お勤めの方が、年末になると毎年受け取る源泉徴収票。なんだか小さな数字が並んでいて、どこを見ればよいかわからない、という方も多いもの。そこで、源泉徴収票でここだけは押さえておきたいポイント5つを解説します。

ここを押さえたい!源泉徴収票5つのポイント

では、その5つのポイントについて、わかりやすく源泉徴収票のサンプルを見ながらご説明していきます。

(1)支払金額

支払い金額
いわゆる「年収」にあたる部分です。
 これは、その年の1月から12月に、会社が自分に支払ったお金のうち、税金の対象になる金額です。毎月の給与、残業代や住宅手当などの手当、ボーナスを合計した金額です。通勤手当は非課税なので、含まれません。
「支払金額」には税金が含まれているので、「額面の年収」といわれる金額とも一致します。
この金額から税金と社会保険が引かれたものが、手取りの年収になります。

(2)給与所得控除後の金額

給与所得控除後の金額
 (1)支払金額から、「給与所得控除額」というものを引いた金額です。
 「給与所得控除」とは必要経費にあたるもの。自営業者の場合はイメージしやすいですが、サラリーマンの方は日ごろ必要経費を意識することはないかもしれません。しかし、スーツやビジネスバッグの費用、洋服のクリーニング代など、仕事のために自分で負担している費用があるはずです。
 「給与所得控除」は、サラリーマンにおおよそかかる必要経費を想定して、収入金額から差し引けるものです。
 自営業の方が税金の計算をするときには、売上を得るためにかかった、商品を宣伝するための広告費、仕事をするための電気代や通信費、営業をするための交通費などの経費を、売上から差し引いた残り、つまり「もうけ」の部分が対象になります。
 「給与所得控除」は、サラリーマンでも自営業と同じように、仕事にかかる費用を差し引いてから税金を計算するためのしくみです。
 図の例では、(1)支払金額2,400,000円から給与所得控除額を差し引いた金額が、(2)給与所得控除後の金額1,500,000円になります。
 会社が給与として支払ったうち、90万円分は仕事に必要な経費とみなして、のこりの150万円分だけを自営業者でいうもうけとみなすのです。
 給与所得控除額は「支払金額」に応じて決まります。一定額までは、収入が多いほうが、給与所得控除の額も大きくなります。

(3)所得控除の額の合計額

所得控除の額の合計額
 所得税を計算するときには、給与所得控除のほかにも(1)支払金額から差し引いて、税金の対象になる金額を小さくできるものがあります。
 所得税の金額は、収入からさまざまな「所得控除」を差し引いてて課税の対象になる「課税所得」を求め、ここに税率をかけて計算します。
 この「所得控除」が、(2)で出てきた給与所得控除のほか、源泉徴収票上にかかれている次の項目です。
(5)「社会保険料の金額」・「生命保険料の控除額」・「地震保険料の控除額」・「配偶者控除」・「配偶者特別控除」・「扶養控除」・「基礎控除」
 これらの項目は、人によってあり・なしや、金額が異なります。該当があれば、各項目に金額が記載されています。これらが多いほど、税金の対象になる金額を小さくできます。この合計額が、(3)所得控除の額の合計額です。
 所得税の対象になる「課税所得」は、(2)給与所得控除後の金額 – (3)所得控除の額の合計額の金額です。
 この例では、(2)1,500,000円-(3)499,640円=1,000,000円(千円未満切り捨て)になります。

(4)源泉徴収税額

源泉徴収税額
 1年間におさめる税金の確定額です。(1)~(3)でわかった、課税所得に対して、税率をかけて計算したものです。
 この例なら、1,000,000円×5%=50,000円 と計算されます。
 税金の税率は、課税所得の大きさによって5%~40%のいずれかになります。
 また、現在は復興特別所得税がかかるため、ここで計算した税額に102.1%をかけたものが、実際に収める税金になります。
 この例なら、50,000円×102.1%=51,000円 になります。
 ところで、ここで出てきた税額は、源泉徴収票を受け取った後に、改めて払うわけとは限りません。
 お勤め先が源泉徴収をしてくれる会社では、税金は、毎月のお給料から差し引かれて、すでに納税されているからです。
 しかし、毎月のお給料で天引きされる源泉徴収税額は、1年間の年収がこれくらいになるだろう、という推定で1年間の税額を計算して、それを1ヶ月分に12等分した金額を天引きしています。ですので、年末になって確定した給与・賞与の金額を考慮した、正しい納税額と、毎月天引きされた源泉徴収税の合計額には差が出てしまいます。
 年末調整は、この差額を計算して、毎月の給与天引きで払いすぎていた場合には払い戻しを、少なかった場合には年末調整時に追加の徴収をするのです。
 源泉徴収票の真ん中あたりに、年末調整をした結果○○円を調整しました、というようなことが書かれていることもあります。

(5)社会保険料等の金額

社会保険料等の金額
 1年間に支払った社会保険料です。「健康保険料」、「介護保険料」、「厚生年金保険料」、「雇用保険料」の合計額が記載されます。
 月々の給与明細には、それぞれの内訳が記載されていますから、12か月分を合計すると源泉徴収票の「社会保険料」の金額と一致します。
※税金の計算過程の詳細は省いて説明しています。本ページでは簡略化した例を挙げていますので、実際のケースとは異なることもあります。

本文:CFPファイナンシャルプランナー 加藤梨里