確定給付年金から確定拠出年金へ
企業は従業員から預かった年金原資を運用し、従業員に対して老後の心配をしなくてもいいように、一定額の年金保障をしていました。しかし、1990年代のバブル崩壊後に低金利が長年続く中、予定の運用益が得られなくなり、企業の利益から、年金額と原資の差額の補てんを余儀なくされました。それでは企業の成長が従業員の年金に使われ、設備投資などに資金が回せなくなります。そこで、企業は厚生年金基金等企業年金を相次ぎ解散し、確定給付年金(決まった年金額を給付)から確定拠出年金(毎月決まった額を拠出)に移行してきました。

確定拠出年金とは

確定拠出年金とは、拠出された掛け金を自らが運用し、将来受け取る年金額が、運用次第で個々に異なる制度です。つまり、個人ごとに運用商品を決めますから、運用結果はそれぞれ異なり、受け取る年金額もそれぞれ変わってきます。
また、下記の税制優遇があります。

  1. 掛け金が非課税・・・所得税・住民税・社会保険料がかからない(所得控除される)
  2. 運用益が非課税・・・一般的な預貯金等は、利息や売却益に対して20.315%(復興特別所得税含む)課税されるが、確定拠出年金は非課税になる
  3. 給付時の所得・・・年金で受け取る場合は公的年金等控除、一時金で受け取る場合は退職所得控除になり、税金の優遇がある

確定拠出年金は、原則60歳まで引き出すことができません。途中で離職や転職をした場合は、その年金を持ち運ぶ(ポータビリティー)ことができます。
(詳細は厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/参照)
確定拠出年金は、「企業型」と「個人型」があります。

  • 企業型・・・企業が掛け金を拠出
  • 個人型・・・個人が掛け金を拠出

個人型の加入者は自営業者などに限定されていましたが、2017年1月から、今まで加入ができなかった企業年金(確定給付年金等)を導入している企業の従業員や、公務員・専業主婦が加入できるようになります。

確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係

【出典:厚生労働省(確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/taishousha.html

確定拠出年金のメリット・デメリット

 確定拠出年金には、以下のようなメリット、デメリットがあります。

メリット デメリット
加入者個人が運用の方法を決めることができる。
運用が好調であれば年金額が増える。
年金資産が個人ごとに管理されるので、
各加入者が常に残高を把握できる。
投資リスクを各加入者が負うことになる。
運用が不調あれば年金額が減る。
老後に受け取る年金額が事前に確定しない。
運用するために一定の知識が必要。
【厚生労働省ホームページ「制度の概要」メリット・デメリットより抜粋】

確定拠出年金のリスクと上手に付き合う

確定拠出年金を導入している企業の従業員は、自分で自らの年金の運用をしなくてはならなくなりました。確定拠出年金は、主に株式や投資信託などリスク(価格が変動する)商品で運用をしていきます。しかし、企業年金連合会の平成26年度「確定拠出年金実態調査結果」によると、元本確保型商品が全体投資額の6割を占めています。今まで運用をした経験がない方も多く、元本確保型の定期預金やMMFなど預貯金と変わらない運用を、半分以上しているのです。それでは元本は減りもしませんが増えもしません。確定拠出年金の最大のメリットは非課税であること、原則60歳前に引き出しができないため、長期の運用ができることです。リスクを軽減する方法は、

  1. 分散投資・・・国内外の株式や国内外の債券など、地域や商品を分けること
  2. 時間分散(ドルコスト平均法)・・・購入のタイミングを分けること
  3. 長期投資・・・長期で運用すること

です。確定拠出年金は、まさしくこのリスクを軽減する方法で運用をしていきます。

確定拠出年金のリスクの軽減方法

確定拠出年金のリスクの軽減方法資産の見直し
確定拠出年金は、一度資産配分を考えたら終わりではありません。経済は時代により変化をしていくものです。移り変わる情勢に対応して見直しをしていかなくてはなりません。あまり頻繁な見直しは自分の負担になりますし、せっかくの長期運用のメリットを活かすことができなくなる場合があります。しかしながら、定期的な情報収集は必要で、運用状況がよくない時、経済状況や自身のリスク許容度が変わった時など、臨機応変に資産の見直しをすることが大切です。そして、元本確保型の商品ばかりを選択するのではなく、将来の自分が受け取る年金を増やすためにも、分散投資・時間分散・長期投資を活かした元本保証のない商品にも、積極的に投資をしていく必要があります。元本保証のない商品の中でも、比較的リスクを抑えた債券型、株式や債券等を組み合わせたバランス型、積極的な成果を目指す株式型など、選択肢のバリエーションはありますので、自分に合った運用を探すとよいでしょう。いずれにしても、自分が将来もらう年金になりますので、増やすも減らすも自分の腕にかかっていますから、真剣に勉強し、商品を選択する必要があります。