がん保険とは、おもにがんにかかった際の治療費に備える保険です。
がんで入院したときや通院したときのほか、がんと診断された時点で給付金を受け取れるものもあります。

がんに備える保険には、「がん保険」と、死亡保険や医療保険にオプションとしてがんへの保障を付帯する「がん特約」の2種類があります。
いずれも、おもにがんで入院や手術をしたときや、治療をしたときなどに給付金を受け取れます。

がん保険の基本保障は入院・手術・通院

多くのがん保険やがん特約には、おもにがんの治療のために入院、手術をしたときに給付を受け取れる保障がついています。
商品によっては、通院したときに給付を受け取れるものもあります。

入院したとき

がんで入院したときに、入院日数に応じて入院給付金を受け取れます。

手術を受けたとき

がんの手術を受けたときに、手術給付金を受け取れます。一般的には、1日あたりの入院給付金額をベースに、手術の内容によってその10倍や20倍の金額を受け取れます。たとえば1日の入院給付金額が5,000円、手術給付金がその20倍の保険の場合、5,000×20倍=10万円を手術給付金として受け取れます。

手術給付金額が一律で決まっているもの、外来での手術か入院中の手術かにより金額が異なるものもあります。

通院したとき

がんの治療目的で通院した際に給付金を受け取れます。一般的には1回の通院で3,000円~10,000円に設定できることが多いですが、なかには3万円までの間から選べるものもあります。

がん治療で役立つさまざまな給付金

がん治療中の入院・手術・通院の給付金のほかに、がんと診断されたときや、受けた治療の種類などによって給付金がおりるものもあります。

がんの診断で受け取れる給付金

入院や手術をしたかどうかに関わらず、がんと診断された時点で給付金を受け取れるものもあります。

医師にがんと診断確定された時点で「診断給付金」としてまとまった一時金を受け取れます。一般的には50万円~200万円の範囲で設定できます。

対象になる「がん」の範囲は保険会社によって異なります。いわゆる「がん」には「悪性新生物」と「上皮内がん(上皮内新生物)」があり、上皮内がんの場合は給付される金額が半額になるがん保険もあります。

また、受け取れる回数が1回のみに限定されているもののほか、2年に1度を限度に複数回受け取れるものもあります。複数回受け取れるものは、がんが再発、転移したときにも対応できます。

治療の種類に応じて受け取れる給付金

先進医療、放射線治療など特定の方法で治療を受けたときに給付金を受け取れるがん保険もあります。

先進医療を受けたとき

多くのがん保険では、厚生労働省が認める先進医療を受けたときに、かかった治療費を「先進医療給付金」として受け取れる特約をつけられます。

先進医療は公的な健康保険の対象外で、治療費・技術料の全額が自己負担になります。がん保険の先進医療給付金は商品により最大1,000万円から2,000万円に設定されており、実際に先進医療を受けたときにはこの範囲内でかかった実費額を受け取ります。

放射線治療をうけたとき

がんの治療目的で放射線治療を受けた際に、給付金を受け取れるがん保険があります。放射線治療は入院をせずに通院で行うこともあり、放射線治療への保障がついていると入院をしていなくても給付金を受け取れます。

多くは放射線治療を受けた月ごとに10万円など、あらかじめ設定した月額を受け取れるしくみになっていますが、一部の保険は手術、放射線治療、抗がん剤治療のいずれかを受けた際に一時金として100万円など、まとまった金額を受け取れるものもあります。

抗がん剤治療をうけたとき

がんの治療目的で抗がん剤治療をうけた際に、給付金を受け取れるがん保険があります。抗がん剤治療は入院をせずに通院で行うことがあり、抗がん剤治療への保障がついていると入院をしていなくても給付金を受け取れます。

多くは抗がん剤治療を受けた月ごとに10万円などの月額を受け取れるしくみになっていますが、自由診療の抗がん剤治療を受けた際には給付金額が2倍になるものもあります。抗がん剤治療には複数の種類があり、公的な健康保険の対象になるものと、対象外のものがあります。対象外の治療を選んだ際にがん保険からの給付が大きければ、治療の選択肢が広がりそうです。

また、一部の保険は手術、放射線治療、抗がん剤治療のいずれかを受けた際に一時金として100万円などを受け取れるものもあります。

ホルモン剤治療をうけたとき

がんの治療目的でホルモン剤治療を受けた際に、給付金を受け取れるがん保険があります。ホルモン剤治療は入院をせずに通院で行うことが多く、がん保険にホルモン剤治療への保障がついていると入院をしていなくても給付金を受け取れます。

多くはホルモン剤治療を受けた月ごとに、あらかじめ決めた金額を受け取れるしくみになっています。

がん治療による経済的負担を軽減できる給付金

女性が乳がんにかかった場合に再建術を受ける、がん闘病のために収入が減少するなどで経済的な負担がかかったときに、それを軽減する給付金を受け取れるものもあります。

乳房再建術をうけたとき

女性が乳がんにかかったときには、乳房を摘出する手術を受けることがあります。しかし自分の身体の一部を摘出すると大きな喪失感に見舞われるケースがあります。

そこで、失った乳房を再建する手術を受けることがあります。再建術は複数の方法があり、その内容や医療機関によって公的な健康保険がきく場合と、自由診療の場合がありますが、これらの手術を受けた際に給付金を受け取れるがん保険があります。

たとえば医師に乳がんと診断確定され、乳房再建術を受けた際には1乳房につき1回まで20万円や50万円などの給付を受けられるしくみになっています。

がん治療のために仕事を休んで収入が減ってしまったとき

がん治療のために入院したり、退院後も自宅で療養して仕事を休職したりして収入が減ってしまったときに、収入減を補う給付金を受け取れるがん保険があります。

がんと診断されたら、治療をしているかどうかにかかわらず給付金を受け取れます。給付金を受け取れる期間は3年や5年などに設定されるものと、60歳まで、65歳までなど所定の年齢まで受け取れるものがあります。

このようにがん保険は、がんの治療や闘病でかかるさまざまな負担に備えることができます。一般的には入院や手術で受け取る給付金をメインの「主契約」とし、その他の保障はオプション(特約)でつけることが多いですが、なかには診断給付金などがメインの商品もあります。

ただし、がん保険には待ち期間があります。待機期間、免責期間ともよばれ、契約から90日間はがんになっても給付金を受け取ることができません。

がん保険の受け取り方はいろいろ

上記のようにさまざまなシーンに備えることができるがん保険は、給付金の受け取り方も複数のタイプがあります。

日数に応じた給付金額を受け取るタイプ

給付金額が1日につき5千円や1万円などと設定されており、日数分を受け取るタイプです。入院や通院の給付金は、このタイプのものが多いです。

たとえば入院給付金が日額1万円で、10日間入院した場合には、日額1万円×入院日数10日=10万円を受け取れるしくみです。

このようなタイプのがん保険の場合、手術給付金は入院給付金の日額を基本に、手術の規模に応じて10倍や20倍などの倍数をかけて決まるのが一般的です。

なお、ほとんどのがん保険では、入院給付金を受け取れる日数が無制限になっています。つまり、1回の入院が長期間になっても、入院している限り給付金を受け取れます。また一度退院して再度入院したときに、合計で受け取れる入院給付金の日数にも上限がありません。一般的な医療保険は1回あたりで受け取れる入院給付金の日数が90日や120日までなどと制限されていることがあり、ここががん保険との大きな違いです。

まとまった一時金を受け取るタイプ

がんと診断されたら100万円など、所定の支払事由に該当したらまとまった一時金を受け取るタイプです。

まとまった金額を受け取れるので、がんの治療はもちろん、一時的な収入減による生活費の補てんや、交通費、入院時の費用などに充てることが出来ます。また入院日数に関わらず決まった金額を受け取れるので、退院する前から受取額の見通しがつきます。

治療にかかった実費を受け取るタイプ

入院、通院の日数や手術の種類に対してではなく、実際にかかった治療費を給付金として受け取るタイプです。

先進医療や放射線、抗がん剤治療や自由診療の治療にかかる費用は、個別のケースによって差があります。あらかじめ決まった金額しか受け取れないと、実際にかかった治療費が高額だったときには受け取る給付金額が下回ってしまうおそれがありますが、実費を受け取れるタイプだと、かかった費用と同額の給付金を受け取れます。

がん保険で、自分に合ったがんの備えを

このように、がん保険はがん治療にともなうあらゆる負担に備え、自分のニーズに合わせて受け取ることができます。万が一がんになってしまったとき、どんなタイミングで、いくら、どのように受け取れるかを検討すると、自分に合ったがん保険が見つかりそうです。

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。