肥満には、おもに皮下脂肪型肥満(お尻や太ももなどの下腹部を中心に、皮下組織に脂肪が蓄積するタイプ)と、内臓脂肪型肥満(腹腔内の腸管膜などに過剰な脂肪が蓄積するタイプ)の2つがあります。このうち、内臓脂肪が蓄積された状態に、高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさると、心臓病や脳卒中などをまねきやすくなります。この状態を「メタボリックシンドローム」といいます※1。具体的には、下記の基準により診断します。
メタボリックシンドロームの診断基準
日本では、腹囲の基準を必須項目として、加えて高血圧・高血糖・脂質代謝異常の3つの選択項目のうち2項目以上にあてはまると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。
必須項目 |
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選択項目 | ・高トリグリセリド血症≧150mg/dL かつ/または 低HDLコレステロール血症<40mg/dL ・収縮期(最大)血圧≧130mmHg かつ/または 拡張期(最小)血圧≧85mmHg ・空腹時高血糖110mg/dL |
※出典:eヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」を元に筆者作成
必須項目と選択項目で2項目以上あてはまる人はメタボリックシンドロームと診断する、と規定されています。
※測定時基準について
・CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい
・ウエストは、おへその高さで軽く息を吐いた状態で測る
・メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験がすすめられるが診断には必須ではない
・高トリグリセリド血症,低HDLコレステロール血症,高血圧,糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合はそれぞれの項目に含める
メタボリックシンドロームの危険性
メタボリックシンドロームは、重症化するまで自覚症状がほとんどありません。しかし、糖尿病・動脈硬化を引き起こし高血圧性心疾患、脳血管障害につながったり、腎臓病、認知症、がんといった病気のきっかけになるおそれがあります。これら生活習慣病の多くは自分では気がつかないうちに進行し、自覚する頃には重症化していることもあります。
また、糖尿病になると動脈硬化を進めるほか、網膜症、腎臓疾患、神経障害などの合併症を招くおそれがあります。重症化すると、失明する、人工透析が必要になることもあります。
メタボリックシンドロームへの予防対策
メタボリックシンドロームを防ぐためには、食生活、運動、ストレス軽減が大切です。食生活では、1日3食食べること、よくかんでゆっくり食べること、間食をなるべくせず、就寝の直前に食べないことなどを心がけましょう。
運動は、日常生活のなかで体を動かす機会を増やすことからでも良いでしょう。エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、乗り物を利用せずにいつもより少し歩いてみるなどから始めてみましょう。そうすることで、エネルギーの消費量を増やせます。
ストレスがたまると、食欲が高まりやけ食いややけ酒につながることがあります。ストレスから睡眠不足になり、食欲を高める作用を起こすこともあります。日頃からストレスを解消し、ゆっくり休む習慣をつけておきたいものです。適度な運動は、ストレス解消に効果的ともいわれています。※2
※1出典:eヘルスネット「メタボリックシンドロームとは?」
※2出典:eヘルスネット「メタボリックシンドロームの予防と改善」
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