賃貸向けの火災保険の補償内容は、おもに1.家財の補償、2.借家人賠償責任補償、3.個人賠償責任補償の3つが基本です。
また、「修理費用」や「持ち出し家財の補償」「臨時宿泊費用」などの補償がセットになっているものもあります。
1.家財の補償
家財の補償は、自分の持ち物の補償です。
借りている賃貸マンションや賃貸アパートの部屋の中にある自分の持ち物(家財)が、火災や落雷、台風、洪水、水漏れなどで壊れたりなくなったりしたときに、損害額が保険金として支払われます。
火災のほか、水災や物体の衝突、盗難なども対象になるものもあります。火災保険のうち、家財への補償のことを「家財保険」と呼ぶこともあります。
具体的に、「家財」に含まれるのは、ソファやテーブルなどの家具、冷蔵庫やテレビなどの電化製品、寝具、日用品、衣類などの身の回り品のほか、バッグやアクセサリー、貴金属などです。
災害によってこれらの家財が使えなくなったときに、同等のものを再度購入するために必要な金額「再調達価額(新価)」を基準に、保険金を受け取れるのが、基本的な補償内容です。
また、「携行品損害特約」というオプションを付加することで、旅行や出張など外出中に家財を外に持ち出している間のアクシデントでも補償を受けられる火災保険もあります。
外出先でカメラを壊してしまった、カバンが盗まれてしまったなどの被害に遭った場合に補償されます。
ただし、家財補償(家財保険)には、補償の対象にならないものもあります。たとえば、自動車、現金、クレジットカード、スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどは補償の対象外となることが多いです。
貴金属についても、補償額に上限がある場合や、保険の申込時に家財としての申告が必要な場合があります。
身の回りの品には多種多様なものがあり、種類によって補償の対象になるかどうかが異なります。
また、火災保険の種類や保険に契約した時期によって補償対象の範囲が異なる場合もありますので、詳しいことは保険会社に確認しましょう。
2.借家人賠償責任補償
借家人賠償責任補償は、大家さんへの賠償補償です。
火災・破裂・爆発・水濡れなどの事故で借りている賃貸マンションや賃貸アパートの部屋が壊れたり、汚れたりして、大家さんに対して法律上の損害賠償責任を負ったときに、その賠償金などが契約している保険金額を上限に、保険金として補償されます。
たとえば、入居中にタバコの不始末でぼや・火災を起こして室内の壁紙が燃えてしまった、洗濯機のホースが外れて水漏れを起こし、床や畳が濡れて使えなくなってしまったようなときに、補償を受けられます。
賃貸マンションや賃貸アパートを借りるときには、借家人賠償責任補償のついた火災保険に加入するよう、大家さんや管理会社から求められることがよくあります。
賃貸契約上、必須とされている場合もあります。
このため、賃貸向けの火災保険では、借家人賠償責任補償が基本補償としてセットされている商品もあります。
なお、賃貸マンションや賃貸アパートから退去するときには、借りている人の故意や過失でできた傷や汚れを元に戻す「原状回復の義務」がありますが、原状回復にかかる費用には、借家人賠償責任補償では対応できません。
借家人賠償責任補償は、借りている人が偶然な事故を起こして、借りている部屋に損害を与えた場合に補償されるため、故意や過失、経年劣化でできた傷や汚れなどの修繕費や張り替え費用などは、補償の対象になりません。
3.個人賠償責任補償
個人賠償責任補償は、大家さん以外の第三者に対して賠償責任を負ったときの補償です。
たとえば、賃貸マンションや賃貸アパートで火災や水漏れを起こして隣家や階下に被害を与えてしまった場合や、ベランダから物を落として駐車場に止まっていた他人の車に傷をつけてしまった場合などに補償を受けられます。
また、入居している賃貸マンションや賃貸アパートの中で起きた事故だけでなく、日常生活全般でのアクシデントによる賠償責任が補償の対象になるのが特徴です。
たとえば、買い物中に店の商品を壊してしまった、自転車に乗っているときに歩行者にぶつかってケガをさせてしまったなど、自宅外での事故も対象になります。
個人賠償責任補償は、賃貸マンションや賃貸アパートを借りるための賃貸契約をするときに、借家人賠償責任補償と合わせて加入を求められることがあります。
賃貸向けの火災保険では、基本補償としてプランに含まれている場合と、任意でオプションとして付加する場合があります。
また、自動車保険や傷害保険のオプションとして付いている場合もあります。
4.修理費用補償
修理費用補償は、法律上の損害賠償責任はないものの、火災や破裂・爆発などの事故で賃貸マンションや賃貸アパートの室内設備が損害を受けて、借りている人が修繕費用を負担したときに受けられる補償です。
たとえば、賃貸マンションや賃貸アパートのドアや窓ガラス、洗面台、浴槽、トイレなどの設備が事故によって壊れ、借りている人が修理費用を負担したときが対象になります(一部、自己負担費用が必要な場合があります)。
契約内容により、火災だけでなく、落雷や飛来物、盗難による損害も対象になることがあります。
また、修理費用補償は、借りている部屋に住み続けるために、借主が緊急的に応急措置をして費用を負担した場合のほか、賃貸借契約によって借主が費用を負担することと定められている場合も、補償の対象になります。
賃貸マンションや賃貸アパートを借りるための賃貸借契約を交わすときには、入居中に自宅の修理が必要になったときに、貸主と借主のどちらが修理費用を負担するかを、室内の箇所や備品それぞれについて契約書上で個別に決めておくのが一般的です。
このうち、借主が負担することとされている箇所について、火災保険の修理費用補償の対象となる事故で修理費用がかかったときに、保険金が支払われます。
5.その他の補償・特約
賃貸向けの火災保険には、上記の補償のほかに、さまざまな特約や補償を追加できる商品もあります。
たとえば、事故などで賃貸住宅に住めなくなったときの宿泊費や一時的な生活費を補償する「臨時費用補償」、洗面台や便器、浴槽などの交換費用を補償する特約などです。
このように、賃貸向けの火災保険は、入居者本人の家財を守るだけでなく、大家さんや第三者への賠償リスク、賃貸住宅での生活でかかる修理費用や臨時費用などにも備えられます。
自分の生活スタイルに合ったプランを選ぶことで、もしもの時に安心して対応することができます。