生命保険の有無や契約先を確認できる「生命保険契約照会制度」2026年4月より利用料改定へ

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

認知症などで判断能力が低下した場合や、本人が亡くなった場合に、家族が生命保険の有無や契約先を調べることができる「生命保険契約照会制度」の利用料が、2026年4月から改定されることになりました。
改定内容や制度のしくみについて、FPが解説します。
ニュースのポイント
- 保険の有無や契約先を調べられる「生命保険契約照会制度」の料金が2026年より引き上げ
- 利用料は1回3,000円→ウェブ申請6,000円、書面申請7,000円に
- 災害利用時には無料で、変更なし
契約先の保険会社がどこかを確認できる「生命保険契約照会制度」の利用料が改定へ
「生命保険契約照会制度」は、高齢の親が認知症で判断能力が低下した場合や、保険に加入しているかどうかを家族に伝えないまま亡くなった場合などに、家族などが本人に代わって生命保険契約の有無や契約先の生命保険会社を確認できる制度です。
制度には、本人の認知判断能力が低下した場合や死亡した場合に利用できる「平時利用」と、地震や洪水などの大規模災害により被災者が死亡または行方不明になった場合に利用できる「災害時利用」の2種類があります。
利用料金の改定内容
今回はこのうち、平時利用の料金が改定されます。2026年4月1日以降の新規申請分から、改定後の料金が適用されます。
生命保険契約照会制度(平時利用)の利用料金
| 改定前(2026年3月31日以前の新規申請分) | 3,000円(税込)(ウェブ申請・書面申請とも) |
|---|---|
| 改定後(2026年4月1日以降の新規申請分) | 6,000円(税込)(ウェブ申請の場合) |
| 7,000円(税込)(書面申請の場合) |
災害時の利用料は引き続き無料
災害時利用の利用料は無料で、2026年以降も変更ありません。
なお、手続きは電話で行うことができ、ウェブや書面での申請手続きは不要です。
利用件数は制度開始以降増加傾向
生命保険契約照会制度は2021年度に運用が開始されましたが、契約照会の申請件数は開始以降、増加傾向が続いています。
同協会によると、今後も申請件数の増加が見込まれていること、またシステム関係費や郵送費などの運営コストが増加している現状を踏まえ、利用料金の改定に至ったとしています。
保険金額や受取人などの情報は保険会社への確認が必要
本制度を利用すると、生命保険の契約があるかどうか、どの保険会社で契約しているかを、同協会に加盟する41社に一括して確認できます。
調査結果はまとめて通知されます。また、照会対象者が死亡している場合には、保険金の請求ができるかどうかもわかります。
ただし、受け取れる保険金額や受取人が誰であるかといった詳細な契約内容は確認できません。
生命保険の契約があることがわかったときには、契約先の保険会社に直接連絡し、詳細な内容を自分で確認したり、保険金請求の手続きを行ったりする必要があります。
生命保険契約照会制度とは
亡くなった人や認知症になった人が生命保険に加入しているかどうかがわからないときなどに、契約の有無を確認できる生命保険協会の制度です。同協会から各保険会社に調査を依頼し、契約があるかどうか、ある場合にはどこの保険会社にあるかをまとめて回答してもらえます。
2つの種類があり、このうち「平時利用」は、本人の認知判断能力が低下した場合や死亡した場合に、その親族等が保険契約の有無を照会するものです。
判断能力が低下している人の契約照会では、3親等以内の親族や、任意後見制度による弁護士や司法書士などの代理人が、死亡した人の照会では法定相続人やその代理人が利用できます。
「災害時利用」は、地震や洪水などの大規模災害により被災者が死亡または行方不明になった場合、そのご家族や代理人が保険契約の有無を照会できます。甚大な被害が生じ災害救助法が適用された地域が対象です。
出典:政府広報オンライン「家族の生命保険契約を一括照会!どこの会社に加入しているか調べられます」
この保険ニュースの解説者
加藤 梨里(かとう りり)
マネーステップオフィス株式会社代表取締役
CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー


















