高齢化が進む日本では、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳です(平成28年)。90歳まで生きる人の割合も男性25.6%、女性49.9%。つまり、男性の4人に1人、女性なら2人に1人は90歳まで生きる時代になりました※1

長寿になるにつれ、気になるのが老後のお金ではないでしょうか。公的年金に加えて自分で老後の資金を準備している方には、個人年金保険を検討している方もいるでしょう。

そこで、個人年金保険の選び方を知っておきましょう。

個人年金保険の種類

個人年金保険とひとくちに言っても、複数の種類があります。大きく「積立利率」「年金額」「年金の受け取り期間」「取り扱い通貨」の4つの点において、それぞれ以下のタイプがあります。

1.積立利率が固定されているタイプと変動するタイプ

支払った保険料を積み立てている期間中、保険会社は将来の年金受け取りに備えて資金を運用しています。その運用の利率があらかじめ固定されているタイプと、変動するタイプがあります。

(1)利率が固定されているタイプ

契約時の利率をもとに将来に受け取る年金額が決まります。保険料を払い込む期間中に市場の金利が変わっても、受取額が変わらないので、将来の資金計画を立てやすいのがメリットです。

反面、インフレになって世の中の金利が上がっても、将来に受け取る年金は低い金利をもとに決められた金額のみです。

(2)利率が変動するタイプ

「利率変動型」と呼びます。年金を受け取るまでの期間中に市場全体の金利が変われば、それに連動して積立利率が変わります。金利が上がれば、積み立てた年金の原資の運用利率も高くなります。ですから市場の金利が上昇する局面では、将来に受け取る年金額が増えると期待できますので、利率が変動するタイプの個人年金が有利です。

逆に市場の金利が下がると、当初の予想よりも将来に受け取る年金額が少なくなる恐れもあります。ただし「最低保証利率」が定められている商品では、個人年金の利率が一定以上に低くなることはありません。大幅に金利が低くなっても、受け取る年金額は最低保証されます。

なお、2019年現在は市場全体の低金利が続いているため、利率が固定されているタイプでも、変動するタイプでも積立利率の水準はあまり高くありません。

2.年金額が定額のタイプと変額のタイプ

将来に受け取る年金額があらかじめ決まっている定額のタイプと、受け取るまでの間の運用成果に応じて変わる変額のタイプがあります。

(1)定額のタイプ

将来に受け取る年金額があらかじめ決まっているタイプです。たとえば60歳から毎月5万円などのように、契約時に設定します。

(2)変額のタイプ(変額年金とも呼ばれます)

将来に受け取る年金額が、運用の結果に応じて変動するタイプです。契約時から年金の受取開始までの間、積み立てた保険料の一部を保険会社を通して自分で運用します。

保険料は保険会社に支払いますが、この一部を使って国内外の株式や債券を自分で選び、運用できるしくみになっています。運用の結果次第で、将来に受け取る年金額が増えたり減ったりします。

3.受け取る期間が「確定」しているタイプと、生きている限り「終身」のタイプ

現在販売されている個人年金保険の受け取り方には、おもに3種類あります。

(1)確定年金

契約時に定めた年数は必ず年金を受け取れるタイプです。受取期間は5年、10年、15年などに設定できるものが一般的です。その期間は、仮に途中で死亡してしまっても年金を受け取れます。

反面、確定した期間を過ぎて生きていても、年金は受け取れません。予想以上に長生きをすると、確定年金だけでは老後の資金が足りなくなるおそれもあります。

(2)終身年金

年金を受け取り始めてから生きている限り、つまり「終身」にわたって受け取れるタイプです。長生きをすれば、それだけ受け取る総額は多くなるのに対して、受取開始から短期間で死亡すると、受け取る総額は少なくなります。

ですから、契約した時点では将来に総額でいくら受け取れるのかはわかりません。

多くの商品では、「保証期間付き終身年金」といって、受取開始から短期間で死亡してしまっても、保証期間中は年金を受け取れる機能がついています。受け取るのは受取人の相続人です。保証期間は10年程度に設定されているものが一般的です。

(3)有期年金

契約時に定めた年金の受取期間中で、かつ保険の対象になる被保険者が生きている間のみ年金を受け取れるタイプです。途中で死亡するとその時点で受け取りは終了しますから、結果的に総額でいくら受け取れるのかは契約した時点ではわかりません。

一部の商品では「保証期間付き有期年金」といって、受取り期間の途中で死亡してしまっても、保証期間中は年金を受け取れる機能がついています。受け取るのは受取人の相続人です。

4.日本円のタイプと外貨のタイプ

日本円で払込み、将来に受け取る年金も日本円で受け取るタイプと、日本円で払い込むものの、それを米ドルやユーロなど外貨に替えて積立てるタイプがあります。

(1)日本円

保険料の払込みも、将来に受け取る年金もすべて日本円で扱うタイプです。

(2)外貨

保険料の払込みや将来に受け取る年金を外貨で扱うタイプです。米ドル、ユーロ、豪ドルなどが販売されています。

日本で販売されているものは、基本的にはもともと日本円を持っている人が契約しますから、保険料を日本円で払い込むものがほとんどです。これを保険会社が外貨に両替して積立て、将来に受け取る年金の原資にします。

将来に年金を受け取るときには、外貨で受け取るタイプ、日本円に戻して受け取るタイプ、いずれかを選べるタイプがあります。

個人年金保険はどう選べばよい?

このように、個人年金保険にはさまざまな種類があります。利率、受け取り方、通貨などそれぞれの種類をどう組み合わせるかによって、個人年金保険をご自身の老後にどのように活かせるかが変わってきます。

例えば60歳で定年退職をして、公的年金を受け取れる65歳までの5年間の生活資金のために活用するなら、60歳から65歳の5年間の確定年金が向いています。

あるいは、公的年金を受け取り始めてから、生きている限りその上乗せとしての収入がほしいなら、65歳から受け取り始める終身年金が向いています。いつまで生きるかに関わらずある程度受取額を確保したいなら、保証期間付きのタイプを選ぶのもよいでしょう。

老後まで10年以上あればインフレリスクも考慮して

老後を迎えるのが10年、20年先という人は、インフレリスクを考慮するのも大切です。契約時に想定した生活資金の必要額は、将来には変わっている可能性もあります。物価の上昇に合わせて年金額が上がるしくみにするなら利率変動型を選ぶ、運用性を高めるなら外貨建てや変額タイプを選ぶのもひとつでしょう。

低金利の影響で外貨建て・変額タイプの個人年金保険を勧められることも

また、2019年現在は低金利局面が続いている影響で、定額型や日本円建ての個人年金保険はそれほど運用効果を見込めないとの考えから、多くの金融機関ではあまり積極的に販売されていません。

その代りに、金利の高さを求めた外貨建てや、株式などの運用益を求めた変額タイプを勧めている金融機関も少なくありません。

ただし、外貨建てや変額タイプの個人年金保険は、為替レートや運用商品の値動きの影響を受けます。これらの多くは元本保証がありません(外貨建ての個人年金保険では、外貨ベースでの元本保証をうたっているものがありますが、日本円に換算すると、契約時に日本円で支払った元本を下回るリスクもあります)。

外貨建て・変額タイプの個人年金を契約するときの注意点

外貨建てや変額タイプの個人年金を契約する際には、こうしたリスクを十分に理解しておくことが大切です。このためこれらの商品は原則として保険会社や保険代理店の営業担当者が対面で販売しています。通販やインターネットを通しての契約はできません。

またこれらの多くは、所得税の優遇措置のひとつである個人年金保険料控除の対象になりません(個人年金保険料控除は、所定の要件を満たす個人年金に契約していると、その年に支払った保険料のうち最大で年間4万円までの部分を、その年の所得税の計算で所得控除を受けられるものです)。

老後までの期間やいつ、いくら受け取りたいかに応じて検討を

個人年金は、老後までどれくらいの期間があるか、いつ、いくらの年金を受け取りたいかに合わせて、種類や受け取り方を決めることができます。まずはセカンドライフの計画やイメージを描いて、老後の資金に求めることを整理してみましょう。

また、老後資金は預金や運用で準備することもできます。手持ちの貯蓄の状況なども踏まえて、ニーズに合った個人年金保険を選びたいものです。

※1 出典:厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」(平成29年)

  • 監修者プロフィール

    ファイナンシャルプランナー 加藤梨里

    加藤 梨里(かとう りり)

    マネーステップオフィス株式会社代表
    ファイナンシャルプランナー(CFP)、金融知力インストラクター、健康経営アドバイザー
    マネーに関する相談、セミナー講師や雑誌取材、執筆を中心に活動。保険、ライフプラン、節約、資産運用などを専門としている。2014年度、日本FP協会でくらしとお金の相談窓口であるFP広報センターにて相談員も務める。