医療費の負担を軽減する公的な制度には、「高額療養費」「医療費控除」があります。

どちらも自己負担した医療費の一部が戻ってくるしくみですが、まったく異なる制度です。高額療養費は健康保険の制度ですが、医療費控除は所得税の制度であるためです。

高額療養費と医療費控除の違い

おもに次の3点で違いがあります。

  1. 申請・受け取りのタイミングが違う
  2. 対象が違う
  3. 受け取り方が違う
高額療養費と医療費控除の違い比較

※はみ出ている場合、横にスクロールできます。

高額療養費 医療費控除
申請 診療を受けた翌月 医療費を支払った翌年の初め
申請先 健康保険 税務署
対象制度 健康保険 所得税
受け取り 診療月の3~4か月後 医療費を支払った翌年3~4月頃
税額の軽減(受け取り自体は発生しない)
対象 保険がきく診療のみ 診療・治療・出産に関わるもの(市販薬も対象)

出典:筆者作成

1.申請・受け取りのタイミングが違う

高額療養費は診療を受けた月1カ月ごとに自己負担の限度額を定めたものです。ですから、自己負担が多かった月があれば、その翌月に申請し、3~4か月後には限度額を超えた金額が戻ってきます。

これに対して、医療費控除は医療費の自己負担が一定額を超えたときに、所得税の計算上で所得控除を受けられるものです。つまり、所得税が低くなるしくみであり、必ずしも医療費の一部の金額が戻ってくるわけではありません。また、所得税の確定申告で申告するため、計算は1年に1回行います。1月1日から12月31日までにかかった医療費をまとめて、翌年の2月~3月の確定申告期間に申告します。

勤め先の会社で、すでに源泉徴収で所得税を天引きされていたり、年末調整で所得税が計算されていたりする人は、医療費控除を反映して税額を計算し直すことで、納めた税金の一部が戻ってくることがあります。戻ってくるのは確定申告後の3~4月ごろになるのが一般的です。

なお医療費控除の計算では、自己負担した医療費から、生命保険からの給付金や高額療養費などを受け取った金額を差し引きます。差し引いた残りが10万円(総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額)を超えていれば、その部分を医療費控除できるのです。したがって、医療費控除を適用するのは高額療養費を受け取るよりも後になります。

医療費がかかってからの流れ

医療費がかかってからの流れの図