ネットで申込めるリスク細分型の自動車保険といえば、保険料の安さが魅力のひとつではないでしょうか。でも、リスク細分型のネット自動車保険のなかでもいろいろな保険会社があります。
実は、保険料の決まり方は、ネット自動車保険どうしでも保険会社によって違いがあります。このため、同じ条件でインターネットで見積もりをしても、保険会社によって保険料に差が出るのです。

その理由が「リスク区分の違い」です。

そこで、リスク区分と保険料の決まり方を知っておきましょう。

自動車保険の保険料はどう決まる?リスク区分とは

ドライブ中に万が一の事故やアクシデントが起きたときに備える自動車保険。この保険料は、事故が起こる確率の高さに応じて決まります。たとえば、ドライバーの年齢やクルマの使用目的、走行距離などは統計上、事故の発生確率と関連があるためです。

これら事故の発生確率に関わる要因を「リスク」といいます。自動車保険はこのリスクに段階を設けて、リスクの高い契約者には高い保険料を、リスクの低い契約者には低い保険料を負担してもらうことで、事故を起こしてしまった人の保険金を支払う財源を公平に確保するしくみになっています。

このリスクの段階のことを「リスク区分」といいます。リスク区分が少ないと、ひとつの区分の中にリスクが少々高めの人と、少々低めの人が一緒に含まれることになります。すると、同じ保険料を払っているのに、ある人は事故を起こして保険金を受け取るが、ある人は受け取らないという差が生まれやすくなります。

そこで、リスク区分を細かく設定して各ドライバーが事故を起こす確率を推定したうえで、適切な保険料を決めようとしたのが「リスク細分型」の自動車保険です。

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保険会社によって差が出るリスク区分3つ

自動車保険のリスク区分は保険業法施行規則第12条※1で以下最大9つの項目が定められています。

1.年齢、2.性別、3.運転歴(事故歴や免許証の色など)、4.車の使用目的、5.年間走行距離など使用状況、6.地域、7.車の種別、
8.安全装置の有無、9.車の所有台数

実際には保険会社がこの中から一部を選んで、保険料の設定に用いています。

リスク細分化の方法には、(1) 採用するリスク項目をより多く設定する方法と、(2) ひとつのリスク項目の中で階段をより細かく分ける方法の2つがあります。

(1)はリスク区分の種類をより多く採用することでリスクを細かに推計できます。(2)は、ひとつのリスク項目の中で段階を細かく区分することでリスクを細分化しています。

ネット自動車保険は、対面に比べて一般的に(1)のリスクで項目が多い傾向があります。またネット自動車保険どうしでも、同じリスク項目内で保険会社によって(2)の区分のしかたが違うことがあります。
そのため同じ条件の人が見積もりをしたときに保険料に差が出ることがあります。

保険会社によって区分の分け方や保険料に差が出やすいリスク区分をご説明します。

1.走行距離区分の違い

走った距離が長いほど事故のリスクが高いと判断され、保険料が高くなる「走行距離区分」。

走行距離区分は3区分から8区分までと保険会社によって異なります。

走行距離区分の例
保険会社
区分
走行距離
3区分 ~5,000km未満、
5,000km以上~10,000km未満、
10,000km以上(無制限)
4区分 ~5,000km以下、
5,000km超~10,000km以下、
10,000km超~15,000km以下、
15,000km超~(無制限)
5区分 ~3,000km以下、
3,000km超~5,000km以下、
5,000km超~10,000km以下、
10,000km超~15,000km以下、
15,000km超~(無制限)
7区分 ~3,000km以下、
3,000km超~5,000km以下、
5,000km超~7,000km以下、
7,000km超~9,000km以下、
9,000km超~11,000km以下、
11,000km超~16,000km以下、
16,000km超~(無制限)
8区分 ~3,000km以下、
3,000km超~5,000km以下、
5,000km超~7,000km以下、
7,000km超~10,000km以下、
10,000km超~12,000km以下、
12,000km超~15,000km以下、
15,000km超~20,000km以下、
20,000km超~(無制限)

もし1万キロ走る場合は、3区分なら最上位の区分になりますが、8区分なら上位から5番目の区分に含まれることになります。

前年の走行距離か、予想の走行距離かの違いもある

走行距離によってリスク区分を判定する際、保険会社によって過去の実際の走行距離を用いるところと、今後に予定される走行距離を用いるところがあります。

実際の走行距離を用いる場合

過去の走行距離を採用している保険会社では、契約者は申込時のオドメーター値をもとに、過去1年間の走行距離を申告します。この距離を保険会社所定の走行距離区分に当てはめて、保険料の算出をします。

もし契約したあとに、契約時に申告した走行距離を超えてしまっても、途中で保険料を追加して払う必要はありません。更新手続きをして翌年度の保険料を計算するときに、1年間の走行距離をもとに区分が決まります。

つまり、前年よりも走行距離が短ければ更新時の保険料は安く、長ければ高くなるわけです。

予定の走行距離を用いる場合

一方、「年間予定走行距離」を採用している保険会社の場合、契約者は「これからどれくらい走りそうか?」を推計します。推計した距離に応じて、契約する走行距離区分を決めます。
たとえば、ドライブするのは買い物やレジャーのときだけのつもりで、4000kmくらいと予想するなら、3,000km超~5,000km以下の区分で契約するなどです。

もし、実際に走った距離が契約時に申告した予定距離をオーバーしたときは、その旨を保険会社に連絡して契約内容を変更します。その際、追加で保険料を支払うことがあります。逆に申告した予定走行距離よりも少なかった場合には、保険料が戻ってくることがあります。

2.年齢区分の違い

自動車事故の確率は、年齢によって差があることがわかっています。特に若年層と高齢者での事故が多いことから、ドライバーの年齢を問わない「全年齢」という区分や、21歳以上のドライバーをすべて補償対象にする「21歳以上」を選ぶと、保険料は高くなります。

ネット自動車保険の中でも、年齢区分は保険会社によって異なります。おもに「21歳以上」、「26歳以上」、「30歳以上」、「全年齢」の4区分を設けているところのほか、さらに「35歳以上」を設け5区分としているところもあります。

また、一部のネット自動車保険は年齢区分を設けずに、1歳きざみの年齢ごとに保険料を算出します。その結果、40歳代から50歳代の保険料が比較的安くなるしくみになっていいます。

3.地域による違い

交通量や道路の条件の違いなどから、交通事故の起こりやすさは地域によって異なります。そこで、運転する地域に応じて自動車保険に異なる保険料率を設定する保険会社があります。

地域による保険料率を定めている会社では、(1)北海道、(2)東北、(3)関東・甲信越、(4)東海・北陸、(5)近畿・中国、(6)四国、(7)九州・沖縄の7区分を設けるところが一般的です。事故が多い地域では保険料が高め、少ない地域では保険料が低めに設定されるしくみになっています。

損害保険料率算出機構のデータ※2によると、自動車保険の保険金支払件数が最も多いのは愛知県。次いで東京都、大阪府、神奈川県なども多い傾向があります。逆に、島根県、高知県、鳥取県などは少ない傾向があります。

実際の保険料には各保険会社の事故データをもとに反映されるため、上記の支払件数の多い地域で必ず自動車保険料が高いというわけではありませんが、保険会社が推計する事故の発生リスクに応じて、保険料率に差が出ることがあります。

なお、地域を設定する基準は保険会社によって異なります。車のナンバープレートの運輸支局名をもとに地域区分が決まるところもあれば、記名被保険者の住所をもとに決まるところもあります。

ネット自動車保険どうしでも複数の見積もりを取ると保険料に違いが

このように、ネット自動車保険の中でも、保険料の算出方法は異なります。ネット自動車保険なら、おおむね代理店で契約する場合に比べて割安になるケースが多いものの、同じ条件でも、保険会社により保険料に差が出ることもあります。

クルマに乗る方の状況に合わせて有利なリスク区分を設定している保険会社を選ぶと、リーズナブルに自動車保険に加入できるのではないでしょうか。

※1 出典:e-Gov「保険業法施行規則」
※2 出典:損害保険料率算出機構「損害保険料率算出機構統計集2017年度版(2019年3月発行)」

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。