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【FPが解説】葬儀保険は必要?お葬式にかかる費用と準備方法と合わせて解説

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

葬儀保険は必要?お葬式にかかる費用や準備方法をまとめて解説

お葬式に備える保険のひとつに、「葬儀保険」があります。しかし、葬儀費用を準備する方法は他にもあります。

一般的な生命保険や貯蓄との違いを踏まえて、葬儀保険の必要性について考えてみましょう。

葬儀費用に特化して備えられる「葬儀保険」

葬儀保険は、おもに葬儀費用に備えて加入する死亡保険のひとつです。

高齢や持病がある人でも入りやすく、また保険金が葬儀会社に支払われるものもあり、いざというときに家族がスムーズに葬儀の出費を確保しやすいしくみが特徴です。

しかし、お葬式に備える方法は葬儀保険に限りません。お葬式にかかる費用の相場や、備える方法を整理してみましょう。

葬儀費用にはいくらかかる?

お葬式には、いくらくらいのお金がかかるのでしょうか?

ひとくちにお葬式代といっても、かかる費用はさまざまなものがあります。
一般的には、葬儀や通夜の式典を執り行う費用、花代、会葬者への飲食費、お香典返し、寺院への費用などがかかります。

式典の規模や弔問客の人数などによって、費用の規模感には個人差があります。

経済産業省のデータをみると、全国の葬儀事業者が取り扱った葬儀の費用は1件あたり50万円未満から500万円以上のものまで幅広いようです。

葬儀費用の規模別 葬儀会社の取扱件数割合
葬儀費用の規模別 葬儀会社の取扱件数割合

※葬儀会社の年間葬儀取扱件数(1,009,406件)に占める費用規模別の取扱件数割合
経済産業省「2020年経済構造実態調査報告書」より筆者作成

このうち特に多いのが、50万円~200万円の葬儀です。
ご本人の希望にもよりますが、おおむね200万円前後を用意しておくと、標準的なお葬式をして送り出してあげられるのではないでしょうか。

葬儀費用に備える方法

では、葬儀費用に備えるには、どのような方法があるのでしょうか?種類別にまとめてみましょう。

預貯金

亡くなった人に預貯金があれば、その一部を葬儀費用に充てることができます。

本人の預貯金は亡くなった時点で遺産となり、死後には原則として、遺産分割が完了するまでは家族でも引き出すことはできません。

しかし、葬儀費用のために必要なときには所定の手続きをすることで、一定額まで引き出せることがあります。

引き出せる金額は、「預貯金の仮払い(払い戻し)制度」というしくみを使う場合で「相続開始時の預貯金残高×1/3×法定相続分(その相続人の法定取り分)」を上限に、かつ、1つの金融機関ごとに150万円までです。

この範囲内であれば、相続人の間で遺産分割がまとまっていなくても、預金を出金することができます。

ただし、引き出しの手続きには金融機関所定の請求書のほか、戸籍謄本や印鑑証明が必要で、出金までに時間がかかるケースもあるようです。
あるいは、家族など相続人の預貯金を使って葬儀費用を負担する方法もあります。

しかしこの場合、多くは相続人が立替をしてその後の遺産分割の際に精算をしたり、相続人間で負担割合を協議したりすることになりますので、遺産分割が煩雑になる可能性もあります。

生命保険

生命保険をかけていれば、亡くなったときには保険金が受取人に支払われます。

生命保険のうち、定期保険や終身保険、収入保障保険といった保険です。これらの一部には「クイック支払」といって、最短で請求手続きの当日や翌営業日に入金されるものもあります。

支払われた保険金は預貯金と違い、受取人固有の財産になります。ですから家族を受取人にしておけばお金は家族自身のものになり、葬儀費用などに自由に充てることができます。

ただし、生前に保険料を故人が負担していたのであれば、預貯金と同じように相続税の課税対象になります(「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税)。

葬儀費用そのものとは直接関係ないことですが、相続税の納税が必要な際には注意が必要です。

公的保険・公的制度

葬儀費用のうち、埋葬料に限れば、公的な制度からお金が支給されます。

亡くなった人が加入していた健康保険制度からは、葬儀を行った人に埋葬費が支給されます。
支給される金額は、後期高齢者医療制度は7万円、協会けんぽは5万円など、加入していた制度により異なります。

いずれにしても葬儀費用の全額には及ばないと考えられますが、一部の負担を軽減できるかもしれません。

また公的年金からは死亡一時金を受け取れることがあります。
こちらは老齢年金や障害年金を受け取っていなかった人が亡くなり、家族が遺族基礎年金を受け取らないときなど、支給に要件があるため、必ず受け取れるわけではありません。

支給額は年金の保険料を納めていた期間などに応じて決まり、420ヶ月以上納めていた人の場合は32万円です。

公的年金については、遺族年金もあります。
これは亡くなった人に生計を維持されていた家族に支給されるものです。

ただし遺族の生活を保障するための制度で、支給までに手続きの時間もかかるようです。亡くなってすぐに出費が必要になる葬儀費用には、あまり向かないかもしれません。

葬儀保険は必要?

このように、葬儀に備える方法がいくつかあるなかで、葬儀保険は必要なのでしょうか。
ご本人やご家族の考えや状況によってそれぞれの考え方がありますが、次のような観点で、葬儀保険の必要性を検討してみてはいかがでしょうか。

葬儀費用を確実に準備できる

葬儀費用には数十万円から数百万円と、まとまったお金がかかります。

本人やその家族などに十分な備えがないときや、お金の工面をめぐって慌てたくないと考えるなら、葬儀保険があると、葬儀のお金を事前に準備しやすいかもしれません。

また葬儀保険は、保険金の請求手続きから受取りまでが比較的早いことや、提携先であれば葬儀を執り行った葬儀会社へ保険金を送金してもらえるなどの特徴もあります。

葬儀費用の支払いをスムーズにしたいと考えるなら、葬儀保険が向いているともいえます。

葬儀費用に関する相続トラブルを防ぐ

「葬儀保険」という名前上、保険金の使い道を「葬儀のためのお金」と明確にすることもできます。

故人の遺産や相続人のお金、ほかの保険金を使うには、誰が何のために、いくら使うのかが事前に明らかでなく、親族間で意見がまとまらないおそれもあります。

相続人同士で、葬儀費用の準備や負担について事前に話し合いができていれば望ましいですが、センシティブな問題でもあり、実際には難しい家庭も多いようです。

葬儀保険で葬儀費用をまかなう、とあらかじめ本人と親族の間で理解を共有しておくことで、もめ事を防げるかもしれません。

葬儀保険に入る場合は長期的な保険料負担にも要注意

ただし、新たな保険に加入すると月々の保険料支出が生じることは忘れてはなりません。

葬儀保険の多くは1年ごとの更新型であり、保険金を数十万円から設定できるため、月々の保険料はそれほど高額でないこともありますが、それでも高齢になってからの加入は保険料が割高になりがちです。

老後の生活に負担になりすぎないか、加入前に家計を慎重に確認する必要があります。

また、葬儀保険がなくても十分に葬儀費用に充てられる預貯金や他の保険があれば、新たに葬儀保険に加入する必要性はそれほど高くないとも考えられます。

まずは本人の預貯金や加入中の保険を確認することが先決です。

葬儀費用への準備状況を確認して、葬儀保険の必要性を検討

このように、葬儀費用に備える方法は葬儀保険に限りません。

現状加入している保険や預貯金などで、どのように葬儀に対応できるかを、本人や家族で確認しておけるといいですね。その状況に合わせて、ご家族に合った準備方法を検討してはいかがでしょうか。

なにより、葬儀の規模やスタイルなどについて、本人のイメージや希望を確認しておくことが重要です。

それに応じて、必要な費用がいくらくらいなのか、そして今からどれくらい準備しなければならないかを整理してから、葬儀保険を検討するといいでしょう。

※出典:経済産業省「2020 年経済構造実態調査報告書 二次集計結果【乙調査編】」
※参考:全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ」
※参考:厚生労働省「死亡一時金制度の概要」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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