債券とは

投資の代表例として、「株式」「投資信託」「債券」があります。「国債」という言葉はみなさん聞いたことがあるでしょう。債券は、お金を借りる時に発行される借用書のようなものです。

「国債=国の借金」というニュースをたびたび耳にしますが、債券という言葉を知っていても、実際に債券投資をしている方はごく一部でしかありません。日本銀行が発表している2016年6月「家計の金融資産構成」統計によれば、個人の金融資産は1,706兆円にも及びますが、債券の占める割合は1.6%にすぎません。具体的にどこが債券を発行しているのか、どういう仕組みになっているのかを詳しく見ていきましょう。

債券の分類

1)発行体による分類
債券は主にどこが発行しているか(「発行体」といいます)により分類されます。国が発行すると「国債」、地方自治体が発行すると「地方債」、会社が発行すると「社債」(事業債)と呼ばれます。
2)利息の支払い方法による分類
定期的に利息が支払われる債券を「利付債」といいます。これに対して、額面からあらかじめ利息相当分を割り引いた金額で発行され、満期になると額面金額(100万円なら100万円)で戻ってくる債券を「割引債」といいます。
3)通貨による分類
日本円で発行される債券を「円建て債券」、米ドルやユーロなどの外貨で発行される債券を「外貨建て債券」といいます。また、利息の支払いと満期(「償還」といいます)で受け取るときの通貨が異なる債券を「二重通貨建て債券(デュアルカレンシー債)」といいます。

預金との違い

債券と預金は似通っていますが全く違うものです。
預金との違い

債券は、「金額(額面という)」「利率」「発行体」「満期日(償還という)」が決まっています。1万円以上1万円単位の債券や、100万円以上100万円単位の債券など額面は様々です。債券を発行するところ(発行体)が、証券会社等を通して投資家から資金を調達します。

債券の金利は一般的に固定金利(預入時から満期まで同じ金利)ですが、10年満期の個人向け国債など6か月ごとに利率を見直す変動金利のものもあります。

格付け

債券には必ず格付けがついています。これは投資の判断をするための重要な指標です。債券を発行する発行体が、きちんと資金を返済できるかなど、返済能力や信用度を、客観的に第三者である格付け機関が調べて評価をしています。

海外の代表的な格付け機関には、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)、Moody’s(ムーディーズ)、フィッチ・レーティングス・リミテッドなど、日本ではR&I、JCRがあります。各社A+やA1など表示方法は若干異なりますが、基本は図のようになります。格付けは恒久的なものではなく、随時見直しをしていきます。

債券のリスク

投資をするときには、まずは債券に伴うリスクを理解することが大切です。投資の世界では、リスクをブレ幅と表現します。プラスにもマイナスにも動きますので、ブレ幅が大きいものをリスクが大きい(高い)、ブレ幅が小さいものをリスクが小さい(低い)といいます。

さまざまな運用商品の中で、債券は比較的リスクが小さい(低い)と考えられています。しかし、投資先が破たんした場合は元本が戻らず、ゼロになってしまう可能性があります。ゼロになれば結果的にリスクが大き(高)かったということになります。あくまでもリスクは可能性であり、必ずしも起こることではありません。

債券の主なリスクには、次の5つがあります。特に気をつけたいのが1と2です。

1.信用リスク

発行体がきちんと返済をしてくれるかというリスクです。発行体の信用度が高いほど金利は低くなり、信用度が低いほど金利は高くなります。これは、信用度が高いほうに資金が流れるためで、信用度が低いと、金利を高めに設定しないと資金が集まらないからです。

2.金利変動リスク

市場金利が変動するリスクです。5年満期、利率1%(固定金利)の債券があったとします。3年後に市場金利が3%になっていたとしたら、新しく発行される債券には利率3%のものが出てきますので、すでに保有している利率1%の債券の価値は下がります。逆に市場金利が下がって0.1%になれば、すでに保有している利率1%の債券の価値は上がります。

3.価格変動リスク

途中で解約(換金という)する場合、債券は市場において「時価」で売買されます。債券を購入したときよりも時価が下がれば元本割れすることがあります。逆に価格が上がればプラスになります。

4.流動性リスク

途中換金ができないリスクです。

5.途中償還リスク

途中で償還するリスクです。5年満期、年率1%の債券を持っていれば、本来は満期まで利息がもらえますが、途中で償還してしまうとその後の利息がもらえなくなります。

債券の魅力

債券は元本保証がないものの、一般的に定期預金より利率が高いのが魅力です。また、発行体に直接資金を貸し出すわけですから、発行体を応援するという意味合いも含まれています。株式投資をするにはハードルが高い場合でも、債券投資であれば利率が決まっていますし、満期償還まで保有をすれば、発行体が破たんしない限り額面が戻ってくるので安心です。

また、途中で換金ができますので、流動性も兼ね備えています。場合によっては、売却時に利益が出ることもあります。格付けをしっかりチェックし、信用度の高い債券に投資をすれば、リスクが高いものではありません。自分自身が信頼できる投資先を探してみましょう。

文:伊藤魅和(FPoffice ITO代表)