ご夫婦で生命保険を検討される際、専業主婦(主夫)の方にも生命保険が必要かどうか?を迷われる方が少なくありません。収入がない専業主婦(主夫)の場合、病気やケガで入院をしたとしても仕事ができずに収入が減るというダメージがないので、生命保険に加入はしないでその分貯蓄や生活費に回し、いざという時は貯金でまかなえば大丈夫だろうとお考えの方もいるでしょう。
では、専業主婦(主夫)の方が病気やケガで入院や自宅療養が必要となった場合、更には配偶者の方を遺して先立つこととなってしまった場合、どのようなことが起きるのでしょうか?実際にどれくらいの金額があれば心配いらないのかを考えてみましょう。

専業主婦(主夫)の家事とその価値

 専業主婦(主夫)の方が家庭で行っている家事全般、例えば炊事・掃除・洗濯・育児・介護などは、その仕事にお給料が支払われることはないでしょう。では、家事をお給料が支払われる労働として見た場合、どのくらいのお給料を支払われる価値があるのでしょうか。
内閣府の調査で専業主婦の方が行われている家事全般を金銭的な価値に換算したデータがあります。それに基づき、改めて専業主婦(主夫)の皆様の家事活動の価値を見ていきましょう。

年収換算すると400万円相当!家事活動の価値

内閣府の調査にて、専業主婦一人当たりの無償労働(家事・買い物・介護・育児)評価額および1日あたりの平均時間は以下のようになっています。

年代 一人当たり
無償労働評価額
時給換算金額
(260日勤務とした場合)
20代 20~24歳 304.7万円 約1,542円
25~29歳 368.9万円 約1,867円
30代 30~34歳 434.0万円 約2,196円
35~39歳 443.4万円 約2,244円
40代 40~44歳 432.1万円 約2,187円
45~49歳 388.4万円 約2,244円
総数(15歳以上) 304.1万円 約1,539円
平均無償労働時間 約7.6時間

出典:内閣府「家事活動等の評価について」(2013年)図表13・14より抜粋および筆者算出

20代~40代を見てみると、家事活動評価額は概ね300~400万円超となっています。また、20代~40代の専業主婦の方の家事にかけている時間は1日あたり平均約7.6時間で、一般的な会社員の方の勤務時間と同じくらいの時間が家事に必要となっています。
専業主婦(主夫)が社会で職業のひとつとして認められたとしたら、かなりの稼ぎ手となりそうです。

専業主婦(主夫)が病気になって入院したらどうなる?

では、家庭の重要な柱である専業主婦(主夫)にもしも何かあった場合、いったいどんな問題が発生するでしょうか。専業主婦(主夫)の方は生命保険に加入せず、そのお金を貯金やレジャーなど他のことに優先して使いたい、という方針のご家庭もあると思います。しかし、生命保険に加入しないこと=お金が浮くこと、と本当になるのでしょうか。専業主婦(主夫)の方が見舞われる可能性のあるリスクと、それに伴い発生すると考えられる費用にはどういったものがあるのか、データから見ていきましょう。

入院したときの費用はどれくらい?

多くの方がまずご想像されるのが、病気やケガでの入院だと思います。しかし、病気やケガで入院をする確率はどれくらいなのか、そして実際に入院した場合に費用はいくらくらいかかるのかはご存知ですか?

厚生労働省の調査※を見ると平均して約100人に1人が入院を経験している計算となり、家庭の世帯主でも専業主婦(主夫)でも入院をする可能性があるということになります。特に女性の場合、女性特有の疾病などもあるため、男性よりも入院リスクへの注意が必要な場合があります。
では、実際に入院をした場合には入院日数とその費用はどのくらいとなるのでしょうか。

年代 入院日数 1日あたりの自己負担費用 入院日数×自己負担費用
全体 19.1日 19,835円 約378,849円
20代 11.6日 19,965円 約231,594円
30代 15.5日 22,514円 約348,967円
40代 15.0日 25,735円 約386,025円

*1日あたりの自己負担費用:治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額。
出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2017年)より抜粋および筆者算出

生命保険文化センターの調査では、1回の入院期間の平均日数は約19.1日、また、入院時の1日あたりの自己負担額は平均19,835円です。この調査の平均値のみで計算をすると、1回の入院では約378,849円かかる計算となります。

日本の公的医療保険制度は高い水準を保っており、高額療養費制度の活用などで実際には上記金額より自己負担額は少なくなることもあります。そのため、単純な入院費用だけならばまだ自力で解決が可能に感じられるでしょう。しかし、ここで考えておきたいのは専業主婦(主夫)の方が入院中、そして退院後の家事についてです。

専業主婦(主夫)が入院したときの家事への影響

専業主婦(主夫)の方が入院をしている間、その家事は当然、同世帯の他の家族で行っていかなくてはいけません。世帯主の方がこれまで通りお仕事を続けながら、専業主婦(主夫)と同じくらいの時間を家事のために確保し、同じくらい家事に打ち込むというのはとても大変なことです。

また、退院をしてからすぐに入院前と同じレベルで家事を再開できるとも限りません。退院後も通院治療が続くことも少なくありません。治療を継続している場合は、日によっては体調が悪く、寝込んでしまう日もあるでしょう。世帯主が家事をするというのも方法としてはないではありませんが、日頃のお仕事に加えて入院されている配偶者のお見舞いと家事とで疲労してしまい、それこそ共倒れになってしまっては元も子もありません。

そうなると、専業主婦(主夫)の方が入院中と、場合によっては退院後の家事労働をハウスキーパーなどにお願いすることも考えた方が良いかもしれません。そうするといくらくらいの費用が必要になるでしょうか。
経済産業省のデータによると、家事支援サービスを利用している、もしくは利用していた人のうち家事支援サービスに支払っている1時間あたりの料金は1,000円以上3,000円未満が最も多くなっています。

家事支援サービスに関する調査のグラフ
出典:経済産業省「女性の活躍推進のための家事支援サービスに関する調査」(2014年)

上記を参考に、1時間あたりの料金2,000円と仮定し、1日の家事時間7.6時間分サービスを利用する場合の1週間にかかる料金は、
概算で2,000円 × 7.6時間 × 7日 = 約106,400円となります。

実際の料金は利用する会社およびプランとその利用頻度によって異なりますが、その費用も併せて本当に貯金だけで備えることが出来るのでしょうか?ここが専業主婦(主夫)の方の生命保険加入を考える際のポイントの1つです。

もしもそれが難しいようであれば、生命保険に加入をして、その費用は生命保険で補填をするというのも方法のひとつです。その場合に検討したいのは、入院をした場合に保険金がもらえる医療保険や、入院中と在宅療養中に保険金がもらえる就業不能保険です。保険料が心配な方は割安な商品が多くスマートフォンからも申し込めるネット生命保険もチェックしてみてください。

専業主婦(主夫)に死亡保険は必要?

生命保険というと、入院時の保障をしてくれる医療保険と、死亡時にお金がもらえる死亡保険とが代表的なものです。死亡保険というと、一般的には世帯主の方が遺される家族のために葬儀費や生活費を残すための備えです。そう考えると、専業主婦(主夫)の方の死亡保険検討は、優先順位がやや低くなってしまいがちです。 

確かに、お子様のいないご家庭の場合は、葬儀費の準備が出来れば生活費の心配はそこまで大きくないかもしれません。お子様のいるご家庭の場合でも、2014年の法改正により、夫妻どちらも遺族基礎年金の受取りが可能となったことで、ある程度の金額受給が見込まれます。(参考ページ:「遺族年金の受給額」

しかし、お子様のいるご家庭の場合、考えたいのは時間の確保です。例えばお子様がまだ小さい場合ですと、保育園や幼稚園に日中預けてお仕事を終え、お迎えに行ってから家事を行い…となると、お子様と触れ合う時間はかなり少なくなってしまいます。また、お仕事と家事・育児の両立がお子様の大きくなる数年後、あるいは十数年後まで続くとなると、体力的にも辛いことが想像できます。そうすると思い切って、お子様が小さいうちは家事のすべてを家事支援サービスにお願いし、お子様との時間を大切にすることが幸せな生活を過ごすことに繋がるのではないでしょうか。
上で1週間当たりの家事サービス費用の概算を行いましたが、更にそれを年間で利用するとなると

2,000円 × 7.6時間 × 365日 = 約5,548,000円

となります。サービスのプランや利用時間・日数の変更で上記より費用を抑えることは出来ますが、それがお子様が一人でも家事ができる年齢、例えば中学生や高校生になるまで続けるとなると、やはり大きな出費となることが予想できます。

そしてその際の費用を専業主婦(主夫)の方の生命保険加入で備える、というのが手段のひとつです。例えばお子様が成人する、または大学を卒業するまでの一定時期の備えを掛捨て型の定期死亡保険で行えば保険料を抑えることが出来ますし、掛捨て型がもったいないと思われる場合には貯蓄性のある終身保険へ加入をすれば返戻金で教育費用や老後費用にも備えられて一石二鳥です。

重要な存在の専業主婦(主夫)にも生命保険は必要!

専業主婦(主夫)の方の価値は大変大きく、その存在はとても重要ということがわかりました。そしてその存在が活動できなくなってしまった際の負担の大きさも感じられたのではないでしょうか。専業主婦(主夫)の方の価値と重要性の大きさを踏まえて、もう一度ご家族で話し合い、互いに何かあった場合にどうやって備えていくか?本当に貯金だけで備えていくことができるか、それとも生命保険に加入をするか?ぜひ考えてみてください。

※出典:厚生労働省「患者調査」(2014年)性・年齢階級別にみた受療率を基に筆者算出