リスクを軽減する投資法

「投資」というとどんなイメージを持っていますか。株式などは「下がって損をするかもしれない」と思う方が多いのではないでしょうか。2014年にNISA(少額投資非課税制度)が導入され、投資を始めた方も多いと思います。NISAは今年から1年間の非課税枠が120万円に引き上げられましたが、金融庁の調べによると、平成26年12月末現在で稼働率45.5%と、枠いっぱいに使っている方はごくわずかです。

「投資」は「貯蓄」と違いますから、値動きするもの(株式や投資信託)に資産を投じていきます。当然上がったり下がったりしますから、タイミングによって得をしたり損をしたりします。リスクを軽減するための投資の手法がいくつかあります。代表的なのは「分散投資」と「長期投資」です。「ドルコスト平均法」は、長期投資と組み合わせると有効的な投資手法です。

ドルコスト平均法とは

ドルコスト平均法とは、株式や投資信託、金など値動きのある商品を、毎月一定の日に定額を、同じ変動商品に投資をして積み立てていく方法です。例えば、「毎月25日にA株式を1万円ずつ購入する」などです。下図のように、定量購入より定額購入の方が結果的に多く購入することができます。
0711_ドルコスト平均法

購入金額が同じでも、定額購入の方は1株当たり858.3円だったのに対し、定量購入は1,000円となり、定額購入の方が平均取得単価の低いことが分かります。

ドルコスト平均法のメリット、デメリット

ドルコスト平均法は取得単価を軽減しますが、実は万能ではありません。メリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

(1)平均取得単価が下がる
(2)その都度投資判断をしなくてよい
(3)時間分散ができること

0711_1万口当たりの投資信託の価格(基準価格)
一番のポイントは、その都度投資判断をしなくてよいところです。投資は、一番低いところで買って一番高いところで売るのが理想です。一番低い(高い)は結果論であり、到底実現することは不可能です。人間は感情の生き物ですから、下がるともっと下がるかもしれないと思い、上がるともう少し待ってみようと考え、結果的にうまくいかないことが多いのです。

ドルコスト平均法は、決まった日に定額を購入していきますから、そこに感情は介入しません。上がったときも下がったときも自動的に買っていきます。そして、基本は短期売買をせず積み立てていきますので、長期になるほどリスク(変動幅)が平準化されていきます。最終的に、自分自身が投資をした時より高く売却すればいいのです。

デメリット

(1)その都度手数料がかかる
(2)上がり続ける、下がり続けるなど一辺倒の動きには有効ではない
例えば、手元に100万円あったと仮定して、上がり続けるのであれば、毎月定額を購入するより、最初に全額を投資した方がよかったことになります。下がり続けた場合は、取得単価はどんどん下がっていきますが、投資対象としてはよくありません。上がり下がりを繰り返しながら、徐々に右肩上がりになるのが理想です。投資の世界は上下動を繰返しますので、上がり続けたり下がり続けたりすることは考えにくいのです。

しかしながら、タイミングによってはリーマンショックの時のように下がり続けることがあります。日々の動きを見れば上下動を繰り返しているのですが、トレンド(流れ)として右肩上がり(上昇)なのか、右肩下がり(下落)なのかが重要になります。投資のタイミングと投資対象がポイントであり、ドルコスト平均法では補えないところです。

ドルコスト平均法を実践できる身近な方法

NISAで株式や投資信託を積み立てしていくのも一つの方法です。しかし、自分が意識せずにドルコスト平均法を使っている場合があります。それが会社の持ち株会で買っている自社株や、会社が導入している確定拠出年金(DC)です。まさしく長期の定額積み立て(ドルコスト平均法)です。ただし、積み立てたものはいつか売却をしなければなりません。ドルコスト平均法で一番難しいのが売却のタイミングかも知れません。

ドルコスト平均法は投資の一つの手段です。投資を初めてする方、忙しくて時間がない方、自分で判断がつかない方などにとても有効です。一手段としてドルコスト平均法を利用しながら、自分自身で「何割利益が出たら売却する」というルールを決めておくとよいでしょう。投資は、過去の実績しかわかりません。先のことは誰もわからないのです。ですから、あの時買って(売って)おけばよかった、と思っても仕方のないことです。毎月自動的に積み立て、何割上がったら売る、と割り切って利用することが大切です。

文:ファイナンシャルプランナー 伊藤魅和(FPoffice ITO代表)