最近CMなどで目にする機会が多いネットで申込みできるダイレクト型自動車保険。リスク細分型というしくみによる保険料の安さが魅力の一つですが、その保険料はいったいどうやって決まるのでしょうか。

事故のリスクを数種類に区分。「リスク細分」で保険料を決定

自動車保険会社が保険料を算出する際に元になるのは、事故が起こる確率が高いか低いかです。ドライバーの年齢や運転歴などによって、事故を起こす確率は異なります。

保険会社では、全国のドライバーの運転や事故に関わるビッグデータを分析し、ほかにもさまざまな要因が事故のリスクに関わっていることを確認しています。これをもとに、新たに自動車保険に契約する人に事故のリスクがどれくらいあるかを細かな項目から判断し、その人のリスクに見合った保険料を設定するのが「リスク細分型」の保険です。

「リスク細分型」の自動車保険では、リスクの少ない人は保険料が安く、リスクの高い人はその分高い保険料が設定されます。

リスク区分はこの9項目から採用される

それでは具体的にどのような項目からリスク判断をされるのでしょうか。おもに、保険業法施行規則第12条※1で定められた、以下の最大9つの項目を参考に保険料を算出します。最大は9項目ですが、実際はこの中から各保険会社が任意の項目を採用していることが多いようです。

リスク区分の項目
①年齢 ②性別 ③運転歴(事故歴や免許証の色など)④車の使用目的 ⑤年間走行距離など使用状況 ⑥地域 ⑦車の種別 
⑧安全装置の有無 ⑨車の所有台数

年齢や走行距離などのリスク区分は保険料にどう影響する?

リスクを判定する9つの項目は、次のように自動車保険料に反映されます。

①年齢

これまでの統計をもとに、事故のリスクが高い年齢区分は保険料が高く、運転歴の短い若い世代が含まれる「全年齢」や「21歳以上」は保険料が高めに設定されています。逆に事故率が低い30代、40代は安い傾向があります。

②性別

最近では性別を保険料算出に反映している会社は少ないようです。

③運転歴

運転者の過去の無事故年数などで等級わけするノンフリート等級制度が用いられます。新規で自動車保険に加入すると、通常6等級からスタートします。1年間保険を使うことなく無事故であれば1等級ずつ上がり、最高で20等級まで上がります。等級が上がるほど保険料は安くなります。

関連記事: 事故で保険料が上がる?自動車保険の等級制度とは?

④使用目的

商品によって多少の違いはあるものの「業務」「通勤・通学」「日常・レジャー」の3つが基本です。使用目的は保険加入時の大切な告知項目です。どれに該当するかは加入する保険会社の説明に従って判断します。

⑤年間走行距離

年間走行距離を、〜5,000km、5,000km〜1万km、1万km以上などに区分しています。多いところだと7、8区分にしているところもあります。

どの保険会社でも年間走行距離が短いほど保険料は安くなりますが、走行距離の決め方に違いがあります。大きく分けて、実際に前年に走った走行距離から決定する保険会社と、契約後に予想される走行距離で決定する保険会社があります。

⑥地域

統計上事故が多い、保険金の支払いが多い地域は保険料が高くなります。

⑦車の種別

車の種類や型式により、リスクに応じて保険料に違いが出る場合があります。

⑧安全装置の有無

AEB(衝突被害軽減ブレーキ)など、指定の安全装置がついている先進安全自動車(ASV)だと保険料が安くなる保険があります。

⑨車の所有台数

1契約の規模によりリスクの考え方が異なります。
1契約10台以上のフリート契約と、9台以下のノンフリート契約で保険料のしくみが変わります。

同じ人・条件でも保険会社で保険料に違いが出ることも

このようにリスク細分型の自動車保険は、ドライバーや車の条件に応じて保険料が決まります。どのリスク区分を採用するか、保険会社によって異なりますが、ネット自動車保険は対面の自動車保険に比べ採用しているリスク区分が多い傾向にあります。ですから、今まで代理店で対面契約していた人がネット自動車保険に切り替えると、大幅に保険料を下げられることも少なくありません。

一方で、リスクを細かに判定した結果、ドライバーの事故リスクが高いと判断されて従来に契約していた自動車保険よりも保険料が高くなるケースもあります。

リスク細分型の自動車保険どうしでもリスクの判断が異なることがあります。保険会社によって、保険料を決めるために採用するリスク項目が異なるためです。同じ項目でも、その中の区分の細かさなどに違いがあり、同じ条件の人が複数のネット専業自動車保険会社に見積もりを出すと、それぞれ保険料に大きな差が出ることもあります。

リスク細分型を上手に活用して自動車保険の節約を

ネットで申し込みができるリスク細分型の自動車保険は、ドライバーや車の状況を細かく確認することで、事故のリスクに見合った保険料が設定されます。リスクの低い人は保険料が低くなりますから、これまで契約していた自動車保険よりも安くなるかもしれません。

車に乗る方の状況に合わせて、有利なリスク区分を設定している会社を選ぶと、保険料を節約できるかもしれません。

※1 出典:e-Gov「保険業法施行規則」

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。