4月は注意?子どもの自転車事故とかかるお金のリスク

新入学や新学期を迎える4月。子どもが小学生になり自転車に乗り始める、中学生になって自転車通学を始めるご家庭も多いのではないでしょうか。しかし自転車での行動範囲が広がると心配なのが、ケガや事故のリスク。

「子どもが自転車で事故にあって、ケガをしたらどうしよう」「もし人にケガをさせてしまったら、賠償金がかかる?」。子どもを自転車に乗せている親御さんは心配がつきないことでしょう。

そこで、小学生から高校生までの子どもの自転車事故のリスクと、かかるお金について説明します。

大きくなるにつれて増える!子どもの自転車事故

子どもの自転車での事故はどれくらい多いのでしょうか?警察庁のまとめ※1によると、交通事故は小学生よりも中学生、高校生になるにつれて多い傾向がみられます。

またこのうち自転車での事故も、高校生で最も多いことがわかります。

ここからは、小学生、中学生、高校生の別に、自転車事故の傾向をみてみましょう。

小学生の自転車事故は4年生で最多

中学生や高校生に比べると交通事故の件数が少ない小学生。しかし平成25年から29年までの5年間で、約10万人が交通事故に遭い死傷しているそうです。このうち自転車に乗っている間の事故は約3万人。交通事故に遭った小学生の3人に1人は、自転車での事故だったことになります。

交通事故に遭ったときの状況は学年によっても違うようです。事故全体の件数は学年が高いほど少ない一方で、自転車に乗っている間の事故の割合は高学年ほど多いのです。小学1年生での自転車事故による死傷者は5年間で約3千300人なのに対して、小学4年生では約6千400人と、2倍近い人数です。

小学校高学年になるにつれて、自転車に乗る機会や行動範囲が広がる、自転車を日常的に使い慣れるうちにスピードを出しすぎるようなことが増えるのかもしれません。

小学生の状態別死傷者数(H25~H29(5年))

小学生の状態別死傷者数(H25~H29(5年))

出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)より

中学生の自転車事故は小学生の2倍

中学生になると、小学生に比べて大幅に自転車事故が増えるようです。中学1年生での自転車乗用中の事故は小学6年生のおよそ2倍に上ります。また交通事故の6割近くを自転車事故が占めています。

中学2年生、3年生と学年が高いほど自転車による事故の死傷者数は少ないものの、どの学年も小学生より多いことをみると、中学生では一般的に小学生よりも行動範囲が広いこと、通学や通塾など子どもだけで自転車に乗る機会が多いことなどが、自転車での事故のリスクに関係しているのかもしれません。

中学生・高校生学年別の状態別死傷者数(H25~H29(5年))

中学生・高校生学年別の状態別死傷者数(H25~H29(5年))

出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)より

高校生の交通事故の7割以上が自転車事故

最も自転車事故が多いのが高校生です。自転車に乗っている間の事故による死傷者は約7万人と、中学生の2倍以上にのぼります。歩行中やクルマ・バイクに乗っている間の事故と比べても圧倒的に多く、交通事故全体による死傷者数の約7割を占めています。

特に事故が多いのが高校1年生です。自転車事故による16歳の死傷者は全年代のなかで最も多いそうです。

自転車事故が多いのは4月~7月、朝7時~8時

警察庁※1のまとめによると、中学生と高校生の自転車事故が1年で最も多いのは5月から7月にかけて。例年、4月から増加する傾向があるそうです。他の年代でも4月から5月にかけて増加傾向はあるようですが、中高生ではより顕著なようです。

月別死傷者数(中学生・高校生自転車乗用中)(H25~H29(5年))

月別死傷者数(中学生・高校生自転車乗用中)(H25~H29(5年))

出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)より

また、1日の中で自転車事故が多いのは朝の7時から8時。登校時間帯にあたる早朝の事故が圧倒的に多いことがわかります。また夕方の16時から18時の事故も多いことから、下校時刻の前後も要注意なようです。

時間帯別死傷者数(自転車乗用中)(H25~H29(5年))

時間帯別死傷者数(自転車乗用中)(H25~H29(5年))

出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)より

子どもの自転車事故でかかるお金

子どもの自転車事故には学年によって傾向が異なることがわかりましたが、いざわが子が事故を起こしたり事故に遭ったりしたときには、どんなお金がかかるのでしょうか?
親として、子どもを自転車事故に遭わせない心がけとともに、子どもが自転車事故にあってしまったときのこと、特にそれに伴ってかかるお金についても知っておきたいところです。

子どもが自転車事故に遭ったときに見舞われるリスクには、おもに(1)ケガをすることと、(2)人にけがをさせてしまうことの2つが考えられます。

1.子どもがケガをしたときにかかるお金

自転車の事故でケガをしてしまったら、その治療費がかかります。保険がきく治療なら健康保険や子どもの医療費助成制度を使えば、自己負担額はゼロか、大幅に抑えられます。

医療費助成制度の条件や内容はお住まいの自治体によって異なります。多くの地域では中学生までは医療費の自己負担はかなり軽減され、地域によっては高校生まで自己負担がないところもあります。

ご自身のお住まいの地域で対象となる年齢や、入院と通院のいずれも対象になるか、一部自己負担があるか、全額が助成されるかなど、一度チェックしてみましょう。

2.子どもが相手にケガをさせたときにかかるお金

自分の子どものケガ以上に高額な負担になる可能性があるのが、自分の子どもが起こした自転車事故で、相手にケガをさせた場合です。被害者に対して損害賠償を支払う義務が生じた場合、子どもの保護者が賠償責任を負うことがあります。

近年では小学5年生の子どもが起こした自転車衝突事故によって被害者の女性に後遺障害が残り、子どもの母親に9,500万円の賠償命令が出された事例もありました(神戸地裁2013年7月4日判決)。ほかにも自転車事故の加害者に約5,000万円~約9,000万円の賠償を命じた事例は複数あり、うち加害者が未成年のケースも珍しくありません。

子どもが起こした事故でも、相手に重大な損害を負わせてしまったら、その責任を親がとること、高額な賠償をしなければならないこともあります。

子どもの自転車通学に備える自転車保険

気軽な移動手段として子どもが日常的に利用する自転車でも、もし事故に遭ったら思わぬお金の負担につながるリスクがあります。そんなリスクに備えるのが自転車保険です。自転車に乗る人には加入を義務づけている地域もあります。

また自転車通学を認めている中学校や高校では、生徒に自転車保険の加入を勧めているところもあります。しかし基本的には生徒が任意で加入するものです。警察庁※1のまとめによると、自転車通学をしている生徒に対して自転車保険に加入しているかどうかを確認している学校は中学校で約44%、高校で約57%だそうです。自転車事故への備えについて、実態を把握している学校は一部にとどまっているようです。

すでに入っている保険で備えられる場合も

ただ、自転車事故でのケガでかかるお金や相手への賠償責任については、学校で案内される団体保険でカバーできることがあります。クラブ活動中やその往復時の事故については、スポーツ活動を対象にした保険で対応できることもあります。

また賠償責任については、自転車を購入・点検したときについているTSマークというラベルや、ご家庭で加入している自動車保険や火災保険などに補償が含まれていることがあります。

自転車に特化した保険でなくても自転車事故に備えられることがありますので、まずは加入している保険の内容を確認しておくとよいですね。

子どもが一人で自転車に乗り始めたら、事故の備えも意識

大きくなるにつれて子どもの行動範囲が広がるとともに、それまでは想定しなかった事故に見舞われるリスクも出てきます。
交通事故のなかでは自転車による事故は大きな割合を占めていますから、自転車で行動する子どもには、交通安全について日頃から伝えておくとともに、いざというときの備えも意識しておきたいもの。

既に加入している保険や、自転車保険を活用して、自転車での事故に備えられると安心ですね。

※1 出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。