より手ごろに設定されている商品も多く見られます。
傷害保険でどんな備えができる?
傷害保険は「急激・偶然・外来」の3つの条件を満たすけがを補償する保険です。具体的にどのような場面で役立つのか、確認してみましょう。
けがで通院や入院したときの費用に備えられる
傷害保険に加入していれば、けがによる通院・入院・手術にかかる費用の負担を軽減できます。
例えば、自転車で走行中に転倒して骨折した場合を考えてみましょう。整形外科での治療には、診察費・ギプス固定費・リハビリ費用などがかかります。公的医療保険が適用されるため、自己負担は年齢や所得に応じて原則1〜3割です。ただし、骨折の程度によっては通院が数か月におよび、治療費の総額が数万円〜十数万円に達するケースも少なくありません。
さらに、入院や手術が必要になった場合は、治療費に加えて差額ベッド代(少人数部屋や個室などを利用する際にかかる費用)や雑費など、公的医療保険の対象外となる費用も発生するため、経済的な負担はさらに膨らみます。仕事を休まなければならない期間が長引けば、収入の減少も家計に響くでしょう。
傷害保険では、こうしたけがに対して以下のような保険金が支払われます。
| 保険金の種類 | 内容 |
|---|---|
| 通院保険金 | 通院日数に応じて定額を給付 |
| 入院保険金 | 入院日数に応じて定額を給付 |
| 手術保険金 | 手術の種類に応じて給付 |
| 死亡保険金 | けがが原因で亡くなった場合に給付 |
| 後遺障害保険金 | 後遺障害の程度に応じて保険金額の一定割合を給付 |
他人にけがをさせた場合も補償される
傷害保険では、自分自身のけがだけでなく、日常生活の中で他人にけがをさせてしまった場合の賠償責任に備えられる商品もあります。
「個人賠償責任補償特約」を付加すると、以下のような事故で相手にけがを負わせたり、他人の財物を壊してしまったりした際に、損害賠償費用が補償されます。
- 自転車を運転中に歩行者と衝突してけがをさせた
- 飼い犬が散歩中に通行人に噛みついてけがをさせた
- マンションのベランダから植木鉢を落として通行人にけがをさせた
- 買い物中に商品を落として壊してしまった
特に自転車事故による高額な賠償事例は社会的に注目を集めています。過去には自転車で歩行者にぶつかり後遺障害を負わせ、9,520万円の賠償命令が出たケースもありました。
各自治体で自転車利用者への保険加入を義務づける条例の整備も進んでいます。自転車に乗る機会がある方は、個人賠償責任補償が付いた傷害保険への加入を検討する価値があるでしょう。
なお、個人賠償責任補償は傷害保険だけでなく、自動車保険や火災保険の特約としても付加できます。すでに加入している保険で補償されている場合は、補償の重複に注意してください。
傷害保険と医療保険の違い
傷害保険と医療保険には以下のような違いがあります。
| 項目 | 傷害保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
| 補償対象 | けが | 病気・けが |
| 通院時の補償 | 入院がなくても補償対象になるケースが多い | 入院が条件になるケースが多い |
| 告知 | 不要な商品が多い | 必要 |
| 保険料 | 医療保険よりも安め | 傷害保険よりも高め |
| 保険期間 | 1年更新型が多い | 終身型・定期型から選択 |
傷害保険はけがへの補償に特化しています。健康告知が不要な商品もあるため、持病がある方なども加入しやすい点が特徴です。補償対象がけがに限られるぶん、保険料も手ごろに設定されている商品が見られます。
医療保険はけがと病気の両方を保障対象としており、幅広いリスクをカバーできる点が特徴です。一方で、加入時に保険会社へ現在の健康状態や過去の傷病歴の申告(告知)が必要となるため、健康状態によっては希望する条件で契約できない場合もあります。
すでに医療保険に加入している方でも、けがのリスクが高いスポーツやアウトドア活動をひんぱんに行う場合は、傷害保険を上乗せで加入するのもひとつの選択肢です。反対に、保険料の負担をできるだけ軽くしたい方は、医療保険でけがと病気をまとめてカバーする方法も考えられます。自分の生活スタイルやリスクに合わせて、必要な保険を組み合わせましょう。
傷害保険を選ぶときに確認したいポイント
傷害保険は商品ごとに補償される場面や契約タイプが異なるため、加入前に補償の対象範囲や家族の補償の要否を確認しておく必要があります。
補償の対象範囲を確認する
傷害保険は、商品によって補償される事故の範囲が異なります。
| 契約タイプ | 補償される場面 |
|---|---|
| 普通傷害保険 | 日常生活全般(家庭内・通勤中・旅行中など)のけが |
| 交通事故傷害保険 | 交通事故や乗り物に関連するけが |
| 国内・海外旅行傷害保険 | 旅行中のけが |
自分がどのような場面でけがのリスクを感じるかを整理したうえで、必要な補償範囲をカバーしている契約タイプを選びましょう。
家族の補償が必要かどうかを考える
傷害保険には、契約者本人だけが補償される「本人型」と、家族全員をまとめて補償する「家族型」があります。
家族型では、契約者本人に加えて配偶者や同居の親族、別居している未婚の子どもまで補償の対象となるのが一般的です。家族がそれぞれ個別に傷害保険へ加入するよりも、家族型でまとめて契約すると保険料の総額を抑えられるケースが多くなっています。
例えば、小さな子どもがいる家庭では、遊んでいる最中のけがが心配になる場面も多いでしょう。高齢の親と同居している場合は、自宅内での転倒による骨折といったリスクも考えられます。家族型の傷害保険であれば、ひとつの契約で家族全員のけがに備えられるため、こうした不安を軽減できます。
家族構成や生活環境、加入済みの保険の内容をふまえて、どちらのタイプが自分に合っているかを検討してみてください。
日々の生活を安心して過ごせるように傷害保険の検討を
けがはいつどこで起きるかわからないからこそ、事前の備えが欠かせません。傷害保険は自分自身のけがによる通院・入院費用だけでなく、他人への賠償リスクにも対応できる保険です。告知なしで加入できる商品もあり、医療保険に比べると幅広い方が検討しやすい保険といえます。補償の対象範囲は商品や契約タイプによって異なるため、普段の生活で想定されるリスクを整理したうえで、過不足のないプランを選びましょう。
出典:兵庫県「自転車事故による高額賠償事例」
















