フリーランスの収入がコロナショックで下がったら? 個人への補助と免除をFPが解説

世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症は、イベントの中止や延期、事業の休業要請など経済へ大きな影響をもたらしています。
それにより仕事が減った、なくなってしまった場合に、自営業やフリーランスの人は特に生活にダメージを受けやすいものです。

日本では各機関でその生活を補償する対策が行われています。
フリーランス・個人事業主・自営業のように、会社勤めではなく自分で事業をしている場合、事業の内容や規模によっては事業の継続や資金繰り、再建が不可欠ながら、個人としての自分の生活を守ることは事業規模を問わず必須です。

そこで、新型コロナウイルスに関連して、フリーランスなどの個人が受けられるおもな補助や免除の制度をお伝えします。

※この記事は2020年5月1日現在の情報を元に執筆しています

コロナショックで収入が下がった場合の補助制度

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、自粛や休業の要請がされた結果、フリーランスなど自分で事業をしている人には仕事の受注が減っているケースが散見されています。売上が減れば個人としての収入にも直結してしまいます。

そこで、フリーランスを含む個人事業主も受けられる「持続化給付金」が整備されました。

売上が半減したら100万円の「持続化給付金」

持続化給付金は、新型コロナウイルスの影響で売上が下がった場合に、最大100万円(中小企業や小規模法人は200万円)を受け取れる緊急措置です※1
2020年1月から12月のうち、売上が前年同月比で50%以上下がった月がひと月でもあれば、その月を基準にして、減少額を上限に100万円の給付を受けられます。

売上減少分の計算式

売上減少分の計算式

売上減少分の計算式

前年と比べて売上が減少した月が複数あれば、申請時に自由に選ぶことができます。この月の売上が1年間ずっと続いたと仮定して12をかけたものを、2020年の売上高とみなして申請できます。

2019年以前から事業をしている個人事業主やフリーランスの人が給付を受けることができます。2019年に創業したばかりの人には特例が設けられるようです。

申請は持続化給付金の特設サイトで受け付けます。2019年の確定申告書や売上が減少した月の帳簿や通帳のコピー、本人確認書類などを提出します。書類が受理されると、通常は2週間程度で給付金を受け取れるようです。

申請書類や申請手順は以下特設サイトをご確認ください。

また、2020年5月1日より、持続化給付金の申請受付専用のコールセンターが開設され、電話対応やLINE等でのお問い合わせへの対応も行えるようです。

持続化給付金事業 コールセンター
TEL:0120-115-570

受付時間:8:30~19:00
(5月・6月:毎日/7月~12月:土曜日を除く)

子どもの休校で仕事を休んだ場合の補助制度

2020年3月から、小中高校で臨時休校が続いています。育児のために仕事ができず収入が減ってしまった場合に受けられるのが「小学校休業等対応支援金」です。

1日あたり4100円の「小学校休業等対応支援金」

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金は、臨時休校によって子どもの育児をするために仕事をできなかったフリーランスの人に、収入を補てんするものです※2
2020年2月27日から6月30日までの間で、仕事ができなかった1日あたり4100円を受け取れます(2020年5月1日現在)。

対象になるのは、次の1から4すべてを満たす人です。

  1. 子どもの保護者(親、祖父母、親族など)である
  2. aまたはbのいずれかが理由で子どもの世話をして仕事ができなかった
    1. 新型コロナウイルス感染症のために臨時休校・休業をした小学校、幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育)、放課後等デイサービスなどに通う子どもがいる
    2. これらに通っている子どもが新型コロナウイルスに感染した・風邪症状などがあって新型コロナウイルスに感染したおそれがあった、のいずれかが理由で保護者(親、祖父母、親族など)が仕事を休んだとき
  3. 学校などの臨時休業の前に、業務委託契約などを結んでいる
  4. 学校などの臨時休業の期間中、かつ業務委託契約で予定されていた日時に仕事をできなかった

フリーランスにはさまざまな仕事があり、ワークスタイルも多様です。また受注の形もいろいろなケースがあります。業務委託契約書が締結されていない場合には、電子メールなど発注の内容がわかるものがあれば申請できます。

申請は、厚生労働省の委託機関である学校等休業助成金・支援金受付センターに、郵送で提出します。受付期間は2020年9月30日までです(2020年5月1日現在)。

申請書の印刷や、記入例、書類の郵送先については厚生労働省の以下のサイトをご確認ください。

支給要件に該当するか、必要書類が何かなどは、個別の状況により異なることがあります。詳しくは学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンターというところが相談に応じています。

学校等休業助成金・支援金、雇用調整助成金コールセンター
TEL:0120-60-3999

受付時間:9:00~21:00(土日・祝日含む)

公的年金や保険の免除

フリーランス・個人事業主の人は、公的年金や健康保険の保険料を全額自己負担しています。新型コロナウイルス感染症の影響で収入が下がったときには、これらを納めるのが厳しくなることがあるかもしれません。

そのような場合に、納付を免除や猶予してもらえることがあります。

国民年金の免除

国民年金の保険料は1か月あたり16,540円(2020年度)。しかし、失業や廃業、事業の休止によって納付が難しい場合には、免除してもらえることがあります※3

失業や廃業はしていないものの、収入が減った場合には、原則は前年または前々年の所得が所定額以下なら対象になります。

これが、2020年5月からは特例として、新型コロナウイルス感染症の影響で所得が一定額以下に下がった場合は対象になる見込みです。申請の受付を行う市町村で、詳細な基準を確認するとよいでしょう。

国民健康保険の免除

国民健康保険(国保)の保険料は各自治体が定めています。保険料額の計算式は各地域が、世帯の人数や所得額をもとに定め、全額が自己負担です。

この保険料も、新型コロナウイルス感染症の影響で支払いが厳しいときには減免措置を受けることができます※4

減免の詳細な対象や申請方法は各地域によりますが、基本的には、収入が前年よりも3割以上減ったなどの要件を満たした場合に、前年の所得に応じて国保の保険料の全額または2~8割が減額されます。

細かな内容はお住まいの地域の窓口で確認すると確実でしょう。

税金の猶予

税金の支払いも、フリーランスや個人事業の人には少なからぬ負担です。所得税や個人事業税など、事業をしている人にかかる税は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合に納税を猶予してもらえることがあります。

所得税の確定申告期限の延長

事業をしている人が売上や税額を申告、納税する「確定申告」の手続きは、原則として1年分を翌年の3月15日までに行うことになっています。これが、2020年は4月16日まで期限が延長されました。

また、緊急事態宣言の発令により全国的に外出が制限されている状況を考慮して、4月17日以降も申告は受け付けられています※5
申告や納税が期限後になってしまった場合には、税務署に事情を申し出れば個別に期限を延長してもらえます。新型コロナウイルスの影響で期限を延長した場合には、延滞税などがかかることはありません。

国税庁によると、期限の延長は特別な手続きをする必要はなく、確定申告書を提出する際に、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」のような文言を付記するだけでよいそうです。

また国税庁では、納税が難しい人のための相談窓口を設置しています。全国各地の国税局に設置されており、電話で納税の期限延長について相談できるようです。

納税に関する相談窓口

固定資産税、個人事業税などの猶予

個人事業主の場合には、確定申告とは別にお住まいの地域に個人事業税の納付も必要です。また事業用の店舗や車、備品などがあれば固定資産税もかかります。

これら、自治体に納める税金も、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が下がった場合には納付が猶予されます。

詳細は地域により異なることがありますが、東京都の場合には2020年2月以降に、1か月あたりの事業収入が前年同期比20%以上下がり、納税が難しい場合などに、税の徴収が1年間猶予されます※6
納税を猶予してもらうにあたり、延滞税はかかりません。また担保を差し入れる必要もありません。

給付金や猶予制度でコロナショックを乗り越える

コロナショックは多くのフリーランスや個人事業の収入に打撃を与えています。しかし、手元資金を確保し、出費を抑える方法が複数あります。経済状況によっては、支援策が今後さらに拡大される可能性もあります。

先行き不透明な状況は事業を続けていくうえでとても不安なものですが、ご自身が使える制度を見つけて、少しでも負担を抑えたいものですね。

※この記事は5月1日現在の情報をもとに執筆しています。最新の情報や個別具体的な取り扱いについて詳しくは、各機関にご確認ください。

※1 出典:経済産業省「持続化給付金」
※2 出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」
※3 出典:日本年金機構「【国民年金被保険者の方へ】新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について」
※4 出典:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援について」
※5 出典:国税庁「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」
※6 出典:東京都主税局「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方に対する猶予制度について」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。