近年は、損害保険会社の多くが毎年のように自動車保険の保険料値上げを発表しています。自動車保険の保険料は、事故の頻度や修理費用の変化などに応じて変わっているのをご存じでしょうか。
この記事では、保険料の値上げが続く要因と、保険料を抑える工夫について解説していきます。
保険料はなぜ値上がりしている?
近年、自動車保険の保険料は、値上がりが続いています。
2024年以降の自動車保険の保険料に関わる改定や保険料の推移をまとめると次のようになります。
自動車保険の保険料推移
なぜこのような値上げがあるのでしょう?
保険料の値上げは、損害保険会社が負担する保険金の影響を受けます。この章では保険料と保険金の関係について解説します。
損保会社が支払う保険金の影響
自動車保険の保険料は、事故の補償に備える「保険金支払い分」と損保会社の経営に必要な「経営分」をまかなうように決められます。なお、保険金支払い分を「純保険料率」、損保会社の経営分を「付加保険料率」といい、次の図のようなイメージになります。
保険料の内訳イメージ
純保険料率
(保険金支払い分)
附加保険料率
(会社の経営分)
近年、自動車の修理にかかる費用が上がっており、純保険料率が高くなっていると考えられます。また、人件費の高騰が付加保険料率にも影響するかもしれません。その結果、損害保険会社が必要とする資金が膨らみ、保険料の値上げが検討されます。
純保険料率の基準となる「参考純率」が引き上げられている
保険料を決めるのは損害保険会社ですが、「純保険料率」の参考値として損害保険料率算出機構構が発表する「参考純率」があります。
参考純率は、損害保険料率算出機構が調べた事故件数や修理費用、賠償額などの統計から算出されます。この金額は毎年調査されており、変化が大きい場合には参考純率の改定が発表されます。近年、参考純率の引き上げが続いており、純保険料の値上げにつながっている可能性があります。
無事故でも保険料があがる?
自動車保険のしくみでは、1年間無事故で過ごせば、等級が上がり、保険料が割引になります。そのため、無事故の期間が長ければ、保険料が下がると考えている人も多いでしょう。けれども、基準になる保険料そのものが値上がりした場合、割引が適用されても加入者が払い込む保険料は増えてしまう可能性があります。
この章では、その理由を解説していきます。
参考純率の改定は全契約者に影響する
損害保険料率算出機構が発表する参考純率は、適正だと考えられる純保険料率の目安であり、保険料の変更を強制するものではありません。仮に参考純率が上がっても、損害保険会社が値上げの必要がないと判断すれば保険料を据え置くこともできます。
しかし、損害保険料率算出機構では、参考純率の算出にあたり、自動車保険加入者全体のデータを使用しています。そのため、参考純率の改定は、修理にかかった実際の費用の変化と考えられ、保険料の改定につながる傾向があります。
もし、参考純率に合わせて保険料の水準が上がり、ノンフリート等級の割引より値上げが大きければ、無事故でも保険料が上がってしまうことになります。
型式別料率クラスの変更が保険料を左右する
型式別料率クラスは、車の型式ごとにグループ分けしたものです。グループ単位でリスクを評価し、リスクの高いグループは保険料を高く、リスクの低いグループは保険料を安くするよう設定されています。型式別料率クラスは対人賠償・対物賠償など補償対象ごとに設定されます。
この型式別料率クラスも、毎年適正かどうかを確認しており、リスクの評価が変わると、クラスが変わることがあります。そのため、自分が事故を起こしていなくても、同じグループの事故率が高ければ、リスクの高いクラスになってしまいます。
修理費の高額化
修理費の高額化は、損害保険会社の純保険料率に影響を及ぼします。修理費があがると、事故の際、損保会社が負担する保険金が増えてしまい、損保会社の純保険料率が引き上げられます。その結果、保険料の水準が高くなってしまいます。
修理費が高額になっている要因としては、次のようなものがあります。
自分の自動車保険も値上がりするのか?
保険料の値上げが自分に影響があるかどうかが気になる点ではないでしょうか。この章では自動車保険の保険料改定が自分に影響するのはいつ、どのような場合なのかを解説します。
契約中の保険料はいつ変わるか
保険料の値上げがあると、更新のタイミングで変更になります。契約中の保険は満期まで保険料の変更はありません。
なお、保険料の変更は1年に1回、1月に行われるのが一般的です。1年以上の契約の場合、更新のタイミングで期間内に変更された分がまとめて反映されます。例えば、2年連続で保険料の値上げがあった場合、保険料の増額が大きくなるかもしれません。
型式別料率クラスの変更で保険料が値上がりする
型式別料率クラスは、保険会社が自動的に割り振ります。クラスが変更になると、加入者が手続きをしなくても、契約を更新するときに自動的に変更後のクラスに割り振られ、変更後のクラスの保険料になります。
自分が事故を起こしていなくても、同じ型の車の事故が多発していると、リスクの高いクラスに変わってしまい、更新のタイミングで保険料があがることがあります。
保険料を抑える3つの対策
自動車保険の乗り換えを検討する
保険料の高騰が気になる場合は、他の損害保険会社の自動車保険も検討してみてはいかがでしょうか。一般的にダイレクト型保険は、付加保険料率が抑えられているため、同程度の補償であればダイレクト型保険のほうが保険料は安くなります。
なお、損害保険会社によって選択できる補償に特徴があります。例えば、A社では標準の補償がしっかりしているが保険料も高い、B社では最低限の補償だが保険料は安い(特約で必要な補償を補う)のような違いがあることもあります。
ただし、他の会社の自動車保険に乗り換える場合は、ノンフリート等級の引継ぎに注意しましょう。
補償内容・特約を見直す
契約中の保険の補償や特約を確認し、本当に必要な項目なのかチェックしてみましょう。不要な特約を解約すると、その分保険料の削減になります。
また、保険料の改定と同時に、サービス内容の改定をしているケースもあります。自動車保険の更新をするときは、改定後の補償内容が十分であるかも確認しておきましょう。
車両保険の見直しを検討する
車両保険の保険料は、条件を付けると保険料を抑えることができます。代表的なものは、運転者限定と免責です。
運転者限定は、保険に加入する自動車の運転者の年齢や関係性で絞り込む方法で、対象が少ないほど保険料が抑えられます。免責は事故で修理をするときの自己負担額で、大きな金額を指定するほど保険料を抑えることができます。
なお、自分が運転する自動車の修理代や、事故で廃車になった場合に新しい自動車の購入資金が準備できていれば、車両保険の解約も検討できます。
保険料の値上がりにあわせて、自動車保険の見直しを
近年、自動車保険の水準となる保険料の値上がりが続いています。参考純率の値上げなど、要因はありますが、漠然と継続していた人は自動車保険の見直しのチャンスでもあります。
自分にとって必要な補償とは何かを考え、場合によっては補償内容や特約の見直し、保険会社の変更を検討してもいいかもしれません。
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監修者プロフィール
黒川 一美(くろかわ かずみ)
FPサテライト流山サテライトオフィス マネージャー
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本ファクトチェック協会 JFCファクトチェッカー認定、ファイナンシャル・ウェルビーイング検定 認定
保険や税制の執筆業務を得意とし、年間約150本の執筆監修を行う。通信事業者での経験を活かし、通信費削減に関する情報提供にも力を入れる。
自動車保険に関するよくある質問
無事故なのに、自動車保険の保険料が高くなりました。どうしてですか?
水準となる保険料の変更や、型式別料率クラスの変更が考えられます。
自分が事故を起こさなくても、水準となる保険料が値上がりすると、保険料が高くなる場合があります。
また、型式別料率クラスが高いクラスに変更されると、保険料が高くなります。
無事故なのに、自動車保険を乗り換えたら、ノンフリート等級が変わりませんでした。どうしてですか?
自動車保険の乗り換えで、古い等級のまま引き継がれた可能性があります。
ノンフリート等級は、自動車保険の乗り換え時の等級が引き継がれます。等級があがるタイミングで乗り換えた場合は新しい等級が引き継がれますが、等級があがる前は古い等級が引き継がれます。この場合、等級があがるのは、乗り換えから1年、無事故で過ごした場合です。
出典:日本自動車会議所「大手3損保、2026年1月に自動車保険を過去最大の値上げ 6~7.5% 災害や修理費上昇で」
出典:日本経済新聞「東京海上が自動車保険料6.5%上げ 修理費の高騰で過去2番目の大きさ」
出典:日本経済新聞「損保ジャパン、車保険料を7月に1.8%上げ 年に複数回改定」
出典:東京海上日動「改定のご案内(2026年1月1日)」
出典:あいおいニッセイ同和損害保険「自動車保険の保険料見直しに関するご案内(令和8年1月以降保険始期用)」
出典:損害保険ジャパン「自動車保険改定のご案内」
出典:三井住友海上火災「自動車保険の改定のご案内(2025年1月1日以降に満期を迎えるご契約者の皆さまへ
」
出典:三井住友海上火災「自動車保険の改定のご案内(2026年1月1日以降に満期を迎えるご契約者のみなさまへ)」
」
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