認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」のことです。

加齢とともにそのリスクが高まることから、高齢化が進む日本では患者数が年々増加しています。65歳以上の高齢者全体における有病率は8~10%程度と推定されています。高齢になるにつれ有病率は高くなり、65~69歳で1.5%であるのに対して、85歳では27%に達します。

また、アルツハイマー病など認知症の前駆状態である軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment(MCI))の人を含めると、その数は800~1,000万人に上るといわれています。

認知症の診断基準

認知症の診断には、下記のアメリカ精神医学会によるDSM-IVという基準が用いられています。認知症には関連するさまざまな疾患があり、それに応じた診断基準がありますが、共通する診断基準には以下の4項目があります。

DSM-Ⅳによる認知症の診断基準
・多彩な認知欠損。記憶障害以外に、失語、失行、失認、遂行機能障害のうちのひとつ以上。
・認知欠損は、その各々が社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病前の機能水準から著しく低下している。
・認知欠損はせん妄の経過中にのみ現れるものではない。
・痴呆症状が、原因である一般身体疾患の直接的な結果であるという証拠が必要。

認知症の種類

ひとくちに認知症といっても、複数の種類があります。もっとも多いのがアルツハイマー病による認知症です。そのほかに、おもに以下のタイプがあります。

・アルツハイマー型認知症(AD)
・レビー小体型認知症(DLB):アルツハイマー病とパーキンソン病の特徴を併せもつ疾患
・血管性認知症:様々なタイプがありますが、その診断には認知症状態・脳血管疾患の存在、認知症症状が現れることと脳血管障害発症の時間的関連性が必要
・前頭側頭葉型認知症:記憶障害よりも性格・行動面の変化が目立ち

多くの認知症性疾患では、その原因は不明です。

出典:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス

認知症の症状

認知症の症状は、大きく2つに分かれます。1つは記憶などの認知機能障害、もう1つは行動異常・精神症状などの周辺症状です。

認知機能障害

  • 記憶障害:新しいことを覚えられない、以前に学習した情報を思い出せない。
  • 見当識(けんとうしき)障害:現在の年月や季節、時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況がわからない。

失語(言葉の理解ができないこと、しゃべりたい言葉がしゃべれない)
失行(運動機能に関する障害はないのに、意味のある動作ができない。)
失認(感覚に関した機能は損なわれていないのに、対象を正しく認知・認識できない)

  • 判断力障害:考えるスピードが遅くなる、2つ以上のことをうまく処理できない、予想外のことで混乱してしまう、
  • 実行機能障害:計画的に物事を進められない。

周辺症状

・抑うつ
・幻想
・妄想
・徘徊
・異食
・攻撃的言動
・夕暮れ症候群
・不潔行為
・性的逸脱行為
・介護への抵抗

認知症の治療法

現在のところ、認知症を根治できる薬物療法はありません。アルツハイマー病に対しては、進行を抑える薬剤がありますが、脳血管性認知症自体を対象にする薬剤はありません。

認知症の進行を抑えるために、認知、刺激、行動、感情に対して心理・社会的な非薬物療法も用いられています。

出典:厚生労働省認知症の症状-中核症状と行動・心理症状