突然の入院!入院が決まった後でも保険に入れる?保険以外で費用を軽減する方法も解説

病気やけがで入院をするときには、あらかじめ入院日を決めておく場合と、予定はなかったものの急遽入院する場合があります。急に体調が悪くなった、検査の結果すぐに入院が必要だと判明したようなときには、突然に入院が決まることがあるでしょう。

そんなとき、自身の体と共に心配なのが入院費用や治療費用など急なお金の出費ではないでしょうか。特に、入院前に保険に入っていなかったらお金のことは一層不安に感じるかもしれません。

では、入院が決まってから生命保険や医療保険に入ることはできるのでしょうか? 保険以外で入院費用の負担を減らす方法と合わせて解説します。

直近の入院は保険の対象外!入院費用はおりない

生命保険や医療保険に加入するときには、健康状態に関する「告知」が必要です。

これは、病気やけがのリスクがどれくらい高いか、つまり保険金や給付金を受け取る確率がどれくらい高いかをあらかじめ見積もるためです。リスクが高い人は健康な人に比べて保険金や給付金を受け取る確率が高いため、健康な人と同じ条件で加入したのでは不公平になってしまうおそれがあります。

そこで、リスクが高い人は保険に入れないか、保険料が高くなるなど所定の条件つきになるのが一般的です。

入院が決まってからは基本、すぐに入れない

これから入院する予定がある人についても、心身のどこかになにかしら治療をする必要があると考えられますから、保険の条件上はリスクが高い人とみなされる傾向があります。ですから基本的には、保険に入りにくいでしょう。

しかし、日常生活には支障がない程度の不調で入院をする場合でも、保険に入れないのでしょうか?

たとえば、健康に関わるほどではない良性の腫瘍がみつかって取り除くような場合は、体調が悪いわけではないものの入院や手術をすることがあります。
このようなケースで保険に加入しようとするときにも、原則として保険会社にその旨を告知しなければなりません。

一般的な生命保険・医療保険に契約するときの告知書には、「現在入院中、あるいは入院・手術・検査をすすめられていますか」という質問が含まれていることがあります。
この場合、まだ入院はしていなくても、入院をすすめられていれば告知書に「はい」と記入しなければなりません。

告知で「はい」と回答したからといって、必ず保険に加入できないわけではありません。その詳細を記入して、保険会社が契約の可否や条件を審査します。ただ、最終的な判断は個別の状況により異なるものの、これから入院する予定があれば保険に加入するのは難しいようです。

加入前の告知項目(例)
  • 現在入院中あるいは入院・手術・検査をすすめられている

例外的に、予定しているのが日帰り入院、ちょっとした異常やケガで急を要さない計画入院など軽微なケースならば、保険の種類や状況によってはごくまれに契約ができる場合もあるようです。ただその場合も条件付きの契約になる可能性があります。

たとえば、眼の手術で入院する予定があって保険に契約する場合に、契約後に眼に関わる病気やケガで入院しても保険の入院給付金はおりないものの、胃や心臓など直接に関係ない臓器の病気なら保険がおりるようなケースです。

病気がある人向けの保険でも、すぐ加入は難しい

保険の中には、最近に病気やケガをしたことがある人でも入りやすいものがあります。たとえば「引受基準緩和型」という保険は、標準的な保険に比べて告知事項が少なく、契約時点で病気やケガの治療中だったり、持病があったりしても入りやすいしくみになっています。

しかし、これから入院しようとするタイミングには、「引受基準緩和型」の保険でも加入は難しいようです。

引受基準緩和型の保険の告知事項には、「今後3か月以内に、入院または手術の予定がありますか」のような内容が含まれます。
また、標準的な保険と違って引受基準緩和型保険は、告知で聞かれる質問への答えがすべて「いいえ」にならないと、原則として契約できません。これから入院する予定があると上記の質問には「いいえ」と答えることになりますから、保険加入ができないのです。

また、入院日がまだ確定していなくても保険への加入は難しいケースが多いようです。保険によっては、告知で「最近3カ月以内に、医師から入院・手術・検査のいずれかをすすめられたことがありますか」という聞かれ方をするためです。入院するように「すすめられただけ」でも、引受基準緩和型の保険には入れないおそれがあるのです。

加入前の告知項目(例)
  • 今後3ヶ月以内に入院または手術の予定がある
  • 最近3ヶ月以内に医師から入院・手術・検査のいずれかをすすめられたことがある

入院が決まった後に加入できても、直近の入院は保険の対象外

もうひとつ、病気をしたことがある、持病がある人が加入しやすい保険に「無選択型」という保険もあります。これは、告知や審査がない保険です。

「無選択型」の保険は、過去の入院歴や現在の健康状態にかかわらず契約できます。ですから、これから入院する予定があっても保険に入ることができます。

ただし、加入することはできても保険がおりるには要件があります。「無選択型」の医療保険は「待ち期間・待機期間」といって、契約から90日間は病気での入院や手術は保障の対象外になっています。つまり、契約後3カ月頃までは病気で入院をしても保険がおりないわけです。

また、待ち期間の開始(契約から91日目)より前に発病している病気については、契約日(責任開始日・保障が開始する日)から2年を過ぎていないと入院や手術に関する給付がおりないという要件を定めていることもあります。つまり、すでに病気にかかっていれば2年以上先の入院でないと保険はおりないということです。

ですから、病気にかかっていて近いうちに入院が決まっているとき、「無選択型」の保険であれば加入することはできますが直近の入院で保険を受け取るのはあまり期待できないでしょう。

このように、生命保険の種類によって、これから入院するタイミングで保険に入れる可能性は異なります。あくまでも一般的な傾向ですが、おおまかには以下のようにまとめることができます。

  入院
予定の
告知
入れる
可能性
今回の入院
での給付の
可能性
標準的な保険 ×
病気がある人
向けの保険
(引受基準緩和型)
× ×
病気がある人
向けの保険
(無選択型)
不要 ×

諦めないで!入院費用は保険以外で抑えられる

このように、入院が決まってから入れる保険は限りがあり、また加入できてもこれからすぐの入院で必ず保険を受け取れるわけではありません。

しかし、民間の医療保険以外にも、入院費用の負担を抑える方法はあります。公的な健康保険で、医療費の負担はある程度抑えられます

払った医療費が高額になった時、限度額を超えた分が後から戻ってくる「高額療養費制度」と、窓口で限度額までしか払わなくてもよい「限度額適用認定証」の2つをご紹介します。

自己負担は「公的制度」を活用して安く抑える

保険がきく治療や入院費用は、病院の窓口での精算時に保険証を提示すれば自己負担が3割(現役世代の場合)になります。

また、3割でも負担する金額が高額になってしまうときには、「高額療養費」という制度があります。1カ月にかかった医療費の自己負担が所定額を超えると超えた部分が戻ってくる健康保険の制度です。

たとえば70歳未満で年収約370万円から770万円の場合、1カ月に8万円~9万円程度が自己負担の上限額になります。もし、入院や手術の費用が高く、3割負担でも高額になったときには、1か月あたりにこの上限額までは負担しなければならないものの、これを超えた分は所定の手続きをすると後から戻ってくるのです。

長期の入院に備えて「限度額適用認定証」の準備を

また「高額療養費制度」には、病院の窓口で請求される金額をはじめから自己負担の上限額までにできるしくみもあります。
加入している健康保険の窓口で「限度額適用認定証」という書類を発行してもらい、入院先の病院に提出しておくと、請求額が高額になっても、自己負担の限度額を超えた分は病院で請求されないものです。

「限度額適用認定証」がないと、入院中や退院時の精算ではまず3割負担の医療費を全額支払い、高額療養費の手続きをすると後で自己負担の上限額を超えた部分が戻ってきます。
いったんは自分で高額な医療費を払わなければなりません。これが、「限度額適用認定証」を提出することで請求額が少なくなりますから、入院中に高額なお金を準備しなくてもすみます。

入院中に大きな手術をする予定がある、入院が長期になりそうというときには、先に「限度額適用認定証」を病院に提出しておくと安心ではないでしょうか。
会社員や公務員の人は勤務先で、自営業などで国民健康保険に加入している人は、お住まいの地域の窓口で発行してもらえます。

入院前に保険に入れなくても、負担を軽くして将来に備えて

すでに病気にかかってこれから入院しようというときには、入れる保険の選択肢はごくわずか。また直近の入院をカバーすることは難しいのが現実です。
しかし保険に入れなくても公的制度で、入院費用の負担を抑えることはできます。

また、入院をきっかけに自分の病気やケガへの備えを改めて考えることがあるかもしれません。今後の入院に備えて、中長期的な視点で保険を検討するとより安心ではないでしょうか。

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。