満員電車という密閉された空間で「痴漢にあったらこわい」と不安を感じる方がいる一方、「電車で痴漢に間違われたらどうしよう」と痴漢冤罪に不安を感じる方もまた多くいらっしゃると思います。
痴漢を撲滅しようという動きが大きくなり、痴漢の送検件数が増えた結果、冤罪事件も発生するようになりました。では、この冤罪を避けるにはどうしたらよいのでしょうか。

痴漢冤罪はこわい!

2007年に公開された日本映画「それでもボクはやっていない」で取り上げられたのも痴漢冤罪。電車の中で痴漢と疑われ、有無を言わさず捕まってしまう主人公の話ですが、自分が冤罪で訴えられ人生が台無しになると思ったら、とても恐ろしいものです。たとえ冤罪で無罪を勝ち取っても信用やイメージの回復はなかなか大変で、社会復帰が難しいと言われています。
痴漢冤罪の疑いがかけられてしまったとき、自分自身の生活や仕事、またご家族の生活、それぞれどのような影響が起こるのか2つのケースをみてみましょう。

ケース1.会社の同僚が痴漢に間違われ捕まった!

「この人痴漢です!」
ある日の朝、電車の中で女性が叫びました。女性が指さしたのは、何と、同僚Mさんでした。
同じ社宅から、たまたま一緒に出社した朝の出来事です。彼は顔面蒼白になり「自分ではない!」と主張しましたが、駅員に引っ張られてホームに降ろされ、そのまま駅員室に連れていかれたのです。私は何も見ていなかったので証言できる材料がありません。なす術もなく、とにかく出勤して上司にこのことを報告したのです。

Mさんは、容疑の取り調べのため2日間警察に留置され、無罪を主張し続けたそうですが、結局、検察庁に身柄と共に書類送検され、10日間も拘留されて取り調べが続いたようです。

一方、取り調べの時間が長引くほどに、会社ではMさんにとって不名誉な噂が広がりました。また、仕事上でもMさんがいないことで同僚が迷惑することもあり、次第にMさんに対して同情する気持ちより非難する感情の方が強くなっていきました。「本当にやっていないの?」という疑いを持つ人もいたのです。人事部門でも、警察沙汰になったMさんを厄介に思う空気が強くなってきました。こうしてMさんの会社での立場は悪くなっていったのです。こうした社内の雰囲気を感じるにつけ、自分がもしMさんの立場になっていたら・・・と思うと本当に嫌な、不安な気持ちになります。冤罪は本当にこわいことです。

ケース2.夫が痴漢に間違われてしまった・・・

ある朝の出勤時、夫が電車の中で痴漢に間違われました。その場で駅員の手で警察に突き出されてしまったのです。彼はとても温厚で、痴漢をするような品性の人ではありません。でも、本人が、「やっていません」と言い続けても、結局、警察署で2日間も取り調べを受け、その後検察庁にまで行くことになってしまったのです。
あとから聞いたところでは、やったと認めたら、すぐに釈放してもらえたそうです。でも、やってもいないことを認めることはできません。勾留の間は、何がどうなっているのかわからず家族は心細い思いをしました。会社の人も、夫の潔白を信じてくれる方ばかりではない様子もみられ、夫がこの先も安心して働き続けられるのか心配になりました。
そのうえ、「事件を起こしたのはお前のせいだ」と、夫の両親から非難され、私自身も精神的、身体的にまいってしまって入院してしまったこともありました。子供も学校でいじめられ、結局、夫は会社を辞め、子供も転校することになりました。

冤罪とは本当に恐ろしいものです。名誉の回復もなかなか難しく、家族みんなが傷つき、生活が変わってしまいました。
捕まるべき本当の犯人が、どこかで犯罪を続けているかもしれないと思うと、本当に悔しいです。

痴漢で捕まってしまったら、そのあと、どんなことが起きるの?

こうして見てきたように、痴漢で捕まったら、無実であっても大変な状況になります。もし「痴漢」と疑われたら・・・・・起きる事柄について順を追ってみてみましょう。

  1. 駅員室に誘導される
  2. 警察官が駆け付け、警察に連行される
  3. 最長3日間、警察で容疑の取り調べを受け、初動調査が行われる
  4. 迷惑防止条例違反による現行犯逮捕として検察庁に身柄と共に書類送検される
  5. 検察庁で検察官による取り調べを受ける

検察庁で取り調べの結果、証拠不十分や、罪を認めた場合で逃亡の恐れなしの場合は、すぐに釈放されます。しかし、身柄拘束のまま取り調べの必要があるとなったら10日間の勾留があるのです。無罪を主張しても、実際にやっていないことを証明しない限り、有罪になる可能性が高いのです。

日本では有罪になる率は大変高く、起訴された人の99.9%は有罪というデータもあります。もし痴漢に間違われでもしたら、相当厄介な事態になるということが理解できると思います。

痴漢冤罪を防ぐためには、備えが大切です

会社員をはじめ様々な人が毎朝、満員の電車やバス、混雑する駅を利用しています。そうした何気ない日常の中で起こるかもしれない痴漢の冤罪を、どのように防いだら良いのか。ご自分を守り、家族を守るために、下記のように小さな対策から実践してみましょう。

  • 電車の中では、両手でつり革につかまるようにして、手を下げない
  • 通勤時間をずらして満員電車を避ける
  • 決まった通勤経路を外れない
  • 可能な限り女性のそばに行かない
  • 自転車通勤が可能なら、電車を使わない

もし間違われたら、どうすれば!?

もし間違われた場合には以下のような対応が考えられます。頭に入れておきたいものです。

  • 「自分はやっていない」と明確に主張する
  • 何かに触れることを避け、すぐにDNA鑑定、繊維鑑定などを求める。
  • 被害を主張している相手に多く話をさせ、自分は発言を慎んで余計な言質を与えない
  • 被害を主張している相手や第三者(駅員など)の話をスマホで録音する
  • 「疑われている」と明確に伝え、周囲の目撃者や証言してくれる人を引き留める
  • 連行されないようその場を動かず、弁護士を呼ぶ
  • 線路に逃げるのは絶対にしない

転ばぬ先の杖=相談できる弁護士がいれば安心

いざという時のために、相談できる、駆けつけてくれる、法律の専門家がいれば安心です。
弁護士というと、ちょっと壁を感じるかもしれませんが、いざという時の対応によって、ご自身や家族とのこれからの生活を守ることにつながります。また、法律的な知識・経験に基づいて対応をすることで、問題が大きくなることを未然に防ぐことや、ご自身やご家族への悪影響を少しでも軽減することができるのではないでしょうか。
痴漢冤罪などに強い弁護士もいますので、「転ばぬ先の杖」を持つためにも、今から情報を集めておくことは重要です。
また、弁護士会や法律相談センターの連絡先などを常に携帯しておくことも役に立つと思います。

痴漢冤罪をなくすために

痴漢冤罪をなくすためには、まず痴漢冤罪そのものをなくす努力が大切だと思います。
実際に痴漢行為を見たら、見ぬふりをしないで、痴漢行為をやめるようしっかりと声をあげていくことが大切です。そして、痴漢は恥ずかしい卑怯な行為だ、という意識を社会全体で持っていきたいものです。
また、痴漢行為を指摘する場合は、その結果がその人の人生に大きな影響を及ぼすということも理解し、正しく摘発したいものだと思います。

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