「子どもが自転車で事故にあって、ケガをしたらどうしよう」「もし人にケガをさせてしまったら…?」自転車デビューしたての子どもや、通学や習い事の行き帰りで自転車に乗っている子どもを持つママやパパは心配がつきないことでしょう。

そこで、子どもの自転車事故のリスクと対策方法について説明します。

大きくなるにつれて増える!子どもの自転車事故によるケガ

警察庁のまとめ※1によると、自転車の事故でのケガは小学生よりも中学生、高校生になるにつれて多い傾向がみられます。

小学生は高学年になるにつれケガの事故が増える

まず小学生の傾向を見てみると、平成25年から29年までの5年間における小学生全体の交通事故の死傷者は約10万人。このうち自転車に乗っている間の事故は約3万人です。これはクルマに乗っている間の事故に次いで多く、歩行中よりも多い水準です。

また、事故全体の件数は学年が高いほど少ない一方で、自転車に乗っている間の事故の割合は高学年ほど多いのです。

小学生の状態別死傷者数 H25~H29(5年)

小学生の状態別死傷者数のグラフ

小学生の状態別死傷者数のグラフ

出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)より

中学生になるとケガの事故が倍に

中学生、高校生では自転車に乗っている間の事故はさらに多く、歩行中やクルマに乗っている間の事故を大幅に上回っています。中学生では交通事故での死傷者約5.4万人のうち、自転車乗車中の事故によるものは約3万人と6割近くを占めています。

小学生の自転車事故(死傷者数)は6学年分で約3万人ですから、2倍近く多いことになります。

小学生と中学生では事故の傾向が大きく違うのためか、中学1年生での自転車乗用中の事故は小学6年生のおよそ2倍に上ります。

中学生の中では、2年生、3年生と学年が高いほど自転車による事故の死傷者数は少ないものの、どの学年も小学生より多いことをみると、中学生では一般的に小学生よりも行動範囲が広いこと、通学や通塾など子どもだけで自転車に乗る機会が多いことなどが、自転車での事故のリスクに関係しているのかもしれません。

中学生・高校生学年別の状態別死傷者数 H25~H29(5年)

中学生・高校生学年別の状態別死傷者数のグラフ

中学生・高校生学年別の状態別死傷者数のグラフ

出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)より

ケガの事故が最も多いのが高校生

小学生から高校生の中で、最も自転車事故が多いのが高校生です。自転車に乗っている間の事故による死傷者は約7万人と、中学生の2倍以上にのぼります。歩行中やクルマ・バイクに乗っている間の事故と比べても圧倒的に多く、交通事故全体による死傷者数の約7割を占めています。

特に注意したいのが高校1年生です。2年生、3年生に比べて事故がもっとも多いのです。この傾向は中学生でもみられ、入学・進学などで環境や行動範囲が変わることが影響しているのかもしれません。1年生は、特に注意が必要だといえるでしょう。

自転車事故でかかるお金は?

子どもが自転車事故に遭ったときに見舞われるリスクには、おもにケガをすることと、人にけがをさせてしまうことの2つが考えられます。

親として、子どもを自転車事故に遭わせない心がけとともに、子どもが自転車事故にあってしまったときのこと、特にそれに伴ってかかるお金についても知っておきたいところです。

子どもがケガをしたとき

自転車の事故でケガをしてしまったら、その治療費がかかります。保険がきく治療なら健康保険や子どもの医療費助成制度を使えば、自己負担額はゼロか、大幅に抑えられます。

医療費助成制度の条件や内容はお住まいの自治体によって異なります。対象となる年齢や、入院と通院のいずれも対象になるか、一部自己負担があるか、全額が助成されるかなど、一度チェックしてみましょう。

ただし、長期の入院や保険がきかない手術が必要になると、健康保険や医療費助成制度だけではカバーできず、予想外の出費が必要なことも予想されます。

関連記事: 子どもにかかる医療費をカバーする「医療費助成制度」

子どもが相手にケガをさせたとき

自分の子どものケガ以上に高額な負担になる可能性があるのが、自分の子どもが起こした自転車事故で、相手にケガをさせた場合です。

近年では小学5年生が起こした自転車衝突事故によって被害者の女性に後遺障害が残り、子どもの母親に9,500万円の賠償命令が出された事例もありました(神戸地裁2013年7月4日判決)。ほかにも自転車事故の加害者に約5,000万円~約9,000万円の賠償を命じた事例は複数あり、うち加害者が未成年のケースも珍しくありません。
自転車事故でかかるお金を考えるなら、自分の子どもが加害者になってしまったときのことも見逃せません。

関連記事: 日常のトラブルを補償する保険

今入っている保険でも自転車事故をカバーできる?

では、子どもの自転車事故に備えるにはどうすればよいのでしょうか? 子どもに気をつけて運転してもらうのは大切ですが、万が一防ぎきれない事故に見舞われたときのセーフティーネットがあるとより安心ですね。

自転車事故によるさまざまなリスクに備える方法には自転車保険や、自転車を買ったときや有料の点検・整備したときに付けてもらうTSマークについている保険があります。

一般的な自転車保険は「自分のケガ」と「相手への賠償」の2つの補償があります。それぞれの補償が、すでに契約している保険でカバーできるケースもあります。以下、自転車での事故に対応できる保険の例をみてみましょう。

自分のケガの補償

自転車でのケガには、傷害保険や自動車保険の特約、学校で加入する団体保険で備えることができます。

傷害保険

たとえば、自分の子どものケガに対応するなら、傷害保険があります。自転車に乗っているときだけでなく、日常生活全般でのケガで入院や通院をしたときに保険金がおります。傷害保険のうちファミリータイプのものなら、親が契約者でも子どもも補償の対象になります。

自動車保険の特約

また自動車保険の特約として、自転車事故によるケガに備えられる補償をつけられることがあります。自動車保険の記名被保険者だけでなく、その家族がけがをしたときにも補償の対象になります。

学校の団体保険(総合補償制度)

子どものケガに備える保険のなかでぜひ注目したいのが、学校を通して加入する総合補償制度です。学生総合補償制度や学生教育研究災害傷害保険などがあり、校内でのケガだけでなく、登下校中のケガも対象になります。

学校によってプランのラインナップが異なることがありますが、「総合補償」など幅広くカバーするタイプだと、ケガだけでなく後遺障害、死亡、賠償責任を負ったときも保険がおります。

相手への賠償の補償

自転車に乗っていて他人にけがをさせてしまったときの賠償責任保険は、さまざまな保険に特約としてついていることがあります。

自動車保険・火災保険・家財保険の個人賠償責任特約

たとえば、自動車保険や火災保険、家財保険。「個人賠償責任」という特約がついていれば、一般的には日常生活で賠償責任を負ったときに保険がおります。

自動車保険についている特約でも、クルマではなく自転車に乗っているときの賠償責任に対応できるのです。ただ、自転車保険についている賠償責任の保険金額に比べると低めのことがありますので、契約している保険の内容をチェックしてみましょう。

クレジットカードの個人賠償責任保険

また、一部のクレジットカードでは個人賠償責任保険を付帯できることがあります。月々100円台など手ごろな保険料で加入でき、自転車専用プランを設けているカード会社もあります。

自転車保険に比べると保険金額が低い傾向がありますが、上乗せとして契約する、まずは何かしらの保険に入っておくうえで便利ではないでしょうか。

自転車事故に備えられる可能性がある保険の一覧

このように、自転車事故でのケガや賠償に対応できる保険は複数あります。主なものを以下の表にまとめています。ご参考にしてみてください。

保険の種類別にみた自転車事故の保障内容
自分のケガ 相手への
賠償
ケガ 後遺
障害
死亡 賠償
責任
TSマーク
自転車保険
傷害保険
自動車保険
医療保険
学校の団体保険
(学生総合補償制度)
火災保険
家財保険
クレジット
カード

※△:保険会社により自動でセットされている場合や、特約の付帯が必要な場合があります。

自転車の事故にどこまで対応できる?保険のチェックポイント

子どもの自転車事故に保険で備えるうえでは、おもに次のポイントを確認しましょう。

1.自転車による事故は賠償の対象?(賠償責任保険の場合)

自転車保険以外で自転車事故に備えるなら、自転車による事故が賠償責任保険の対象になるかを確認しましょう。自動車保険などの特約として「個人賠償責任」の補償がついていると、自転車による事故が賠償責任補償の対象になるかもしれません。

2.保険期間と更新期限

自転車保険や個人賠償責任保険(自動車保険、火災保険などに付帯するものを含む)の保険期間は1年や2年など短期間がほとんどです。保険期間が終了すると、特約としてついている賠償責任保険なども消滅します。

もし、自転車への備えのために特約部分の補償を残したいなら、更新を忘れないようにしましょう。

3.保険金額

一般的に、自転車事故専用に備える自転車保険に比べて、他の保険の特約で備えると保険金額が低い場合があります。

たとえば賠償責任保険の保険金額は、自転車保険では1億円から2億円のものが多いですが、家財保険などでは1,000万円から2,000万円程度のこともあります。

4.傷害等級と支払割合(傷害保険の場合)

自転車事故でケガをしたときには、後遺障害が残ってしまうことがあります。傷害保険では、その程度(後遺障害等級)に応じておりる保険金額が変わります。後遺障害等級には、1級から14級がありますが、保険金が支払われる等級は保険会社により異なります。
軽度の後遺症だと、保険が下りないこともありますので、対象になる後遺障害の範囲を確認しておきましょう。

5.子どもは対象になる?

学校を通して加入する保険など、子ども向けのものならば問題ありませんが、自動車保険や火災保険など、親が契約している保険で子どもの自転車事故に備えるなら、子どもが対象になるかを必ず確認しましょう。

傷害保険には、親が契約すると同居の子どもも含めて家族全員を対象にできる「ファミリータイプ」を提供している保険会社があります。子ども名義で一人ひとり契約するよりも、ファミリータイプを選ぶほうが、家族全員分の保険料の負担が少ない場合があります。

まずは、現在加入中の保険の内容を確認しましょう

子どもの自転車事故を防ぐには、日々の心がけや親としての監督責任が大事ではありますが、防ぎきれないケースも皆無ではありません。万が一に備えて、お金の負担だけでも抑えるうえで、自転車保険は有効です。

とはいえ、既に加入している火災保険や自動車保険などで、子どもの自転車での事故に備えられる可能性もあります。まずは、現在加入している保険で子どもの自転車事故が対象になるかを確認しましょう。

そのうえで、子どもの年齢や自転車に乗る頻度などを考えて、より手厚く備えたいときに自転車保険を検討するとよいですね。

※1 出典:警察庁交通局「児童・生徒の交通事故」(平成30年)

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。