Vol.8 車いすからスタート!リハビリのはじまり

ギランバレーコラム画像

ギランバレー症候群体験記

ギランバレー症候群は、自己免疫疾患の一つで、ウイルスや細菌がきっかけとも言われている。
両足の筋力低下、しびれ、運動麻痺、呼吸麻痺にもなりえる病気にかかり、治療を経て、リハビリ、回復に至るまでをコラムで振り返る。

「リハビリ半年」の宣告

医師も薬が効いて、順調に回復していると言っている。
「早く退院したい!」「よ~し、早く復活して子どもと遊ぼう!」ところが世の中そう甘くはない。

入院して10日ばかり、身体が回復してくると、思考が現実的になってくる。

1歳に満たない赤ちゃんに会いたい。
仕事は大丈夫かな?
治療費は高いのかな?
お金は大丈夫かな?…などなど。

薬が効きはじめ、回復の兆しが見えていたものの、当然完治したわけではない。
医師は「神経がやられているのでリハビリに3ヶ月から半年はかかる」しかも「リハビリ専門の施設に転院する必要がある」とのこと。

「これから半年か…。」
その説明を傍らで妻が聞きながら、二人で重い表情になるしかなかった。
その不安を払拭するために、自分が今できることは「リハビリをがんばる!」それだけだ。
「早く元の身体に戻そう!」

痛みと恐怖のリハビリ

しかし、リハビリ初日は棒につかまったまま、車いすから自力で立ち上がることもできなかった。
実際、高齢の方々が自分の側をスタスタ歩いて行く姿を見ると、精神的にへこんだ。

長時間座って足がしびれることがあるが、それが全身に行き渡っている感じである。
手でグーをつくろうとするとピリピリ、開いてパーにしようとするとピリピリ。いちいちしびれと痛みが走る。
文字や図を描こうとしても手全体を使わないと描くことが出来ず、指先の繊細さが全くないのである。

それでもリハビリを必死でやった。
点滴をつけた棒を持ちながら、20mぐらいの円周をゆっくりと歩いてまわる。やはり一歩一歩足にピリピリと痛みが走る。
少しだけ早く歩こうとしても脳と足への信号伝達が上手くいかずに、つまずきそうになり、ロボットが歩いているようにぎこちない。

リハビリ中一番怖かったのが、階段下りである。
上りは目の前の段に合わせてゆっくり足を上げればよいが、下りは足元が見えないため、ふらついてしまう。
健常者であれば階段のステップで踏ん張ればよいが、足先の感覚が麻痺している私は、ふらついて足をくじいてしまうのではないかという恐怖があった。
初めは「下りる」というより、「足をステップにゆっくりと置く」のが精一杯であった。

その他、ウォーキングマシン、自転車こぎ、ワープロ打ち、ゴム伸ばしなど、健常者であれば日々の生活の中で当たり前にできていることを汗びっしょりになって行なった。

入院生活でのリハビリ期間は4、5日ほどであったが、1日1日がとても早く感じた。
ただ、リハビリは確かに痛みと恐怖があったものの、「日に日に良くなっている」という確かな実感があり、充実感にあふれていた。

プロフィール

【K・I】
1968年、神奈川県生まれ。大学卒業後、住宅メーカー、生命保険の営業職を経験。
45歳で娘が生まれ、その8か月後にギランバレー症候群を発症。本コラムでは、治療から回復までの体験を振り返る。

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