がん検診とは?検診の種類と受け方

がん検診は、所定の年齢になると、お住いの自治体からクーポン券が送られてきます。そのクーポンを利用すれば、自治体との提携医療機関で、がん検診を受けることができます。

しかし、年に一度は健康診断を受けているからがん検診は必要ない、と考えている方もいるかもしれません。また、受け方がわからず迷っているうちにクーポン券の有効期限が切れていた、という方もいるでしょう。

では、がん検診にはどんな効果があるのか、また、どんな種類があり、どうやって受けられるのか、詳しく見ていきましょう。

「検診」と「健診」の違いとは?

「検診」と「健診(健康診断)」は、似た言葉ですが、それぞれ目的が少し異なります。

検診は特定の病気を早期発見するための検査

「検診」とは、特定の病気にかかっているかどうかを調べるための検査・診察のことです※1

特定の病気の早期発見と早期治療の実施を目的としており、胃がんや大腸がん、肺がんなどの検査をするがん検診や、子宮内膜症など女性特有の病気を検査する婦人科検診などがあります。

検診は基本的に任意で受けることになっています。

健診は全身の健康状態を確認するための検査

これに対して「健診(健康診断)」とは、その人が健康かどうか、また病気のリスクを抱えていないかを総合的に確認するための検査のことをいいます※2

健診には、年齢や、乳児、企業の従業員、妊婦などの属性によって法定で受診が義務付けられているものと、個人が任意で受けるものがあります。

おもに、身長・体重・腹囲・視力および聴力の検査、血圧などはいずれの健診でも共通して検査しますが、年齢や属性によって、便及び尿検査、胸部エックス線検査、肝機能検査なども検査項目に含まれます。

会社勤めをしている人の場合、労働安全衛生法で、1年に1回は健診を受けるように定められています。ですので、健康に自信がある人や病気の心配がない人も必ず受診しなくてはいけません。これに対して自営業や専業主婦などの場合は、自治体が実施している健診を自分で申し込むなどしなければ、健診を受ける機会は基本的にありません。

このように、検診と健康診断では調べる項目や内容が異なります。ですから、会社などで定期的に健康診断を受けている場合も、がんなど特定の病気を発見するには、別途で検診を受けることが重要です。

がん検診の種類は大きく2つ

がん検診にはおもに2種類があります。

ひとつは、各自治体や職場がその自治体住民や職員を対象に行うがん検診です。がんの早期発見と予防を目的としており、費用は公的補助があるため無料あるいは少額な自己負担で受けることができます。

検診の対象年齢になる年に、各自治体から検診受診の案内とクーポン券が届きます。クーポン券には受診期間が定められているので、その期間内に自治体指定の医療機関へ電話などで予約をします。

もうひとつは自分の任意で医療機関に行って受けるがん検診です。
各医療機関が独自に提供する医療サービスのひとつですので、その内容や費用は異なります。費用は基本的には全額自己負担ですが、健康保険組合から補助金が出る場合もあるようです。検診を行っている医療機関を自分で調べ、電話などで予約します。

どちらの方法でもがんの早期発見に役立てることができますが、調べられるがんの種類や数に違いがあることがあります。

がんのリスクや心配事に合わせて受ける

死亡率の減少効果があると科学的な裏付けがされているがん検診については、各自治体や職場で受けられ、自己負担が無料あるいは割安で受けることができます。2020年4月現在、胃がん・肺がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんの5種類が該当します。それぞれについて、一定年齢以上の人が対象者とされています。

このほかの種類のがんについても検査したいときには、任意で受ける検診があります。この場合、個人個人の希望に合わせて色々な部位の検診を、どの年齢の人でも受けることができます。

しかし費用が原則として自己負担になります。このため、自治体や職場で受けるがん検診に比べて負担が高額になりやすいことと、受診できる医療機関について自分で情報収集をする必要があります。

費用を抑えて、まずは自分の年齢で気をつけたいがんのリスクを調べたい場合は前者、費用がある程度かかっても自身の心配事に合った検診を自由に選んで受けたい場合は後者、といったように使い分けると良いかもしれません。

がん検診、実際どれくらい受けている?

このようにがんを不安に思う人にとっては強い味方のがん検診ですが、実際にはどれくらいの人が受診しているのでしょうか?がん検診の受診率をみてみましょう。

がん検診の受診率

がん検診の受診率について厚生労働省※3の「国民生活基礎調査の概況」平成28年のデータを見ると、年々上昇していることがわかります。しかし男性の肺がん検診以外の受診率は50%を割っており、がん検診を受けたことがない人は半数以上いるようです。

がん検診の受診率(男性:40歳~69歳)

性別にみたがん検診を受診した40歳から69歳の者の割合:男性

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成28年)

がん検診の受診率(女性:40歳~69歳)※子宮がん(子宮頸がん)検診は20歳~69歳

性別にみたがん検診を受診した40歳から69歳(子宮がん(子宮頸がん)検診は20歳から69歳)の者の割合(女性)

出典:厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(平成28年)

しかしがん検診を受診し、がんの早期発見と治療を行うことができれば、治療にかかる費用と期間も少なく済みます。また、がんになる前段階の腫瘍などを見つけられ、がんを予防できる可能性もあるといわれています。

このため、日本ではがん検診の受診率を50%にする目標が掲げられています。国、自治体、企業などが連携して、がん検診の普及啓発をしたり、がん検診について理解を深めるためのキャンペーンを行ったりしています。

日本人が生涯でがんに罹患する確率

一方で、がんは日本人にとって他人事の病気ではありません。日本人が生涯の中で一度でもがんに罹患する確率は部位によっても異なりますが、全がんで見ると、男性が63.3%、女性が48.4%※4で、2人に1人が罹患をする可能性があるとされています。

その中でも特に、男性は胃がんや大腸がん、肺がん、女性は乳がん、大腸がんなどの罹患リスクが高いようです。このため、これらのがんは自治体や職場の補助でがん検診を受けられるところが多いようです。

定期的ながん検診の受診で早期発見と治療を

地域や職場で受診する機会がありながらも、まだ充分に活用されていない面もあるがん検診。

どんなものかわからない、申し込みなどが億劫に感じるなどであまり受診したことがない人も、自身の健康のために定期的に受診するようにしたいもの。自治体のクーポン券や職場の補助を上手に活用すると、費用の負担を抑えられますよ。

※1 出典:厚生労働省「eヘルスネット 検診(けんしん)」
※2 出典:厚生労働省「eヘルスネット 健診(けんしん)」
※3 出典:厚生労働省「国民生活基礎調査 平成28年」
※4 出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」罹患データ

参考:厚生労働省「令和元年度がん検診受診率50%達成に向けた集中キャンペーン」

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。