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更新:(公開:2020年10月14日)

【FPが解説】80代でも生命保険は必要?高齢者向け生命保険の選び方

執筆者

加藤 梨里
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー >プロフィールを見る

【FPが解説】80代でも生命保険は必要?高齢者向け生命保険の選び方

高齢になるにつれ、自分や身の回りで病気やケガを経験する人が増えてきます。もし、今保険に入っていない場合には、今からでも入った方がいい?と思うかもしれません。
80代になってから、新たに保険は必要なのでしょうか。80代に備えておきたいリスクと保険の考え方について、FPが解説します。

80歳以上で生命保険に入っている人はおよそ6割前後

80代になると、足腰に衰えを感じたり、持病を抱えることが増えてくるようです。身内や知人の病気やけが、親しい人が亡くなる経験も身近になってくるかもしれません。

一方で、若いときに入っていた保険の保障期間が切れているなどで、民間の保険に入っていない人も少なくありません。生命保険文化センターの調査※1によると、(世帯主が)生命保険に加入している世帯の割合は高齢期になると下がる傾向があり、80歳代前半では約68%、80歳代後半では約57%(簡保、共済等を含む)というデータがあります。

そもそも、80代以降になると、加入できる保険の選択肢は若い世代に比べて少なく、保険料も割高な傾向があります。持病があると入りにくいこともあります。そんなとき、もしもの死亡や病気、ケガへの備えはどのように考えれば良いのでしょうか?

80歳から病気・ケガに備える保険は必要?

年齢を重ねて特に気になってくることのひとつが、病気やケガではないでしょうか。厚生労働省の「患者調査」※2によると、病気やケガをして病院に行く割合は、成人では年齢が高いほど多い傾向があります。

特に入院は、70代後半から80代以降にかけて、それまでの年代よりも大幅に多くなるようです。

このうち、医療費については公的な医療保険制度(後期高齢者医療制度)によって、自己負担は1割(現役並みの所得がある人は3割)に抑えられています。また、1ヶ月の自己負担額には上限があり、一般的な収入の世帯ではかかった自己負担の合計額が57,600円(うち、外来は個人ごとに18,000円。上限額に達する月が所定回数を超えると上限額44,000円。70歳以上、年収約156万円~約370万円の場合)を超えると、超えた部分が「高額療養費」として戻ってくるしくみもあります。

病気になると医療費以外の出費もかかる

しかし、入院したときには医療費のほかに、個室に入った際にかかる差額ベッド代、パジャマや日用品などの身の回りのものにお金がかかることや、自宅を留守にすることでいつもにはない出費がでていくことがあります。このような出費には、貯蓄や保険をあてるのが一般的です。まずは、もしもの病気やケガのときにすぐに使える貯蓄がどれくらいあるかを確認してみましょう。

まずは若いときに入っていた保険を確認、保障切れにも注意

医療保険や生命保険の医療特約は、病気やケガをしたときに給付を受け取れます。ところが、若い頃に入った保険は、80代ではすでに保障期間が切れてしまっていることがあります。一般的な生命保険では、65歳や70歳時点で特約部分が満了(終了)してしまうものが多いためです。共済でも、自動更新できる年齢が70歳までなどとされていることがあります。

このため、80歳以降になると病気・ケガに対応できる保険に入っていない人が少なくありません。保険に入っているはずと思っても、期間が切れていたということがないように、内容を確認しておきましょう。

保険がない場合、貯蓄だけでは心許ない、やはり保険があった方が安心と思うときには、新たに保険への加入を検討することもできます。しかし新規での加入は年齢制限があり、標準的な医療保険は80代からは入れないものが多いです。また、加入時には健康に関する告知が必要で、すでにこれまでに病気やケガをしていると入れないことがあります。

80歳以上でも入れる病気・ケガに備える保険

そんなとき、一部には80歳以上からでも新たに入れる保険があります。

医療保険の中には、80歳や85歳まで新規加入できるものがあります。入院や手術のほか、通院をしたときにも給付を受けられる保障がついているものもあります。毎年自動更新するタイプでは、100歳まで更新できるものもあります。

また、標準的な医療保険に比べて告知項目が少なく、持病がある、薬を飲んでいる人などにも入りやすい「引受基準緩和型」という医療保険もあります。ただ、これらの保険にかかる保険料は高齢になると割高な傾向があります。

そこで、保険の対象を絞ることで保険料をおさえる方法もあります。医療保険以外にも、保障対象をがんに限定したがん保険、ケガに限定した傷害保険もあります。 しかし、いずれも新規での加入は年齢制限があり、80代では入れないものがあります。

80歳から葬儀代に備える保険は必要?

80歳代になるともうひとつ意識し始めるのが、万が一の死亡かもしれません。日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳※3。80代では、親族や友人などが亡くなるケースが若いときに比べて身近になってくるでしょう。

葬儀代以外に相続手続きにも費用がかかる

ご自身のもしものとき、残される家族が見送りのためにお葬式をあげると、葬儀代がかかります。葬儀代は目安として200万円ほどといわれることがありますが、葬儀の形式や会葬者の人数などによって個別差があります。さらにかかることも、半分以下で済むこともあるようです。ご自身の希望やご家族の考えについて、できれば元気なときにお互いに意向を確認しておけるとよいですね。

また、亡くなった後には家族が遺品の整理をしたり、相続の手続きをしたり、遺産が所定額を超えると相続税の納税も必要になります。相続税がかからなくても、自宅など不動産の名義変更では登記費用や司法書士への報酬がかかります。もしもの死亡に備える保険は、こうしたご家族の負担にも対応できます。

加入中の死亡保険を確認、契約によっては金額が低くなっていることも

死亡保険には、所定の期間のみ保険がおりる「定期保険」と、生涯にわたって保障が続く「終身保険」があります。終身保険であれば、基本的には若いときに入った保険が有効に続いているはずです。保険金額や契約の状態を確認しておきましょう。

一部の終身保険には、特約で定期保険がついていることがあります。若い頃にはこれらを合わせて高額な保険金だったものの、定期保険部分の期間が満了(終了)して終身部分のみになると、保険金額が低くなっていることがあります。

なお、生命保険文化センター※1の調査によると、80代で死亡保険に入っている人の平均保険金額は約600万円前後(世帯主)。一概にはいえませんが、ひとつの目安になるかもしれません。ご自身の保険を考えるときには、お葬式への考えや貯蓄の残高、ご家族の負担などの状況を踏まえて検討したいですね。

80歳以降でも入れる死亡保険

もし、すでに入っている保険だけでは死亡への備えが不安というときには、新たに加入を検討できます。ただし、80歳から入れる保険は限られます。

定期保険は、保険期間が限られる反面、保険料は終身保険に比べ抑えられます。しかし80代で入れるものは一部です。

保険期間がずっと続く終身保険は、80代で入れるものは金融機関の窓口など対面で契約するもの、かつ保険料の払い込みが一時払いのものが中心です。持病がある人なども入りやすい「引受基準緩和型」というタイプも多いですが、保険料は標準的な保険に比べて割高な傾向があります。

また、一時払いタイプの終身保険は貯蓄性を兼ねたものも多く、その場合は百万円単位のまとまった手元資金が必要になることが多いです。外貨建てで販売されているものでは、為替レートの変動によるリスクもあります。老後の生活費を十分に確保して、家計に無理なく保険料を払えるかを考えてから検討することが大切です。

80代からの保険は生活費や貯蓄との兼ね合いで検討を

病気やケガ、もしもの死亡など、80代になると保険にかかわるリスクが身近になってきます。同時に、老後の生活をやりくりすることも大切です。まずはすでに入っている保険を確認して、どれくらいおりるかを知っておきましょう。また、急な出費で切り崩せる貯蓄がどれくらいあるかも把握しておきましょう。そのうえで必要な保険があれば、家計に無理なく払える保険料の範囲で選ぶとよいのではないでしょうか。

※1 出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
※2 出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」
※3 出典:厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。
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