新型コロナウイルスで収入ダウン 保険料を払えないときの対処法をFPが解説

2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、国内では学校の休校措置、外出やイベントの自粛、海外への渡航への注意喚起がなされています。特に緊急事態宣言が発令されてからは影響が経済活動に広く及び、多くの企業が休業、営業時間短縮などの措置を講じました。その結果、やむを得ず仕事を休んだ、事業の売上が落ちたなどで収入が下がってしまい、家計に大きなダメージを受けている人が少なくありません。

収入が急激に減ってしまうと、生活費のやりくりはそれまでより難しくなってしまいます。特に、毎月支払うことが決まっている固定費は重い負担になることも。保険も、そのひとつではないでしょうか?

そこで、新型コロナウイルスの影響で保険料を支払うのが厳しくなってしまったときの対処法をお伝えします。

保険料の払い込み期限を延長してもらえる

毎月や毎年など、決まった期日に決まった金額を払い込む生命保険や損害保険。新型コロナウイルスの感染が拡大しているこの時期には、いつも通りに支払うのが厳しいと感じることがあるかもしれません。

そこで各保険会社では、保険料の支払いが難しくなった人向けに、払い込みを猶予する措置を設けています。そして、現在は新型コロナウイルス感染の影響を受けて、猶予期間を通常よりも延長しています(2020年5月現在)。

生命保険は最長6カ月延長猶予

生命保険(死亡保険・医療保険・がん保険など)は現在、保険料の払い込みの猶予期間を最長6カ月間、2020年9月末などまで延長している保険会社が多いようです。

延長してもらえるのは、「新型コロナウイルス感染症により影響を受けた契約者」とされているのが一般的です。

新型コロナウイルスに感染した人だけではなく、感染拡大の影響で仕事を休んだ、収入が下がったなど間接的に影響を受けた場合も対象になるようです。
細かなことは保険会社に個別に相談すると確実ではないでしょうか。

生命保険の猶予期間は通常1カ月程度

生命保険の保険料を払うのが厳しいときに猶予してもらう制度は、実はコロナウイルス感染症とは関係なく通常時にもあります。

猶予期間は保険料を払い込む頻度によって異なります。

月払いの場合には、払い込むべき月の翌月1日から末日までです。たとえば毎月10日に払い込む契約で、4月10日に払うはずだった保険料を払えなかった場合には、5月1日から5月30日が猶予期間になります。

半年払い、年払いの場合には、払い込むべき月の翌月1日から翌々月の契約応当日までです。たとえば毎年4月10日に保険料が引き落とされるはずが、支払ができなかった場合には、5月1日から6月10日が猶予期間になります。

つまり、通常時には保険料を支払う猶予期間はおおむね1カ月程度です。

損害保険は9月末まで猶予

損害保険(自動車保険・火災保険など)も、新型コロナウイルス感染症の影響で保険料を期日までに払えなかったときの猶予期間を、各保険会社が延長しています。現在、2020年9月30日(3月13日から最長6カ月後の末日)まで延長しているところが多いようです。

延長してもらえるのは、生命保険と同じように、契約者が新型コロナウイルスに感染したときや感染の疑いがあって自宅待機をする場合のみならず、間接的な影響を受けた場合を含みます。

たとえば、感染防止のために保険代理店などの担当者に対面できない場合、契約先の代理店などが休業や業務縮小している場合などです。
詳しくは、契約している保険会社や保険代理店に確認するとよいですね。

損害保険の猶予期間は通常1カ月程度

自動車保険や火災保険など、損害保険の保険料を払うのが厳しいときに猶予してもらう制度も、実はコロナウイルス感染症とは関係なく通常時にもあります。

猶予期間は各保険会社が設定しています。通常は、保険料を引き落とす期日の翌月や翌々月としているのが一般的です。保険商品の種類や、契約した時期によって異なることもあります。

保険の更新期限を延長してもらえる

なお、この時期に保険の更新を迎える場合には、手続きの時期を猶予してもらうこともできます。

生命保険の更新延長は個別対応

生命保険の一部には、保険期間があらかじめ決まっていて、期間が終了すると更新できるタイプのものがあります。
「定期保険」や「定期特約」という名前がついているものです。

保険期間が終了すると原則として保障が切れてしまいますが、新型コロナウイルス感染症のために更新手続きができない場合には、その期限を延長してもらえることがあります。
延長できる期間は、保険会社や契約内容によって異なるようです。詳しくは契約先の保険会社に相談してみましょう。

損害保険の更新は9月末まで延長

自動車保険や火災保険などの損害保険は、多くが1年ごとに契約を更新するしくみです。

郵送やネットなどで簡単に更新手続きをできるものもありますが、契約内容などによっては保険代理店の担当者との対面が必要なことがあります。このような場合で、新型コロナウイルス感染症の影響で手続きをするのが難しいときには、手続きの期限を延長してもらえます。
延長される期間は、2020年9月30日(3月13日から最長6カ月後の末日)までとする保険会社が多いようです。

もしも保険期間中に更新手続きができなくても、延長期間中に手続きをすれば補償が切れてしまうのを避けられます。

お金が必要なときは、生命保険から借りられる(契約者貸付制度)

新型コロナウイルス感染症の影響で事業に支障が出てしまった、収入が下がってしまったなどで、お金が必要なときには、生命保険でお金を借りることもできます。「契約者貸付制度」というもので、保険会社からお金を借りられます。

契約者貸付制度は、解約返戻金のある生命保険に契約していると利用できます。

終身保険や養老保険、個人年金保険など、満期時や解約時にお金が戻ってくる、いわゆる「積立型」の保険が対象です(定期保険や医療保険の多くは「掛捨て」タイプの保険で、解約返戻金がほとんどないため、契約者貸付制度は原則として利用できません)。

借りられる金額は解約返戻金の範囲内で、保険会社で所定の手続きをするとお金を借りられます。保険会社のATMで、カードを使ってお金を引き出せる場合もあります。

新型コロナによる場合は利息ゼロ

通常、契約者貸付制度を利用すると所定の利息を払う必要があります。しかし今回の新型コロナウイルス感染症の流行をうけ、各保険会社では貸付利率を一時的にゼロ(利率0.0%)にしています。つまり、利息なしでお金を借りられます。

利率が0.0%になるのは、2020年3月16日から5月31日までに貸付を申し込んだ場合で、金利の減免は9月末まで受けられるところが多いようです。借りる際の手続きも通常より簡略化されているところもあります。

また、すでに契約者貸付制度でお金を借りていて、新型コロナウイルス感染症の影響で返済の手続きができない場合にも、返済期限を延長してくれる保険会社もあります。

通常は期限までに返済しないと保険が失効してしまいますが、現在は2020年9月30日まで猶予してもらえるようです。

新型コロナで保険料を払えなくても、まずは相談を

家計が苦しく、保険を払えずにそのまま失効してしまうと、いざというときに保険を活用できなくなってしまいます。
しかし各保険会社では、新型コロナウイルス感染症の拡大で保険の払い込みが厳しいときや、資金が必要なときに対応できる特別な措置を用意しています。

もしも新型コロナウイルスによってなんらかの影響を受け、困った際には、契約先の保険会社に確認してみてはいかがでしょうか。

※本記事は2020年5月15日現在の情報を元に執筆しています。内容は随時更新しておりますが、必ずしも最新ではないことがあります。また、個別の状況により取り扱いが異なることがあります。個別具体的なケースにつきましては、契約先の窓口などにご確認ください。

※【2020年5月15日】情報更新に伴い、記事の一部を追記、改編いたしました。

参考:金融庁「新型コロナウイルス感染症に伴う金融上の措置について(要請)」
参考:生命保険協会「新型コロナウイルス感染症に係る特別取扱いについて」
参考:アクサダイレクト生命「新型コロナウイルス感染症に係る特別措置について」
参考:アクサダイレクト「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対応につきまして」
参考:ライフネット生命保険「新型コロナウイルス感染症に関する特別措置について」
参考:大同生命「新型コロナウイルス感染症」の拡大にともなう各種お取扱い」
参考:住友生命「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特別取扱いについて」
参考:三井住友海上あいおい生命「「新型コロナウイルス感染症」の拡大に伴う各種お取扱いについて」
参考:AIG損保「保険料の払込猶予期限についてのご案内」
参考:損保ジャパン「新型コロナウイルス感染症に関するご案内」
参考:東京海上日動新型コロナウイルス「感染症に関する情報」
参考:三井住友海上「新型コロナウイルスに関するご案内」

  • 執筆者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤 梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表取締役
    CFP(R)認定者、金融知力インストラクター、健康経営エキスパートアドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員を務める。