生命保険は、死亡や入院など、受け取る事由に該当すると保険金・給付金を受け取ることができます。しかし、こうした事態はいつ起きるか事前にはわかりません。ですから、保険の対象になる人が亡くなったり入院をしたりしても、保険を受け取れることを保険会社から教えてもらうことは原則としてできません。保険を契約している人が自ら、保険会社に連絡をして請求手続きをする必要があります。

生命保険は請求しないと3年で時効=受け取れなくなる

実は、生命保険の請求には時効があります。ほとんどの生命保険は、その契約の取り決めをまとめた「約款」で時効を定めています。一般的には「保険金等の支払いまたは保険料の払込免除を請求する権利は、3年間これを行使しなかったときは、時効により消滅します。」などと書かれています。

つまり、3年間請求しなかった場合、保険金や給付金を受け取ることはできなくなります。

時効が過ぎたら生命保険は受け取れない?

しかし、そもそも保険に契約していることを家族が知らなかった場合には、請求しないままになってしまうケースもあります。

たとえば、親が子どもに保険に入っていることを知らせないまま亡くなった場合などです。亡くなった後に子どもが遺品を整理していたら、保険証券が出てくるケースも珍しくありません。保険証券を見つけた時点で死後3年以上経っていれば、原則としては時効を過ぎています。

このような場合でも、まずは保険会社に連絡してみましょう。契約で定めたとおりの保険料が生前に払い込まれていて、契約が有効なものであれば、時効が過ぎていても保険金がおりることがあります。

同じ会社で複数の契約があれば教えてもらえる場合も

近年多くの保険会社では、受け取る権利がある人にはできる限り保険金・給付金を支払う体制を整えています。
たとえば、1年に1回、「契約内容のお知らせ」という書類を契約者のもとに送付して、どんな契約があるかを確認できるようにしています。保険の請求には基本的に保険証券が必要ですが、もしこのような保険会社からの書類があれば、保険金の受取手続きに対応してもらえることがあります。亡くなった親の遺品からこうした書類が出てきたら、一度保険会社に連絡してみるとよいでしょう。

また、同じ保険会社で複数の保険に契約していて、そのうち一つの契約に対する保険金を請求すると、ほかにも受け取れる保険がないかを確認してくれることがあります。保険金や給付金の受け取りは、死亡したとき・入院したとき・手術したときなど、それぞれの事由に該当したときに請求する権利が発生します。

しかし、入院・手術ののちに亡くなったようなケースで、亡くなって初めて保険金の請求をすると、入院や手術に関する給付金の請求を忘れてしまいがちです。それを防ぐために、保険会社側が亡くなるまでの経緯を確認のうえ、受け取る権利のある保険金・給付金をもれなく支払えるようにしています。

保険会社に連絡するときに、「ほかに契約している保険はありますか?」と聞いてみるとよいでしょう。

契約者でなくても保険の内容を確認できる「家族登録制度」とは?

時効を過ぎてから保険証券が出てきても、保険金がおりるケースはあるものの、できれば親が生きているうちに生命保険のことを知っておきたい、いざというときにスムーズに請求手続きをできるようにしておきたいと考える人も多いでしょう。

そんなときに活用できるのが「家族登録制度」というものです。

家族登録制度で保険の手続きをスムーズに

家族登録制度とは、契約者の家族の名前・住所・電話番号などの連絡先をあらかじめ保険会社に登録しておくものです。登録しておくと、契約者本人に代わって家族が保険の契約内容を確認したり、保険金・給付金の請求手続きを問い合わせたりできます。

本人が引越しをして保険会社からの郵便物が届かない場合や、大規模災害に遭って連絡がつかない場合などに、所在確認のために保険会社が家族に連絡することもあります。
どんな契約をしているかを家族が把握できるので、万が一のときには速やかに請求の手続きをしやすいですし、保険金を受け取らないまま放置してしまうのも防ぎやすくなりそうです。

家族登録制度は、多くの保険会社が導入しています。コールセンターや書面のほか、インターネットから家族情報を登録できるところもあります。契約した後からも登録できます。親御さんの保険に自分の情報を登録してもらっておくと、いざというときにスムーズに手続きできるかもしれません。

本文:CFPファイナンシャルプランナー 加藤梨里